【コロナ下の水族館】2021.06_京急油壺マリンパーク【9月30日閉館。。。】

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■東京遠征、メイン目的地へ。

2021年6月某日。
コロナ以降、初めての首都圏水族館遠征。

そのときに訪れた葛西臨海水族園とヨコハマおもしろヨコハマ水族館のことは、先に訪問記を書きました。

久々の東京遠征。コロナ禍で半年ぶりに営業再開した葛西臨海水族園、「完全予約制」でとても快適でした!!
クラウドファンディングの返礼品で「夜の水族館チケット」をいただいたので、久々におもしろ水族館に行ってきました!おもしろかった!

今回、この2館以上に「なんとしても行きたい」メインの目的地だったのが、神奈川県・三浦半島の先端にある「京急油壺マリンパーク」。

なにしろ、今年(2021年)9月末での閉館が決まってしまったのだから。
いわゆる「閉館ブースト」に与するのはなぁ……と悩みつつ、混む前にラスト1回くらいは行きたいぞ……と思いつつ。コロナの状況をじっとにらめっこしつつ。

仙台から始発の新幹線に乗り、品川から京急線に乗って辿り着いたのが、終着駅の三崎口駅。

三崎口駅の駅前からは、京急バスに乗り終点の水族館前へ。

実のところ、京急油壺マリンパーク自体、恥ずかしながら今回が2回目の訪問。
前回はマイカーで行ったので、このバスに乗るのは生まれて初めてです。

バスに15分ほど揺られ、水族館に到着。

園内案内ボード。
こういう「ペンギンはあっち、カワウソはそっち、水族館(屋内)はこっち」方式の水族館って、見てまわる自由度が高くて好きです。(旧スマスイとか、旧えのすいとか、鴨シーとか)

まずは水族館の本館(屋内展示)へ。

メガロドン(ムカシオオホホジロザメ)の顎の標本が出迎えてくれる、インパクト抜群のエントランス。ここで必ず記念写真を撮ってしまうのだけれど、後ろにもれなく映り込むんだよなぁ(それを狙っているのだろうか)。反射しない素材に変えてくれたら嬉しいな、とか細かいことを考えてしまった。もうすぐ閉館してしまうのではあるけれど。

■「魚の国」へ!

メイン建屋(本館)の名前は「魚の国」。
なんともテンションの上がる名前じゃないですか!!

館内図。
閉館間際というのは、こういう掲示物1つ1つを写真に撮りたくなってしまう。

館内、最初の水槽は「昔のままの姿で」。
もちろん”生きた化石”的な意味なのだけど、このレトロな水族館そのもののことも、なんだか連想してしまう。

右側の水槽が「昔のままの姿で」と掲題された古代魚水槽。チョウザメとガーパイクが泳ぐ。

チョウザメもガーパイクも、飼育歴30年~40年超の長寿個体ばかり。(これは2008年・開館40周年記念の掲示物なので、ここから更に10数年の歳を重ねているはずです)

■地元の海「相模湾」推しな素晴らしい館内

ご長寿な古代魚たちに出迎えられた後は、「相模の海から」コーナー。

エントランス脇にはこんな図鑑みたいな展示パネルまであって、本当に地元の海と密着した展示エリアなのです。

浅瀬から順に、徐々に水深を増していく展示順路。
水槽から漏れる照明の青さが、徐々に濃くなっていく。海の深さに引きずり込まれるような空間。(小さい子にはちょっと怖いかもな 笑)

後半はけっこう暗めです。

ところで個人的にとても好きなポイントは、それぞれの水槽の上に三浦半島の海辺の写真が貼られているところ。なかなか気付きづらいところですが。

水槽の展示から実際の(それもすぐそばの)海を連想させる工夫って、すごくいいなぁと思うのです。

「内湾の生きもの」水槽。
自然の磯ではなく、あえて人工的な護岸を模した水景。

こちらは「湾内の生きもの」。
漁網や廃タイヤという人工物を配したレイアウト。リアルな東京湾を感じさせてくれます。

同じエリアを、逆側から。
THE 古き良き汽車窓水槽。

いかにも昭和のレトロな水族館だし、はっきり言って地味ではあるのです。ただ、地元の海のことをしっかり伝えようというテーマが明確で、とてもいいなぁと思う。こういう「地に足のついた」地域密着型の展示、都心部には意外と少ないのです。ゼロとは言わないけど。

少し順路を進むと、今度はこんなポスターが。

なんだかB級ホラーな香りのする迫力……
しかしこれが、とても貴重で充実した展示エリア……!

