【水族館探訪記】2019.05.13_サンピアザ水族館~道内唯一?の都市型水族館

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GW明け北海道弾丸旅行、最終日は朝から札幌をぶらぶらして、帰りのフライトの時間が許すまで札幌市内の「サンピアザ水族館」へ。

前日、前々日と「千歳水族館」「北の大地の水族館」とエッジの効いた水族館を2か所回っていて、正直「水族館欲」は満腹ぎみ。でもよく考えたら2館とも淡水魚メインの水族館で、「ちょっと海水魚も恋しくなったなー」なんて自分に言い訳しつつ、もう1館寄り道することに。

新千歳空港からほど近い「千歳水族館」。地元感たっぷりの素晴らしい淡水魚水槽と、「日本初」の”川の中まで水族館”!
ずっと前から行きたかった「北の大地の水族館」、ついに初訪問!魚種それぞれの特徴を引き出そうとする展示の数々が、とても楽しい水族館でした!

■アクセスは道内最高!駅直結の「都市型」水族館。

サンピアザ水族館へは、JR「新札幌」駅より徒歩3分、札幌市営地下鉄「新さっぽろ駅」より徒歩5分(新札幌までは札幌駅からJRで8分くらい)。駅からは商業施設「サンピアザ」内を通ればほとんど屋外に出ることもなく、ほぼ「駅直結」といえる立地である。

よそを見れば、
・小樽駅からバスで約25分 とか
・女満別空港から車で約1時間20分 とか
・中標津空港から車で約34分
とか、なかなかアクセス難度が高い水族館が多い北海道。

そんな中で「札幌駅から30分前後で行けて、冬でもほとんど雪道を歩かなくていい」というのは、圧倒的なアクセスの良さだと思う。こと、立地に関しては。
(その次くらいにアクセスがいいのは、千歳水族館か登別マリンパークニクスあたりか。ともにJRの駅から徒歩10分程度。)

■まるで昭和の水族館!レトロさ満載の館内。

チケットを購入し入場ゲートへ。エントランスを抜けると目に飛び込んでくるのは、なんとも懐かしさを覚える水槽群。札幌に住んでた学生時代(2000年代前半)に何度か来た記憶があるけれど、水槽の配置とかはその頃からほとんど変わってない感じ。

「暖かい海の魚たち」。
この後に「サンゴ礁の魚たち」や「回遊大水槽」があるためか、ここのコーナーに展示されている魚は種数も個体数もそれほど多くないのだけれど、意外と見る機会の少ないただの「フエダイ」が展示されていたりする。

「寒い海の魚たち」。
オオカミウオにソイ類、メバル類と、北海道ではお馴染みの魚たち。

「サンゴ礁の魚たち」という案内板と、簡単な魚名板。そういえば昔の水族館って、どこもこんな感じだった気がする。

水槽のアクリル面に入った細かい傷にも、歴史と年季を感じる。ヒトヅラハリセンボンたちが歯でつけた傷かもしれないけど。

今回撮影。

こちらは、ホンソメワケベラと同居中のヤイトハタ。

2013年12月撮影。

実はこの個体とは、2013年12月にも会っていた。当時は若魚という感じだったけど、ひと回りくらい大きくなったかな。

回遊水槽には、なかなか年季の入った魚たちが多い。

丸々と育ったヨスジフエダイ。ヨスジフエダイってこんな立派になるんだっけ?!(もっと小さめの個体が群れで泳いでるイメージが強かったので、ちょっと驚きました)

これも結構長く飼育されていそうなユカタハタ。尾びれがちょっと痛々しいけど。

■さらにレトロ感の強い2階フロア。

館内の階段を昇り2階へ。
そこは更にレトロな、というか時が止まってしまったような昭和の水族館的な空間。

ペンギン水槽の隣がアマゾン水槽という、とりとめのなさ。

そしてアマゾン水槽にはこの2種類しかいない……。(別の水槽にレッドテールキャットがいました。たぶん、昔はラッコが飼われていた水槽に。)

「北の大地の水族館」で立派な大型熱帯魚たちを見てきたあとだったので、ちょっと拍子抜けしてしまった。

■「めずらしい魚たち」のさびれっぷりが、ちょっと……うーん。

さらに順路を進むと、汽車窓型の小水槽がズラッと並ぶ「めずらしい魚たち」のコーナー。

「めずらしい魚」というからには、きっと、「世界初!」とか「日本でここだけ!」とか、そういうの見れるんですよねっ?!
(千歳で「日本初」の”川の中まで水族館”を、北の大地でこれまた「日本初」の”滝つぼ水槽”を見てきたあとだったので、否が応でも期待値が上がってます 笑)

で、並んでた展示はコチラ……。

「輝く魚」で、ネオンテトラとアフリカン・ランプアイ。

か、輝いてねぇ。。。

チロチロとまとまりなく泳ぐネオンテトラ(色もあまり出ていない)と、せっかくの目の輝きが背景の水色に同化してしまったアフリカン・ランプアイ。
せっかくなら水槽背景を黒くして水草も植えて、それぞれが群れで遊泳するように水流をつけるとかちょっと大きめの魚を入れる(警戒して群れをつくる)とかすれば、それこそこの2種の「輝き」が映えるのではないかと思うのだけど……。
どちらも、それこそ「インスタ映え」だって狙える美魚なだけに、余計に……うーむ。

「?」のない魚。

「体色のない魚」トランスルーセント・グラスキャットと、
「目のない魚」ブラインド・ケーブフィッシュ。
斬新な組み合わせです。というか、割と憶病なトランスルーセント・グラスキャットとまぁまぁ活発なブラインド・ケーブフィッシュ(目がない代わりに嗅覚が鋭敏で、餌の少ない洞窟の中で暮らすからやたら貪欲)、一緒にして大丈夫なのか??

