東京タワー水族館 閉館に思うこと~その2~

(前回記事はこちら)

1年間のアルバイトという短い間だったけれど、たくさんの思い出がつまった特別な場所で、今回の閉館決定を知っていろんな思いがこみ上げてきます。いまでも自分があちこちの水族館に通って写真を撮ったりブログを書き続けているのは、当時のそんな気持ちを追いかけているからなんだと思います。

本日(9月23日)、久々に東京タワー水族館へ行ってきました。前回の訪問は「閉館」を正式発表した当日の9月1日なので、ほぼ3週間ぶりの訪問です。

■とりあえず、混雑がものすごい。

9月1日に訪問した時には、まだ館内はそれほど混雑していなかったのですが、その後「閉館決定!」がマスコミでも報道され、最近はものすごい混雑ぶりだと聞いていました。

なので、この日は開館時間(10時半)の前から現地へ。

結果。東京タワー水族館に行って、入場列に並んだのは初めてです。びっくりしました。自分の前に30人くらいは並んでいたかな。

(以下、館内の様子はプライバシーを考慮し、適宜画像を加工しています)

開館直後で、だいたいこんな感じ。まだ朝の10時半です。

お昼前でこんな感じの混雑具合。連休の中日だってのもあるとは思いますが。
特に前半の、海水コーナーとアメリカコーナーが混雑しやすいようです。

チンアナゴの給餌タイム。
いつもたくさんの人が集まる人気イベントですが、この日は特にすごい人。

参考までに今年の7月の訪問時。
なるべく誰もいない瞬間を狙って撮っているというのもありますが、それでも今年の7月・8月は、土日でもそれほど混雑していませんでした。
例の「ボール遊びするモルミルス」をじっくり撮影していても、誰の邪魔にもならない程度には空いていましたからね。

長年の水族館通いのなかでも、トップクラスの衝撃!魚って「遊ぶ」んですね?!コレ見るためだけに水族館に行く価値アリです!

■どうして…。「閉館決定」後に混雑するという謎。

いや、分かるんです。

「もうすぐ閉館します」と言われると、「じゃあ今のうちに行っておかなくちゃ。」ってなる心理は、分かるんです。
「テレフォンズ(ライブハウスをディスコに変えてくれる、めっちゃ踊れるニューウェーブ/ポストパンクバンド)が活動休止するよ」と言われたら、ロックフェスで他のバンドではなく電話ズ見に行ったりとか。地元で気になるけど行ったことなかった、もうすぐ閉店するラーメン屋に並んでみたりとか。心当たりはぼくにもたくさんあります。

ただなぁ。
今回は、7月くらいからWEBニュースで「タワ水、閉館の危機??」と報道されていたので、どうせ行くならその時点で行っとけよ、みたいなことは少し思います。

「俺、もっと前からチェックしてたし。」と、クラスに一人くらいいる自称・音楽フリークみたいなことをドヤ顔で言うつもりはないので、この話題からはさっさと逃げますけど。

地元・東北のマリンピア松島が閉館した時のこともふと思い出したりして、つい両者を比較してしまいそうになるのですが、施設の規模・閉館までの経緯・閉館後の計画等々、あらゆる条件が違いすぎるので、単純に比較するのはやめておきます。

マリンピア松島の場合は閉館までに十分な時間があったので、盛大に閉館イベントを開催したりもできたのだと思います。

東京タワーは今年で開業60周年。東京タワー水族館も今年で40周年。そんな年に記念イベントも開催できず閉館というのは、一人のファンとしても残念ですし、スタッフの方々の悔しさを想像すると切ない気持ちになったりします。

■なにより気がかりな、魚たちのこと。

今日(9月23日)の訪問の1つの目的は、「閉館決定」前と展示生物が変わっているのかどうか、ということ。

「閉館決定」後、当時のバイト仲間から「俺もタワ水行ってきたよ。少し魚減ったみたい。どっか貰われていったのかな」という話を聞いていて、Twitterでもそれに近い情報をチラホラ目にしていたので、(あぁ、徐々に魚たちの譲渡先が決まっているのかな)と思っていました。それはそれで嬉しいんだけど、寂しくもあり。みたいな気持ちで東京タワーを目指しました。

結果。
多少、生き物の増減はあったのかもしれませんが、7月・8月の訪問時とは、展示されている魚の顔ぶれは概ね変わっていませんでした。ガーやポリプテルス、ローチ(ドジョウ)類、スネークヘッドあたりは個体数も大ざっぱに把握しているので、まぁそんなに見当外れではないはず。
(数年前から比べると、確かに飼育個体数はやや減った感があるので、「今回の閉館を機に数年ぶりに行ってみた」という人が「魚が減った!」と言っているのではないかと思います)

オスフロネームス・グーラミィ(右)とアフリカン・ビッグマウスキャット(左)。ナマズのほうは少し体形が歪んでしまっているけれど、年季の入った個体。

そう、東京タワー水族館は、本当に年季の入った「熟魚」が多いのですよね。(少し前にこのブログにも書きましたけど。)

久々に、東京タワー水族館に行ってきた。それぞれの水槽で、個体1匹1匹が主役を張っている、そんな水族館。ここの水族館では「魚」を見よう!じっくりと!