でっかいメガマウス、どーん!!

模型みたいに見えますが、実際に相模湾で捕獲されたメスのメガマウス!(の剥製!)
世界で37例目の発見例だそうです。超貴重!!

その際に得られた標本たちも、剥製の下のガラスケースにズラリ。
生きものの行方も気になりますが、この標本たちが閉館後どこに行くのかも気になるところです。

このメガマウス展示エリア、個人的になにより見どころだと思うのはメガマウス捕獲から標本採取、展示までのドキュメンタリー動画!
モニターでずっと流れてて、定置網の中を泳ぐメガマウス水中映像とか、貴重なシーンに思わず魅入ってしまいました。

※全編ではないですがYouTubeでも視聴できます(閉館後も残しておいて欲しい……)

■唯一無二のパノラマ大水槽。

メガマウス剥製の脇の階段を登り、2階展示エリアへ。

目前に広がる、青いパノラマ。
吹き抜けの2階エリアは、ドーナツ状の回遊大水槽になっています。一説によると、こういう形状の大水槽としては世界最大級とのこと。(水量約600トン)

魚眼レンズに変えて全景を撮影。
円形のフロアをぐるりと囲む青い照明、その下に映し出される、等間隔に仕切られた水中世界。それらのクールさと対比をなす、中央に鎮座するメガマウスの異形。

水族館要素をこれでもか!と詰め込んだ空間。全然古くさくなんてない。この空間が間もなく閉館し、この世から消えてしまうということが信じられない。

再び標準レンズにつけかえて、円周状の1/4ほどを切り取ってみる。かっこいい。
このときは平日の午前中(かつイルカショーの真裏の時間帯)ということもあり、このほぼ無人状態の大水槽をしばらく堪能できました。

そして大水槽を泳ぐ主役は大型のサメたち。中には他では見られない貴重な種類も。

それがこのオオメジロザメ。
本州の水族館では、唯一ここ油壺だけで展示されています。(沖縄から運ばれてきた個体が3匹展示されている)
大型の遊泳性のサメで、時には人を襲った例もある、数少ない「本当の人食いザメ」。(人を襲う「危険なサメ」はほんの数種類です)

※調べたところ、オオメジロザメの繁殖実績まである沖縄・美ら海水族館でも現在は展示していないとのことで、もしかすると現時点では日本で唯一ここでしか見られないサメなのかも。本当に貴重な個体だ……。閉館後もどこかほかの場所で展示継続されることを、心から願います。

こちらはノコギリエイ。(ノコギリザメ、ではない)
これまたとても立派な個体。長い「ノコギリ」を威風堂々と振りかざしながらターンする様子がカッコいい!(しかしこれも、閉館後に運ぶのが大変そうな魚ですね……)

大水槽にはほかにも、レモンザメやシロワニといった大型サメ類が悠々と泳いでいます。

そんなサメ・エイたちばかりに注目しがちだけれど、一方で個人的にいいなぁと思うのは脇を固める回遊魚たちのラインナップ。
このとおり、イサキやカゴカキダイといった魚が大量に群泳しています。これらは地先・三浦半島の海でもよく見かける魚種ばかり。「黄色い綺麗な魚」が群れているとつい熱帯魚だと思ってしまいそうだけど、いやいや地元の魚たちで固めてますよ、という。

円周状の大水槽は等間隔に支柱で区切られていて、その1枠だけを切り取っても1つの立派な水槽展示に見えます。(本当は全区画撮ろうかと思ったけどやめた 笑)

