【水族館探訪記】今年7月オープン!「AOAO SAPPORO」に行ってきた!

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9月某日。

『夏の終わりの北海道遠征』、初日の夜は札幌泊まり。
今年7月20日にオープンした都市型水族館「AOAO SAPPORO」に行ってきました!!

場所は、札幌市の中心街・狸小路にある商業施設・moyuk SAPPORO 内。
moyuk SAPPORO自体が、今年7月20日にオープンしたばかりの施設です。行って分かったけど、自分が学生時代にはドン・キホーテがあった場所でした。

商業施設の中という立地上、外観は省略。(人が多くて撮れなかった)

【2023年 夏の終わりの北海道遠征シリーズ】

あの日見たサケたちは、きっともう生涯を閉じてしまっているかな。そして今日も新しいサケが何匹も、あの川を遡っているんだろうな。

■初手から意表を突かれたのだ。

moyuk SAPPORO内の4階~6階が、まるまる水族館エリア。

エスカレータでビルの4階まで上がり、エントランスホールへ。チケットを購入し、さっそく館内へ入ります。

(さて、最初はどんな生き物がいるかな)
そう思いながら順路を進んで最初に広がった光景に、ちょっと意表を突かれました。

「LABORATORY 水の循環のラボ」という、水族館のバックヤードをそのまま見せたような空間。配管類が走り、人工海水のタンクがそびえています。

空間を一瞥して素通りしていく人々を尻目に、カメラを縦にしたり横にしたりしながら空間を堪能して、ついつい想定外の長居。
水族館のバックヤードとか研究室っぽい場所、大好きなのです。

この空間の一角には2か所の書棚が。それもインテリア調の本棚ではなく、業務用の無骨なスチール・ラックでした。

そこに並んでいるのは、こんな本たち。
興味深くて、思わず望遠レンズで背表紙を1冊1冊、確認してしまいました。

図鑑や専門書の数々。
お魚業界のバイブル的な図鑑や今では絶版になっている名著もあって、そしてなによりもその使い込まれた質感が静かに存在感を放っています。

これたぶん、その辺の古書店でただ買い集めてきた本じゃない。
どこかの現場で、大事に大事に何度も読み込まれてきた蔵書たちだ。

(※この蔵書たちはどこから来たのか。後日その真相を知り、さらにびっくりしました。この場所でいつまでも大切にされていってほしい)

■さて改めて、水槽展示エリアへ。

さすがに本の背表紙を眺めるのが主目的ではないので、さらに順路を進みます。

コンセプト・ボードを一読し、いよいよ水槽展示のエリアへ。

4階フロアはエントランスホールとミュージアムショップの面積が大きくとられ、残りは「LABORATORY 水の生物のラボ」というバックヤード風の展示コーナーになっています。

観覧通路とバックヤード側がガラスで仕切られていないのが、どこか新鮮。スタッフの方との垣根の低さを感じました。
(壁面の大きなホワイトボードにスタッフの方向けのお知らせが書き込まれているのも、たぶんそんな演出なのかな~)

このエリアの水槽のいくつかにも小さなホワイトボードが設置してあって、飼育に関するミニ情報が書き込まれています。

無機質なオシャレ空間というだけではなく、飼育員の方の人間性を垣間見ることができてほっこり。演出だとしても、なんだかいいですね。

スジアオノリの培養水槽。
小さい文字ながら、磯焼けの問題にも言及されています。
「水族館で海藻を増やすことはできるだろうか。」というメッセージ。

クライゼル(太鼓型)水槽を、けっこうな速さでグルグルと流れるスジアオノリ。
その姿を撮りたくなって、思わずマクロカメラを携えて何度も何度もシャッターを切る。

ん、なにやってるんだろう俺……。

ちょっとしたテーブルやイスもあって、ここはここで腰を据えてじっくり過ごしてみたかったのですが。

まずは先を急ぎ、奥のエスカレータで5階へと上がります。

■水族館で見るネイチャー・アクアリウム、やっぱりいい。

5階に上がると広がるのは、黒基調のシックな内装にいくつものネイチャー・アクアリウムが浮かぶ空間。

ベンチは木製で、どこかあたたかみを感じる空間。

水族館でネイチャー・アクアリウムを見かけると、つい、水草の茂みを生き生きと泳ぐ魚たちの姿を探したくなります。

今回は特にレインボーフィッシュたちがいい仕上がりを見せていたので、じっくり堪能させてもらいました。

レインボーフィッシュの一種、メラノタエニア sp.。
観賞魚として比較的よく見かけるトリファスキアータ あたりかなと最初は思ったけど、いろいろ参考資料(この水槽を監修したADA社の情報誌など)を調べたところ、sp(種不明)個体のようです。Melanotaenia goldiei あたりにも似ている。

こちらもおそらく未記載のレインボーフィッシュ、メラノタエニアsp. “KALI TAWA”。
見事な真紅の婚姻色を出して、オス同士でヒレを広げて、盛んに誇示行動をしていました。