トランスルーセント・グラスキャット、水草水槽で本気出せば虹色にキラキラ輝いて「映える」魚なんだよなぁ……。(@板橋区立熱帯環境植物館)
本来なら割と水底近くを群れる魚なので、サンピアザの水槽で水面付近をフワフワ漂っているのも、ちょっと違和感のある姿。やっぱり、ブラインド・ケーブフィッシュに追いやられてないかい??

「手斧(ハチェット)の形をした魚」。
そのまんま、ハチェットフィッシュたちが展示されている。

真ん中から下に、なにもいない!!もったいない!!
いや、ハチェットだけ単独飼育という展示スタイルには潔さも感じるものの……、せっかくならその面白い姿や水面直下に特化した生態をもっと引き出したらいいのに。水位を水槽の真ん中くらいまで下げるだけでも、効果的な気がします。

いずれの水槽も「めずらしい魚」といいながらドメジャーな熱帯魚ばかり、という。(並びの水槽にいるのは、このほかピラニア・ナッテリーやリーフフィッシュ、スッポンモドキなどなど)

いや、「普通種」の面白い生態や形態を取り上げること自体はとても賛成なのだけど(個人的には希少種をただ展示しているより、工夫された普通種の展示のほうが「尊さ」を感じる)、サンピアザの場合はどれもこれも似たようなレイアウトの水槽に「とりあえず泳がせてる」感があって、せっかくならもうちょっと工夫できないものかな……と。

■久々に見た!魚たちのサーカスショー。

あぁ、イシダイの曲芸とは、これまた昭和感のある……。ちょうど午後のショータイムに遭遇し、思わず魅入ってしまった。

こちらはデンキウナギの発電実験。これも見る機会が減った気がしますね(都内だとしながわ水族館でまだ見れるけど)。

イシダイに曲芸を仕込むことやデンキウナギの発電量を測定することを、ことさら「虐待だ」とはあまり思わないけれど、でもせっかくそれぞれの魚の生態を引き出すのであれば、今だったらもっとほかの方法論もいろいろあるように思う。

「あぁ、水族館って元々は(黎明期は)”見世物小屋”だったんだな」ということを、図らずも感じてしまった。そしてその頃から比べると、現代の水族館はずいぶんと進化を遂げたのだな、ということも。(前日・前々日に訪問した「千歳水族館」「北の大地の水族館」が、決して”見世物小屋”なんてレベルじゃなかったから、余計に鮮明に対比を感じてしまった)

■サンピアザに行って思う、「北海道の水族館事情」。

プラティ、バリアトゥス、ブラックモーリーが泳ぐ、ステンレス枠のワイド水槽。そして、懐かしいプラスチック製の人工水草。懐かしさしかない(笑)。

今回の水族館レポート、後半はちょっと厳しい感じの内容になってしまったけれど、そこには少し理由もあり。

冒頭にも書いたけれど、北海道の水族館のなかでほとんど唯一といっていい「都市型水族館」である、ここサンピアザ水族館。アクセス面・集客面では他館に対して圧倒的なアドバンテージがあるだけに、余計にもったいないな、と思ってしまうのです。

ぼくは20年近く前に札幌に一時期住んでいたけれど、当時の感覚として札幌圏の住民が「たまには水族館にでも行ってみっか!」と思う時、ファーストチョイスはサンピアザではなく、おたる水族館あたりだった気がする。(というかそもそも「休日にちょっと水族館に行く」って文化自体が、札幌圏にはあまり根付いていないのでは、とすら感じていた)

その後、北の大地の水族館(旧・山の水族館)・千歳水族館と次々にリニューアルし、「水塊」要素も取り入れつつ博物館的要素も兼ね備え、更にはそれぞれに地域性・独自路線を打ち出してめちゃくちゃエッジの効いた水族館となった現在。(今回両館を回りましたが、どちらも本当に素晴らしかったです)
皮肉にも、立地面でいちばん恵まれたサンピアザだけが「昭和の水族館」のまま取り残されてしまっているのではないだろうか。人口面でも産業面でも政治面でも「札幌圏への一極集中」傾向が強い北海道において、水族館業界だけはそれが起こっていないというのは面白いし、ほかの大都市圏(東京/大阪/名古屋/福岡)には必ずある「大規模な総合水族館」が、今のところ札幌にだけは存在しない、というのも興味深い。

逆に言えば、もしもサンピアザが全面リニューアルでもしてイマドキの都市型水族館(例えばサンシャインやすみだやアクアパークみたいな)に変貌を遂げるようなことがあれば、北海道内の水族館の”勢力図”というものも大きく変わってしまうのではないか。(札幌から遠く離れた稚内や北見や釧路や標津はともかく)少なくとも道央圏の水族館に関しては。

そうなったときに何が起こるのか。楽しみなような気もするし、「おたる」「千歳」「北の大地」の大ファンとなってしまった自分としては、今のままでいてほしいような気もするのです。

※サンピアザでも魚たちとの素晴らしい出会いはもちろんあり、そんな話はまた次回。主役は北海道らしく、やっぱりサケマスたちですけど(笑)。

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コメント

  1. 須藤郁成 より:

    珍しい魚が少し珍しくなってます!

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