で、このときは前述のとおり平日・午前中・イルカショー裏という時間帯で空いてる大水槽を悠々と満喫していたのだけど、イルカショーが終わり午後イチくらいになるとこんな感じ。
(※以下、プライバシーに配慮し写真を適宜加工しています)

平日にしては、なかなかの賑わいぶり。2021年6月訪問時ですが、既に「閉館ブースト」の兆しでしょうか。

実はこの時間帯、大水槽での餌付けガイドイベントがあったので、今度はそちらに人が流れてきたようです。

ノコギリエイの豪快な摂餌シーンや、エサめがけて集まってくるイサキやカゴカキダイの群れ。なかなかに壮観でした。(前方はまぁまぁ混雑していたので、後方から眺めるに留めておいたけど……)

■本館そのほか(特別展、サメ展示、お魚ショー)

混み始めた大水槽前を抜け出して、再び本館1階へ。
大水槽の真下は特別展コーナー。

このときは夏らしく「タイドプールの生きものたち」という特別展。(※タイドプール:潮だまり。潮が引いて磯にできる水たまりのこと)

三浦半島というと磯遊びに適した磯があちこちにあるスポットで、ここ油壺マリンパークのすぐ下にも磯遊びスポットがあったりして、なんだかとってもローカリティあふれる企画展!

コロナさえなければ家族でこの展示を見て、そのあと近くの海水浴場で磯遊びして、みたいな夏休みの光景がたくさん見られたのかなぁ。

特別展示室の中はこんな感じ。
自由研究のネタになりそうな情報があちこちに散りばめられています。

単純だけど分かりやすい、潮の満ち引きをあらわした水槽。(造波装置によって水位が変わります)

「イソギンチャクは動く!」ということに着目し、かつそれを分かりやすく伝えてくれる展示方法。(前の写真中央の青い水槽)

磯遊びのHOW TOをめいっぱい説明してくれるパネル&展示物たち。つくづく「水族館は海への入り口」ということを体感させてくれる水族館です。

そこはオリンパスTG-6あたり推奨なんじゃないの?!と思いつつ(笑)

本館1階、ほかにはこんなサメ展示とか。

「美ら海水族館からやってきたサメたち」。

展示されているのは、ヤジブカとネムリブカ。(奥にいる背びれの先端が白いサメがネムリブカ)

ヤジブカは「いかにもサメ!!」って感じのフォルムや顔つきがカッコいいですねぇ……!
こちらもそれほどあちこちで展示されているサメではないですし、ぜひどこか他の水族館で引き続き展示されてほしいところ……。

そしてこのサメ水槽の横にあるのが、最近ではあまり見なくなったこんなコーナー。

「魚のパフォーマンス(魚のショーホール)」。
磯魚のなかでも慣れやすくて知能が高い(というか好奇心が強い)イシダイが、いろいろな一芸を見せてくれるという趣向。魚の持つ能力を分かりやすく伝えてくれる展示手法で、こういう「ショー」はいいよなぁ、と思います。

昔はけっこうあちこちで見られた気がするけれど、今でも現存する水族館は減ってきましたね。コレがあると「あー、レトロな水族館に来たなぁ」という気分になります。(リニューアル後のうみたまごとかでも見かけたけど)

実際に魚に計算能力がある訳では、(たぶん)ないのだけど。

これまた、ショーの時間になるとけっこうな人だかり。
後方から雰囲気だけ撮影して、長居はせずに退散。別の場所でも書いたけど、久々すぎる首都圏遠征、無意識ながらやっぱりかなり神経質になっておりましたよ……)

ポツンと置かれたクラゲ水槽。
クラゲ展示って「映え」一点突破じゃないんだなぁ。これはこれで無機質な現代アートのようでカッコよくもある。無感情なクラゲが何かを語りかけてくるようだ。エモい。

■イルカ・アシカスタジアムへ。(ショーは見ていない。。)