こういう魚たちはやっぱり水草がたっぷり植えられた水槽で泳いでいてほしいし、生き生きとした営みをずっと眺めていたくなります。

ネイチャー・アクアリウムって単なる家庭用のインテリアと思われがちだけど、こういういわゆる「小型美魚」の魅力を伝えるにはベストな方法の1つなんだと思う。

ここまで大型のネイチャー・アクアリウムを自宅に置くことは容易ではないし、誰かのご自宅にお邪魔してホイホイ見られるものでもない。
水族館でこういう水槽が見られること、魚たちのしっかり仕上がった姿やその生態をじっくり観察できること、嬉しいのです。

※厳密に言うと「水草レイアウト水槽」がすべて「ネイチャー・アクアリウム」というわけではない。
ネイチャー・アクアリウムの導入は、すみだ水族館やAOAO SAPPORO以外にもずいぶん増えましたね。

さらに言うと、海外で提唱されている「ビオトープ・アクアリウム」(レイアウト素材や水草の産地にもこだわり、自然環境の再現を目指した水槽)のレイアウト思想なんか、より水族館向きで面白いと思う。
(そういう呼び名を使っていないだけで、そのコンセプトに合致した水槽自体は割と昔から見かけるような気がしますが。)

このフロアの奥まった一角には、ネイチャー・アクアリウムの提唱者でありADA社の創設者でもある故・天野尚さんの紹介コーナーも。

天野さんのもう1つのライフワークであった生態風景写真の大型パネルが、何点も展示されていました。
水槽写真じゃなくて風景写真で統一しているのがいいなぁ。(だってここは水族館、水槽はいくらでも実物が見られるので)

ぼくはいわゆる「ADA信者」ではないけれど。
東京で以前開催されていた「NATURE AQUARIUM展」にふらっと足を運んで感じたのは「水槽すげぇ」以上に「自然風景の写真(と、それを撮りに行く執念)すげぇぇぇえ!」でした。

自分はいわゆる「ADA信者」ではなくて、むしろとっつきにくいイメージすらあって敬遠気味だったんだけど、 実際に観覧したら、ゾクゾクするくらい興奮する展示でした。 長文になるけど、ちょっとご紹介。

■『書棚×水槽』が斬新で楽しい!LIBRARY AQUARIUM。

5階フロアを、もう少し探検。

フロアの残り半分ほどは、『LIBRARY AQUARIUM 観察と発見の部屋』というコーナー。

先ほどと一転、白基調のスッキリした空間。
その中に、比較的ゆったりとした配置で個水槽がいくつか散らばっている。

ぱっと見は、ニフレルやすみだ水族館など、既存のいくつかの水族館にも似たような雰囲気に感じました。

けれど決定的に特徴的なのは、こちら。

『LIBRARY AQUARIUM』の名前のとおり、このエリアには至るところに本棚が配置され、たくさんの本が並んでいます。

それも、海/魚/生き物 といったジャンルの売れ筋本をとりあえず集めたというわけではなく、生物書に限らず、あらゆるジャンルの本が配架されているのです。

さらに、個々の水槽の傍らには、その水槽の住人にちなんだ本が並べられるというこだわりっぷり。

たとえば、こんな感じ。

「ケヤリムシ」の水槽の横に並べられた、大名行列に関する歴史書。

なるほど。
「ケヤリムシ」 ⇒ 「毛槍」 ⇒ 「大名行列」 という連想ですね。

こちらはTwitter上でも少し話題になっていた、「ウナギの隣に置かれた鰻の本」。

残酷とか言わないでほしいよ。

だって実際に泳ぐのは、食用のウナギじゃなくて古代魚のアミメウナギなんだから。
(そして本物の「ウナギ」は別のエリアで展示されていたりして、アミメウナギの隣に鰻丼の本を配置するの、確信犯的でズルいよなあ。。 ←褒め言葉)

この2つの例なんかはまだ分かりやすい方で、なかには「え、なんでこの魚の横にこの本なの??」なんてしばらく考えこんでしまうような選書もいくつもあって。

これは本当に、知的感覚を鋭く刺激される仕掛けでした。
率直に言って、楽しい。

水族館での知的体験というと、まずは「目の前の生き物の正体を知ること」となるのでしょう。そして、そのための補助ツールとして各種の解説板や魚名プレートが設置されているのだろうと思います。

一方で、「見知らぬ生き物を見る」 ⇒ 「魚名板で名前を知ってなんとなく分かったような気になる」という光景を、水族館で何度となく見ているような気もするのです。
(そんな記事を、だいぶ昔に書きました。古い記事で、読み返すとちょっと恥ずかしいですが)

「イロカエルアンコウ」は、実は色を変えません、という話。

AOAO SAPPOROの「水槽の傍らに本を置く」という展示手法。
「魚名板を読み上げて知った気になる」というのとはまったく別な角度で知的好奇心をギュンギュン刺激してきて、本当に楽しめました。