年老いて、中には体形に歪みの見られる魚たちもチラホラいたりします。そんな彼らを展示することが「可哀想」なのかどうか。それは見る人の主観でいろいろな感じ方があるとは思うのですが、彼らがこの水族館で、時に野生下での寿命をはるかに超えて長生きしてきたことは事実です。

ぼく個人の考えを言わせてもらうならば、これはやっぱり素晴らしいことだと思います。
自分も細々とながら子供のころから長いこと魚を飼ってきたので、1匹の魚を10年も20年も飼い続けることの「重み」みたいなことを、水槽内を悠々と泳ぐ魚たちの挙動から感じてしまうのです。

マルリウス・スネークヘッド。
特に上の個体は背骨が湾曲しているのだけれど、それでも元気に泳ぎ、餌もしっかり食べている。鱗の質感とか、肉厚な鰭の感じとかに生命力と凄みを感じる。まだまだ長生きしそう。

マンファリ(キューバン・ガー)。
当ブログで何度も紹介しているのだけれど、国内のほかの水族館でなかなか見かけないし、一時期は「幻の魚」として熱帯魚ファンの憧れでもあったので、やっぱりタワ水に行くと「ほっとけない」魚のひとつ。
(かつ、今年から「特定外来生物」に指定され、許可なく飼育も輸入もできなくなってしまったので、今後はますます見る機会が減っていくだろう魚。)

池の水を抜いたり厄介者をグルメにしたりと、「外来生物」を扱うTV番組も増えていて(それ自体は喜ばしいことだと思う)、その中でこのガーパイクは“悪者の筆頭”みたいに扱われている感もあるのだけれど、捨てずにしっかり飼育すればこんなにも立派になる魚。

「魚を大切に飼育する」ということを、東京タワー水族館にはこれからも伝え続けてほしかったなぁ。心の底から、強くそう思います。前にも書いたけど。

東京タワー水族館には「観賞魚を飼う」ってことの楽しさや面白さを、これからもずっと発信し続けていってほしい。それだって立派な「水族館の果たす社会的意義」だと思うのです。

■閉館後、こいつらどうなるんだろ。

けっきょくのところ、今日(9月23日)時点ではジャウーもグリーンモレイもRTキャットもスッポンモドキも皆さんご健在でタワ水にいらっしゃったので、それはそれで嬉しかったのだけれど、やっぱり気になるのは「9月30日の閉館以降、こいつらどうなっちゃうの?」ということ。

マニアの悪い性かも知れませんが、いろんなことを無責任に妄想します。

・ガーパイクたちは、(ガーパイクを大切に長期飼育している)”京急油壷”とか”すますい”に貰われてほしいなぁ。

とか、

・ジャウーやレッドテールキャットは、鳥羽水族館のあの深みのあるアマゾン水槽で悠々と泳いでほしいなぁ。

(鳥羽水のアマゾン水槽、ジャウーが「タテ」に泳げるんだぜ。すごくない?)

とか。

あとは、京都の太秦方面だとか仙台の錦ケ丘方面だとか長野の蓼科方面だとかに、やっぱり観賞魚メインの水族館がチラホラあるっぽいぞ、とか。

タワ水には、このブログでもなかなか紹介しきれないくらい、魅力的かつ珍しい魚がたくさんいます。「全国で見れるのはここだけ」みたいな魚も、ずいぶんいるんじゃないでしょうか。
あちこちの水族館関係者の方の目に少しでも留まって、「あ、この魚ウチに欲しい」なんて思ってもらえれば本当にいいなと思いながら、チマチマとTwitterやブログを更新しています。
(逆に言うと、世話になった水族館や大好きな魚たちに対して、それくらいの本当に「焼け石に水」なことしか出来ていない自分に、ものすごく無力さと苛立ちを感じているのですが。)

でも、それってしょせんは外野の勝手な意見にしかすぎなくて。
輸送にかかるコストのこと、生体に与える輸送ストレスのこと。そしてあと1週間という時間的制約。現実問題として、いまタワ水にいる魚のすべてが無事にどこかの水族館や動物園に譲渡される、ということは難しいのだろうな、とも、頭の片隅では理解しています。

そんなことを考えながらタワ水で魚たちの写真を撮っていると、これは言葉としては非常に不適切でここだけ切り取ると最悪の表現なんだけれど、魚たちの「遺影」を撮っているような錯覚にすら陥ったりします。

現実には、魚たちは今日も元気に生きていて、現場の飼育スタッフさんたちも今まで通り、一生懸命にそして楽しそうに生き物たちの世話をしていらっしゃったので、本当に失礼極まりない表現ではあるのですけれど。

最後に一枚。

アジア・コーナーにいる、インディアン・ショベルノーズキャット。

今年の7月に見た時には、同居の魚と喧嘩でもしたのか頭にえぐれたようなひどい傷を負っていて、あまりに痛々しくて写真を撮るのをためらってしまうほどでした(実際、撮ってなかった)。

今日見たら、上の写真のようにまだ完治というわけではないけれど、傷はだいぶ治ってきたようです。魚たちの生命力と、飼育スタッフの皆さんの努力をしみじみ感じながら、カメラに収めさせてもらいました。

改めて、彼らが1匹でも多く「次の場所」で生命を繋げられるよう、心から願っています。そうしたら、またいつかどっかで会いに行くからさ!

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