ひととおり屋内展示(本館)を満喫したので、いったん屋外へ出てショースタジアムへ移動。

梅雨どきの訪問だったけど、運よく初夏らしい快晴!
園内いたるところにシュロやヤシの木が植えられていて「東京から行けるちょっとだけ南国」という風情。実際、神奈川県内の子どもたちにとっては定番の遠足先だったらしいし、そういう「プチ遠征」の格好の目的地だったんだろうなぁ。

ショースタジアム「屋内大海洋劇場 ファンタジアム」の入り口。
ここは完全屋内型のショースタジアムです。入口のアシカ(?)も、しっかりマスクしてる(笑)。

ショーはショーで時間があれば見たいなぁと思いつつ(と言いつつけっきょく見ずに終わった)、あまり人がいない状態のスタジアム内を見ておきたくてシュータイム外に入場。

おかげで、完全無人状態のスタジアムを拝むことができました!
まぁまぁ歩き回って疲れたのと涼を求めて(水族館内はコロナ対策で換気されまくってて涼しくなかった)ここでしばし休憩。

それにしても実に味わい深いスタジアム。
いや「屋内大海洋劇場」という名前どおり、これは劇場なんだろうな。そんな雰囲気。実際ここのショーはかなり評判が高いらしい。ミュージカル仕立ての凝った演出は唯一無二、という触れ込み。

※「らしい」と書いたとおり、前回訪問時(2014年)にもショーは見ず。この日せっかくだから時間が許せば見るつもりだったのですが、あちこち見ていたら夕方になり、見逃してしまいました……。

ショーの時間外ということで、目の前ではリハーサルが行われていました。完全に貸切状態でずっと見ていられて、これはこれで贅沢といえるかも。

観客席後方には、ステージ演出のための音響ルームが。
こういうなんてことない小物も、閉館間際だと思うとなんだか妙にノスタルジック。(「ゴボ」ってなんだ???)

スタジアム内で少し体力回復させてもらって(ジュース類の自販機が充実しててありがたかった)再び屋外へ。

アザラシプール裏の水処理設備たち。
こういうのが見れちゃうのも、昔ながらの水族館というか。(今だったら間違いなく屋内に収容するなり目隠しするなりするんだろうな)

園内から眺める油壺の海。
東京や横浜の都市部に住んでいて休日にこの景色を見たら、やっぱり「ちょっとだけ遠出してる」って気分になるんだろうな。

このコロナ下でますます貴重に感じられる、屋外施設ならではの開放感。いまの時代だからこそ、そういうポイントってもう少し訴求できたんじゃないかなぁ。なんて素人が勝手なことを妄想したりしてみた。
(もちろんそもそも「不要不急の外出」ってやつがアレだったりするわけですが)

ふと気づけばお昼どきを少し過ぎている。朝からかなり歩いてお腹が空いたので、園内のレストラン「ログテラス」へ。(そろそろレストランも空いたかなと思いつつ)

三浦半島といえば湘南の海産物。
そして三崎といえばマグロの町。

まぁこちとら海の幸豊富なみちのく仙台から来てるわけですが、一旦それは忘れて名物ランチをいただきます!

「鮪づくし丼」だったかな。
つけあわせのマグロ角煮も美味しく、あっという間に平らげました!

■再び本館へ。
これこそ「油壺の水族館」の神髄だと思う。ここに水族館がある理由。

時間差を置いて、再び本館の館内へ。
「水族館を何周もする」ってまぁ ”水族館変態あるある” なわけですが、本当にいいですよ。生きものたちがさっきとは違う姿を見せていたり、館内の混雑具合も変わっていたり。

水槽展示のことは先ほど書いたので(2周目以降に撮った写真も含まれています)、ここではそれ以外にちょっと注目。

(先ほどと同じ写真です)
今度は右側にズラッと並んだ標本類や文字展示をじっくり読んでいきます。

こんな感じで、ガラス張りのショーケースに様々な展示物が陳列されています。水槽展示は無理だとしても、こういう資料類はなにかしらの形で残してほしい(資料館とか)。

それくらい、ここ油壺という土地は日本の水産・海洋研究に名を残す場所なのです。

(ぼくの拙い説明なんかよりも、この展示パネルを熟読してほしいのです……!)

