『さかなクンが南三陸に来るよ!』
そう誘われて、宮城県・南三陸町で開催されたシンポジウムに行ってまいりました。
■こんなイベントでした!
(南三陸町HPより)
南三陸町・志津川湾がラムサール条約への登録を目指している、という話はなんとなく聞いたことがあったけど、恥ずかしながらあまり詳しい話は知りませんでした。
率直に言うと「さかなクンのトークショーを生で聞いてみたい!!」というミーハー心75%くらいな感じで、仙台から車を走らせ1時間半、南三陸町へ!
■第1部も面白かった!!
午前中は、志津川湾を越冬地とする渡り鳥「コクガン」の観察会が開催されていたのですが、残念ながらそれには間に合わず。
震災後に新しくなった「さんさん商店街」で名物のキラキラ丼(海鮮丼)をランチにいただき、会場の「南三陸町 ベイサイドアリーナ」へ!
会場内では、「海藻おしば」や缶バッジ作りなどワークショップが開催され、親子連れで賑わっていました。
そしていよいよ、シンポジウムのスタートです!
① 町長ご挨拶
② 「志津川湾の自然環境の特徴」
南三陸町ネイチャーセンター準備室 阿部拓三さん
南三陸町で魚類や海洋生物の研究や、ラムサール条約登録への準備に取り組まれている我らがタクゾー博士。(実は大学の先輩で、今回のイベントも拓三さん(のご家族)経由でお誘い頂いたのです)
南三陸の海や自然の特徴を、実はけっこう専門的な内容だったと思うんですけど、とても分かりやすく説明していただきました。
午前中に観察会が行われていた「コクガン」は、志津川湾で越冬する渡り鳥。世界中に7~8,000羽程度しかいない絶滅危惧種で、そのうち100~200羽程度が、ここ志津川湾にやってくるそうです。
コクガンの主食は海藻やアマモで、志津川湾に広がる藻場やアマモ場が、非常に重要な存在なのだとか。
③ 「八幡川河口に復活した松原干潟の生物調査」
志津川高校自然科学部
震災・津波で防潮堤が破壊され、その跡が磯浜に戻り、形成された「松原干潟」。
絶滅危惧種「トリウミアカイソモドキ」を見つけた話をするときの、嬉しそうな表情が印象的でした。
「干潟が新しくできる」ってあんまり聞いたことなくて、干潟の生態系の遷移を観察できる、という意味でも貴重なフィールドなんじゃないかと思います。
巨大防潮堤の建設計画もあったものの、地元住民の方の協議会の結果、埋立ては回避されるそうです。これからも継続調査が楽しみです。
自分も中学・高校時代は生物部だったけど、こんなしっかりした研究活動なんてしていなくって、なんだか尊敬してしまいます…。
④ 「自然と共生した持続可能な地域づくりのために」
おおさき生きものクラブ
同じ宮城県内で、既にラムサール条約に登録されている「先輩」とのこと。
総勢10数人の小・中学生の皆さんによる発表でした。
活動場所が近隣の水田(無農薬田)や屋敷林(「いぐね」)だったりして、改めて身近な自然を舞台にした環境教育っていいな、と思いました。
⑤ 「ラムサール条約と湿地の賢明な利用~志津川湾の恵みをいつまでも」
ラムサールセンター事務局長 中村玲子さん
実は「ラムサール条約」についてそんなに詳しく理解していたわけではなくて、とても勉強になりました。
・「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地」に関する条約
⇒渡り鳥は国境を超えて移動・分布する。その渡り鳥にフォーカスすることで、国際的な取組みを促すことができる。
また、湿地生態系の頂点に位置する鳥類を守ることは、生態系全体を守ることにつながる。
・対象の「湿地」には、天然の湿地だけでなく人工的な地形も含まれる(水田とかため池とか養殖池とか)。
・「湿地の自然を守る」だけでなく「湿地を賢明に利用する」ことが重要。これは現代の「持続可能な開発」という概念の先駆けでもある。
特に、講演の最後に
・ラムサール条約に登録されるからといって「何かが劇的に変わる」訳ではない。
残念ながら、世界中から観光客が来て経済が潤う、ということでもない。
ただ、「南三陸町の志津川湾」から「世界の志津川湾」になる。
という趣旨のことをおっしゃっていたのが、とても印象的でした。
■いよいよ第2部、その前に…
以上で、第1部終了。次はいよいよ、さかなクン登場の第2部です。
と、その前にトイレに行こうと講演会場を出たところ…
ギョギョッ!