それにしても、選書の幅の広さ、深さよ。

南米のハチェット・フィッシュの水槽脇に置かれた、斧の本。
「ハチェット」 ⇒ 「手斧」という連想そのものは比較的に簡単ではあるのだけれど、「斧本」なんてジャンルがこの世にあることを知らなかったよ。

ちなみに著者のブキャナン=スミス氏は「斧の第一人者」であるらしく、、、
いやまず「斧の第一人者」ってどういうこと?何者??!と激しく興味を惹かれ。
うっかり、斧の沼に墜ちてしまいそうになりました。(斧は沼に落とすものだと思ってたけど、沼に墜ちるものでもあったのか……)

今回は初訪問だったのであまり本を手に取れずに館内を廻ってたけど、ここ、この調子で1冊1冊じっくり見始めたら、朝から晩までいても時間が足りないぞ……!

※この項の最後に。
「忖度のステマ記事」と思われたくないのであらかじめ言っておくと、実はここのコーナーの選書をしたのは私の親しい友人なのです。(To 本人へ:正体を明かしていいのか分かんなくてこんな書き方になったけど、なんか修正あったら後でLINEください。)
本当に本当に魚が好きで本が好きで水族館が好きな人なので、なんだかいかにもな展示コーナーが出来上がったもんだなあと、終始ニヤニヤしながらこのフロアを徘徊したのでした。

同じフロアにはテーブルとイスがゆったりと並んだコワーキング・スペースがあり。
ここでも書棚の本をゆっくり読めるようになっています。

いいなぁこの場所。
生き物好き同志で集まって、水槽を観たり本を手に取ったりしながら語り合いたい。

■最上階へ。「北海道の都市型水族館」で思ったこと。

エスカレータをさらに登り、最上階の6階へ。
(動線が分かりづらいって批評もどっかで聞いたけど、商業ビルなんてあんなもんじゃね?自分にとってはデパートとかヨ●バシカメラとかの方がよっぽど分かりづらい)

6階フロアはこれまでの階のテーマとはうってかわり、「PENGUINS」(ペンギン)と「PLANKTON ROOM」(クラゲ)という人気生物が、それぞれのエリアの主題となっています。

クラゲ水槽。
ミズクラゲを中心に、数種類が展示されていました。

奥の水槽も重なって見えるこの角度、なんだか好き。

ペンギンコーナーのキタイワトビペンギンたちは、2021年9月に悔しくも閉館してしまった京急油壺マリンパークで飼育されていたペンギンたちなんだそうです。

名前が北海道の市町村名に改名されていました。

この場所が安住の地になるといいなぁ・・・。もう、水族館がなくなるの見たくないんだ。

フロア内には「シロクマベーカリー&」というカフェ/バーが。
札幌市内に本店を構える「シロクマベーカリー」とのコラボ出店だそうです。(前身の業態から数えると、創業75年の老舗パン店なんだとか!)

ナイト営業向けに、お酒の販売もしています。
大好きなサッポロクラシックを、思わず一杯。(水族館で飲むお酒が大好きな人)

このフロアは水槽まわりにふんだんにベンチやテーブルがあって、ゆっくり飲食しながら水槽を眺められるようになっています。

楽しそうにくつろいでいる人の後ろ姿を見て、なんだかほっこりした。の図。

「大自然」「試される大地」というイメージが強い北海道で、こんな人工的な水族館空間には違和感を覚える人もいるのかもしれない。

でも札幌だぞ。

東京生まれ東京育ちの元・道民(数年間だけだけど)の感覚としては、札幌の中心街って東京と同程度に、いや密度としてはひょっとするとそれ以上に都会だったりします。

そこにこういう水族館があることにはあまり違和感がないし、逆に「北海道なんだからローカル色の強い展示にすべし!」みたいのは、まぁ外から遊びに来た人のエゴだよね。

都市型水族館は、首都圏だけの専売特許じゃないと思うんです。

(コロナ禍よりももっと昔、4年ほど前に北海道遠征したときの感想。まぁまぁ予言めいてたので、稚拙な文章だけど発掘しておく 笑)

北海道旅行・最終日。帰りのフライトの時間に追われつつ、札幌市内の「サンピアザ水族館」へ。道内唯一?の「都市型水族館」で、ちょっと真面目に考えたこと。

■余談ですがマクロ撮影がめちゃくちゃ楽しいAOAO SAPPORO。

レインボーフィッシュの一種(Melanotaenia sp.)

鰭と鱗の造型を、ぐっとマクロで。

ミズクラゲの眼点。

リーフフィッシュ(Monocirrhus polyacanthus

アオギハゼ(Trimma caudomaculatum

こういう写真を撮り始めると時間がなんぼあっても足りなくて、めちゃくちゃ楽しかったです。しっかり時間を作って、また行きたい。

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写真素材のピクスタ

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