明治時代、日本で初めての臨海実験所が作られたのがここ三崎・油壺の地。
今でも東京大学の三崎臨海実験所という形で、水族館のすぐ横に現存しています。

東大理学部出身の畑正憲さん(ムツゴロウさん)の著作にも登場したと記憶しています。
最近では、日本テレビアナウンサーの桝太一さん(東京大学農学部出身)も出演番組内で今回の「油壺閉館」について言及されていました。
同じ生き物好き・水族館好きとして、同意しかないんだよなぁ。

東大の臨海実験所はもちろん普段は一般公開されていなくて(見学は可能なようですが、事前予約・審査が必要らしいです)、その代わりに油壺マリンパークがこの地での水産研究・海洋研究を世間一般に広く紹介する役割を担っていたと思うのです。

和歌山県にある京都大学の付属水族館(白浜水族館)のように、東大付属の施設として小規模でも残してくれたら嬉しいんだけどなぁ。

初代館長は末広恭雄さん。
子どもの頃、けっこう読んでたな、末広先生の本。「魚っておもしろいよ」を一般向けに分かりやすく伝える第一人者みたいな方ですね。

明治時代に三崎臨海実験所ができて以来、ここ油壺の地で発見・記載された生き物も数多く。
このミツクリザメもその1種ですね。三崎臨海実験所の初代所長だった箕作佳吉(みつくり・かきち)教授に由来して命名(献名)されています。

ほかには東京湾で採集されたダイオウイカの標本だったり、ラブカやオオワニザメといったサメ類の標本だったり。館内のあちこちに、貴重な標本類が展示されています。

それらはちょっと不気味ではあるけれど、「水族館は単なる見世物小屋では決してなくて、水産・海洋研究と密接に関係した教育学習施設である」ということを伝えてくれていると思うのです。

■再び屋外へ。

本館2周目も満喫し、再び屋外へ。
後回しにしていた屋外展示を見て回ります。

うーむ、やはりつくづく、都心から電車1本で行ける立地とは思えない開放感(まぁ都内からだと1時間半近くかかるわけだけど)。
晴れた日に巡り合えて本当によかったです。

園内最奥にある「すいぞくかん学園」。
いろいろと体験プログラムがあったみたいだけど、コロナでほとんど中止中。

園内の原っぱに唐突にあらわれる魚の像。
一見ファンキーなおもしろモニュメントですが、実は園内で飼育されていた生き物たちの慰霊碑。

近寄って刻まれたことばを読む。胸に響きます。
水族館ではないけれど、個人レベルだけど、同じく生き物を飼う者として。

その向こうにはドッグランがあった。水族館の中にドッグラン。

油壺マリンパーク、実は「ペット同伴で入場できる」というなかなか稀有な水族館なのですね。

ペット同伴の際はここで「誓約書」を記入。
一説には犬だけではなく、けっこういろんな生き物も同伴OKらしいです。まぁあんまり変わった生き物を連れて歩かない方がいいとは思うけど。

イルカスタジアム内にもペット同伴エリアがあったりして、なかなか面白いところに着目しているなぁと思ったのでした。バリアフリーならぬ「ペットフリー」?

■「みうら自然館」と「かわうその森」

そのまま屋外エリアをぐるっと回り、「みうら自然館」へ。

こちらは、地元の希少な生き物の繁殖・展示施設。
地味かもしれないけど、こういうコーナーはとても好きです。(なにより、他が混んでいる日でもこういうとこは比較的空いている)

東京湾にもニホンアシカがいたという事実。知らなかった。
(※現在は絶滅してしまっています……)

これまた、日本人が絶滅させてしまった生き物のひとつであるニホンカワウソ。ここ三浦半島にも住んでいたんだなぁ……。

そんなカワウソ(コツメカワウソ)の展示施設もあります。

「カワウソが住んでいたころの自然の姿を」というコンセプトかな。
カワウソ以外にも、モモンガだったりコウモリだったりと水辺の生きもの以外も展示されています。(アクアマリンふくしまの「縄文の里」と似たような展示エリアですね)

