たまには機材の話。最近のお気に入りレンズの話です。
半年ほど前に購入したのはこちらのレンズ。
久々のニコン純正レンズ購入。
最近はタムロン、シグマばかり使い倒してました(ニコンさんごめんなさい……)。
レンズ仕様をズラズラ書こうかと思ったのですが、長くなりそうなのでポイントだけにしておきます。詳しくはニコンさんのHPをチェックしてみてください。
【主なスペック】
・DX(APS-C)専用レンズ
・焦点距離:フルサイズ換算60mm
・等倍マクロ、最短撮影距離:0.163m
・開放F値:f/2.8
・レンズ重量:235g
・実勢価格:¥20,000 前後(税抜)
フルサイズ換算60mmと、ほぼ標準レンズに近い画角。そして小型軽量。リリースからだいぶ経つこともあり、新品でも2万円程度で買えるのも魅力です。
このあたり、いわゆる「撒き餌レンズ」の条件を満たしており、しかもマクロ撮影まで楽しめます。持っていて損をしない、気軽に手にしやすいレンズだと思います。
※正直、カメラと出会った初期にこのレンズの存在を知っていれば確実にもっと早く手にしていたレンズです。
ニコンの「撒き餌レンズ」としては AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G のほうが有名で、店頭で見かけることも多く、その陰に隠れがちな1本という感じでしょうか。
■実写レビュー、まずはマクロ撮影
さてさて、というわけでさっそくNewレンズを持って水族館へ!
(以下、昨年9月~12月くらいに仙台うみの杜水族館で撮った写真です)
マクロレンズ(ニコン公式は「Microレンズ」)なので、まずは魚の素顔にぐっと寄ったクローズアップ撮影を。
水中をホバリングするシマゾイを被写体としてロックオン(ロックフィッシュだけにな……。)
目元や口元の造形に、ぐっと寄ってみました。
もうちょいクローズアップ。鱗の1枚1枚がくっきりと。肉眼では気付かない造形に気付けるのが、マクロ撮影の楽しさですよねー!
ちなみに最短撮影距離は0.163m。これはカメラ本体のセンサー面からの距離なので、実際に撮ってみるとレンズの2, 3cm前の被写体にもピントが合います。
水族館の水槽のアクリルって小さめの水槽でも厚さ数cmくらいあるので、つまり水族館では「このレンズで撮れない被写体はほとんどない!」ということですね。(あくまで数字上は)
フルサイズ換算60mmなので、ちょっと引くとこんな感じで自然な画角に。寄ってよし引いてよしなレンズです。正直、「水族館のお魚撮影」ならばコレ1本でだいたい間に合っちゃうくらい。
せっかくのマクロレンズなので、小さい魚も狙ってみました。数センチの魚を近からず遠からず写しとれる射程距離、とてもいいです。
そして235gと軽量なので、こういうシーンをじっと待つときも重さがあまり苦になりません。
(例えば「タムキュー」(タムロン製の90mmマクロ)あたりだとレンズ単体で600gくらいあり、カメラ本体の重量しだいですがトータル1kg前後。腕力がない貧弱男子なので、まぁまぁ腕がプルプルします 笑)
■実写レビュー:クラゲ
さて、お次はクラゲ撮影。
クラゲの触手の繊細さも、マクロレンズで撮っていて楽しい被写体です。
まずは定番のミズクラゲ。
これまで使っていた90mmマクロレンズと比べて被写界深度が深いので、手前の触手にピントを合わせてもボディ全体がナチュラルにディテールを留めてくれます。
クラゲって常に水流に漂っているので、ある意味では魚より「止まらない被写体」なのですが、ISO400・絞り値f/5を保ちながらもSS:1/200秒まで追い込むことができました。
こちらはクラゲの中でも色鮮やかなハナガサクラゲ。
まるで宇宙船みたいに2匹並んで流れてきました。いや、宇宙船、見たことないけど。
ミズクラゲの写真と同様、触手のディテールをマクロ的にとらえながら全体観もしっかりおさめてくれる距離感がよいです。中望遠マクロほど被写界深度がシビアではないので、生きものの全体像を自然に撮れるレンズです。
個人的に、これまでめっちゃ苦手だった有櫛動物(クシクラゲ類)の撮影。
櫛板の反射がとても美しいのだけど、なかなかこの美しさをきっちり撮らえられないのです。。(櫛板が常に波打っているので、シャッタースピード落としすぎるとブレる説)
こちらはかなり暗い水槽なので、ISO6400まで上げてSSを確保、みたいな感じでどうにかこうにか。
■魚をポートレイト撮影できる画角。
既にちょいちょい書いてますけれど、APS-Cで40mm(フルサイズ換算60mm)という画角が「魚の1匹撮り」するのにとても自然な画角で。
マクロ積んでるからぐっと寄ろうと思えば寄れるし、f/2.8としっかり明るいので深海水槽でも問題なく撮れますし、コレ1本でかなり万能に「魚を撮れる」レンズです。
というわけで、そんな「お魚ポートレイト」写真をいくつか。(個人的には「魚ートレイト」と呼びたい 笑)
メダイ。
やや暗い水槽ですが、ISO800くらいで無理なく撮れました。
ホウボウ。
目にピント合わせると綺麗な胸ビレがボケて、立派な胸ビレにフォーカスすると顔や胴体がボケてしまうのですが、少し下がる & f/5くらいまで絞ることで上半身に自然な感じにピントが合います。
正面顔!