なんと!さっきまで何もなかった場所に、模造紙いっぱいに描かれた、さかなクン直筆のメッセージが!
よく見ると、まだインク(墨?)が乾ききってなくて、本当に描きたてでした。到着してすぐに描いてくれたのでしょう。
さかなクンすごい!いや、すギョい!!
■さかなクン登場!
講演会場に戻ると、なんだか心なしかお客さんの数が増えているような。
特に、親子連れの方がたくさんいらっしゃいました。ワークショップ明けなのかな。お馴染みのハコフグ帽子をかぶったお子さまもちらほら。
さすがさかなクン、人気絶大です。
司会の庄子久子さん(Date FM「みなさんぽ」で、宮城ではお馴染み)の呼びかけで、さかなクンがステージに登場!ハコフグ帽子に自筆のイラスト入りの白衣で、TVで見るあのテンションそのままです!
さかなクンは2008年から、ここ南三陸の海に来て活動をされていました。
震災後に潜った海でダンゴウオを発見したときの話は、TV等で知っていたけれど目の前で実際に語られると、感動の度合いが違いますね。
南三陸の海や魚の話になると、「タクゾー博士!」と呼びかけ、タクゾー博士、再びステージ上へ!しかもさかなクンとお揃いの白衣着用です。
ダンゴウオやクチバシカジカなど、南三陸を代表する魚の紹介や、ダンゴウオの雌雄の見分け方に関するクイズなど。
その後は、定置網で朝獲れたばかりの魚を手に、クイズ形式で、魚の名前を観客席の子供たちに訊いていきます。
(魚種は、スケトウダラ・クロソイ・カナガシラ・ギンザケ etc…。ツマグロカジカとかサブロウとか、なかなかの難問も混じってました 笑)
後方の席のお子さんから「魚が(小さすぎて)見えない!」と声がかかると、魚入りの発泡スチロールを抱えて、会場中を所狭しと駆け回るさかなクン&タクゾー博士。
それぞれの魚のイラストを模造紙に描きながら、タクゾー博士と繰り広げる魚トークも抜群のコンビネーションで、大人も子どももグイグイ引き込まれますね、これは。
時間いっぱいまで南三陸の魚を紹介し尽くして、さかなクンは再びステージへ。
話題は海洋汚染や外来種問題の話となり、熱心に訴えかけている姿が印象的でした。近年特に問題視されている「マイクロプラスチック」についての話もあったり。
最後は時間オーバー気味のなか、司会の庄子さんに半ば頼み込むように、観客席からの質問を募集。
一方通行の講演ではなく「双方向でお客さんとやり取りしたい!」っていう気持ちをすごく感じました。
質問に答えるときも模造紙に解説のイラストを描いて、最後にそれをプレゼント。アレは一生の記念品だろうなぁ…。
そして最後は、副町長・中村さん・タクゾー博士と記念撮影。
さかなクン、最後の最後までテンション高い…!
(さかなクンのトークショー中は写真撮影禁止だったのですが、
最後の挨拶は撮影許可を頂きましたので、撮らせていただきました)
■おまけ・「さんさん商店街」探訪
シンポジウム前にはお昼ご飯で、シンポジウム後には魚介類の買出しのため、「さんさん商店街」を訪問。
■活魚があちこちに並んでいて楽しい!
(1枚目:マダラ。歯がすギョい!!
2枚目:アブラツノザメ??こちらは看板用。)
(いわゆる「雑魚」1箱1,000円。だけど魚好きには宝の山かも。
さかなクンのトークショーで登場したのと、大体おなじラインアップです 笑。
2枚目はエビスダイ??分布考えると怪しい気もするけれど。)
■そしてこんなものも発見!!!
(ダンゴウオのハンコ。全11種類!そしてタクゾー博士監修!!!
思わず1ダンゴ所望してしまいました。むしろコンプしたい…。)
震災の爪痕は確かにまだ残るけれど、商店街は活気があって、そしてキラキラ丼が美味しくて、南三陸にまた遊びに行きたくなりました。
(三陸自動車道が繋がって、仙台からもだいぶアクセス良くなったしね)
あったかくなったら、志津川の海で磯遊びとかしたいなぁ。