カワウソたちの行動が観察しやすい展示で、ここもなかなか人気スポットでした。

■最後にもう一度館内をぐるっと回って、さようなら。

ここらで、なんだかんだ夕方近くの時間帯に。
ラストのイルカショーを見ようかどうかかなり悩んだんだけど、閉館時間までいると帰りのバスの混雑や都内の通勤ラッシュに巻き込まれそうで嫌だったので、少し早めに退散しました。

※このときは「まだ3か月あるし、9月末の閉館までにもう1回くらい行けるかもしれないからまぁいいか」くらいに思ってました……。結果的には緊急事態宣言が出ちゃったりして、まず間違いなく9月末までの再訪問は無理そうな状況ですが……。

最後に(「これが最後になるかもな」という予感も少しあり)園内をもう一度ぐるりと一周。

ショーの時間までは残れなかったけど、ショー開始ちょっと前のまぁまぁ人が入り始めたスタジアム。
※お客さんが多々写ってしまったので、ぼやかしてます。スモーク焚かれてるわけじゃないです。

ドーナツ型大水槽も再度じっくり眺め。

ありのままの館内をブログに残したかったので他の写真は必要最低限しかいじってないけど、1枚くらいは自分なりに「映え現像」してみました(笑)

オオメジロザメとも、最後にもう一度ご対面。前述のとおり、ほかの場所ではなかなかお目にかかれないサメですからね。

こんなでっかい生き物、どうやって運ぶのか分からないけれど、「絶対にどこか新天地でまたこの姿を見せてくれよ!」と祈りつつ。祈ることしかできないのだけれど。

お土産コーナーを少し冷やかし(久々に来館記念メダル作った)、いよいよ出口ゲートをくぐります。

バスが来るまで少し時間があったので、水族館周辺をちょっとだけ探索。

水族館すぐ横にある、初代館長・末広恭雄さんの記念碑。
「魚 わが友」という短いことば、シーラカンスの彫刻。魚への愛をこれでもかと感じる。

こちらが、水族館のすぐ横にある「東京大学 三崎臨海研究所」。
(背後にうっすら見えるのが水族館。徒歩1分くらいの距離)

あぁ、マジで「東京大学付属 三崎水族館」になってくれないかなぁ。小規模でもいいから。

駐車場の片隅にある駐輪場。地味に有料(笑)

このそばから水族館裏の磯に下れる遊歩道があって、思わず磯遊びに突撃しそうになったけど、何の準備もしてきてないし(時間もないし)がまんがまん。

このバスに乗るのも最後になるのかなぁ、なんて考えつつ、バスに揺られて三崎口駅へ。

途中、バスの車窓からいい感じの魚屋さんとか見えて、なんだかいいところだなぁ三崎……!と思いながら帰路につきました。

三崎口駅のホームより。
終着駅なのでこの先にもう駅はないのだけど、本当は油壺までの延伸計画があったのだとか。だから車止めの向こうまで、線路が少しだけ続いてる。

「たられば」は良くないけど、もし油壺まで路線が続いていたら、今回の休館のことも多少結論は変わっていたのかなぁ……と、電車を待ちながら思ったりもした。

■おまけ~閉館前の水族館に行くといつも思うやつ~

個人的な話をすると、もの心ついてから「閉館直前の水族館」に行くのはこれで3回目。

・一度目:
地元(宮城)の水族館である「マリンピア松島」。2015年閉館。
・二度目:
学生時代のバイト先である「東京タワー水族館」。2018年閉館。

どちらも思い入れのある水族館で、だから閉館が決まる前にも何度も足を運んでいた(マリンピア松島に関してはもっと通っておけばよかったと思ってるけど)。
そして当然、閉館が発表されてからも寂しい気持ちを抱えながら、何度も何度も足を運んだ。