肖像画風に撮ってみました(笑)。
1mちょっとあるアリゲーター・ガー。
ガーってとにかく横に長い(そして顔が長い)ので、なかなか全身をおさめにくいのですよねぇ。さすがに斜めからの角度ですが、顔にピントを合わせつつ、どうにか全身をおさめることに成功。重厚感がとても好き。
■魚だけでなく、館内撮影にも!
本当はひたすら魚のアップ写真ばかり撮っていたいんですけれど、一応こういうブログやってると欲しくなるのが「水族館内の雰囲気が分かる写真」。
広角レンズ持ってれば使うけど、レンズ交換が間に合わないし……みたいなときも、さりげなくカバーしてくれる40mmマクロさん……好き。
ヨシキリザメさんの飼育800日目を。
水槽横の電光ボードを一緒におさめたかったので、少し引いて撮りました。
大雪の翌日、雪だるまが添えられたニホンリスの展示エリア。
適度に絞ることで、背景の巣箱をさりげなく入れこんでみました。
イルカパフォーマンス。
さすがに広角レンズで撮るようにスタジアム全体を写すことはできませんが、背景の雪原も入れつつイルカのジャンプを撮ってみました。
■大水槽でも撮ってみた
大水槽、いつもはついつい広角レンズで撮りたくなってしまうのですが、敢えて我慢して(?)40mmマクロで撮影。
結果、これが意外とよかったっていう(笑)。
マイワシの群れ全体を画角におさめつつ、真ん中のスナメリにピントを。
大水槽全体を撮るのにはさすがに広角が足りませんが、フットワークを使って適度に引くことで、意外と大水槽を撮るのにも使えました。
こちらはホシエイ。
広角レンズで撮るとなんでもかんでも写りこんでしまいますが、これくらいクロップしたほうが構図が整理されて、かえって雰囲気が伝わるのかもしれない、と気付きました。「写真は引き算」って言いますしねぇ。
仙台うみの杜水族館の大水槽は天然採光しているので、晴れた日は太陽光がしっかり入ります。適度に絞ることで、水中に透過した波紋の輪郭がはっきりします。(とはいえやっぱり水槽内って暗いので、あんまりむやみに絞れないのですが、、)
■結論:2021年現在、My メインレンズの座に君臨中。
ここまで書いてきた通り、マクロ撮影から館内・大水槽撮影まで幅広く活躍してくれる40mmマクロ。なおかつ小型軽量で携行性に優れ、お値段も新品で2万円+αと、コスパにも優れた1本です。
このレンズを購入しておよそ半年が経過。使うほどにこのレンズの使い勝手のよさが分かってきて、最近ではもっぱらメインレンズになっています。
逆に難点というと、2011年リリースとやや設計的に古いということくらいでしょうか。とはいえ単焦点レンズって比較的シンプルな構造をしているので、敢えて後継機を出さなくても今でも十分に現役を張れるレンズだと思います。
(ほかに注意点としては、前玉が繰り出す構造になっているので水族館では「ラバーフード」をつけておくと良いです。水槽アクリル面への衝突を防ぐことができます)
水族館によく行く方で「ニコンの一眼レフ(DX機)を買ったけど、レンズどうしよう」という方には非常にオススメできるレンズです。(どんなニッチな層だ)
まずはこのレンズで「一眼レフって面白いね~!」と思っていただいて、そこから更に望遠側が欲しくなればタムロン90mmあたりの中望遠マクロ、逆に広角側が物足りなければ明るめの広角ズームレンズあたりに手を出すのがいいのではないでしょうか!(これぞまさに「撒き餌レンズ」ですね~~)
※他社からも、たとえばCANONであれば35mmマクロとか、Lumix(マイクロフォーサーズ機)であれば30mmマクロとか、近い画角のマクロレンズが出ているようです。ぼくはニコンユーザーですが、他社ユーザーの方にも多少参考になれば幸いです。
コメント
とっても素敵なお写真ですね!!ファンです!!
ALGARIUMさんの作例に見惚れてしまい、今しがたこのレンズを購入してきました。水族館好きかつNikon D500を最近購入したけど、レンズどうしよう、というあまりにドンピシャな層だったので、驚いてコメントしてしまいました笑
ご活動応援しております!
コメントいただきありがとうございます!
D500、いいカメラですよねえ!ぜひ大事にしてあげてください!!
参考になったとのこと、たいへん光栄です!