今日時点ではジャウーもグリーンモレイもスッポンモドキも皆さんご健在で、それはそれで嬉しかったのだけれど、やっぱり気になるのは「来週の閉館以降、こいつらどうなっちゃうの?」ということ。

今回閉館してしまう京急油壺マリンパークや、今年3月に閉館してしまった志摩マリンランドについては、どちらも自分にとってそこまで「縁の深い」水族館とは言えないかもしれない。(どちらも、1~2回だけの訪問回数です)

ただ、マリンピア松島やタワ水のときの経験があったので、それぞれの水族館に思い入れがある人の閉館日までの胸中ってのが、なんだかうっすら分かってしまうような気がしたのです。

いわゆる「閉館ブースト」ってやつ。

閉館が近づくにつれて、これまでの寂れっぷりが嘘のように混雑する館内。
「最後らしいし久々に行ってみるか」的な客層の多さ。
それを見て「これだけの集客のポテンシャルがあるなら、潰れずに済んだんじゃないか」なんて思ったりもして。「みんな……閉館が決まる前に来てくれたらよかったのに……」なんてやり場のない気持ちを抱いたりして。
お土産買っても食事をしても「あぁ、この課金はもう新しい展示作りには生かされないんだなぁ」なんて思ってしまったり。
本当はせめて最後くらい静かに思い出をかみしめながら見届けたいのに、にわかに増えた賑やかさのせいでそれすら叶わなくて。

「水族館は自分だけのものじゃない」なんてことは百も承知なんだけど、それでもやっぱり、なんだか複雑な気持ちになってしまうんですよね。

今回の京急油壺マリンパークについては、自分もまさにそういう「にわか勢」の一人だなぁ、という自覚もあり(だってこれまで1回しか行ったことなかったですからね)。
だから閉館が近づくギリギリに行くのはそんな「閉館ブースト」に与してしまいそうであまり気乗りがしなくて、そして冒頭に書いた通りコロナの状況も見極めながら、このタイミング(2021年6月)の訪問になりました。
このブログ自体も「大して行かなかったくせに何言ってるんだよ」と自分にツッコミ入れながら綴っていて、だからあまり感傷的になりすぎず、なるべく「いつもどおりの水族館紹介」という視点で書いたつもりです。

※「閉館するならその前に行っときたいな!」という心理自体はとても共感できるのです。そして(コロナで外出自粛云々は別として)行ける方はぜひ無くなってしまう前に行って欲しいな、とも思いますし、それはきっと水族館側にとっても嬉しいことだろうと思います。ただどうしても閉館日が近づけば近づくほど、せっかく水族館に行ったのに上記のような複雑な気持ちになってしまうので、ぼくはあえてその喧騒がまだ最高潮に達しないタイミングを選びました。
「閉館間際の水族館」に行くのは正直、先ほど挙げたマリンピア松島(2015年)と東京タワー水族館(2018年)でお腹いっぱいな気分ですし、これからも自分にとって思い入れのある園館以外はこの「閉館ブースト」からは少し距離を置いて見守りたいな、と思うのです。

9月末の閉館まであと半月ちょっと。
自分はまず間違いなくもう現地に行けないのですが、最終日まできっと混雑は続くのでしょう。そんな雑踏の中に「そっと静かに最後を見届けたい常連客」が一定数いるってことは、ちょっと知っておいて欲しいなぁ……と思ったのです。

そして本当にもうこれ以上、歴史ある素晴らしい水族館が閉館しないで欲しいよ……。
(京急油壺マリンパーク、「建物や設備の老朽化」という理由ではあるけれど一方で割と近い将来にリニューアル計画があったという話もあって、やっぱりこれは「コロナ閉館」だと思わざるを得ないのです)

だから、なかなかあちこち外出・遠征しづらい世の中ではあるけれど、それぞれの場所で・できる範囲で「地元の水族館」を応援し続けることしかないんだろうな、と、改めて思ったのでした。

祝・緊急事態宣言解除!とはいえまだまだ「水族館遠征」ができる状況でもなく……。こんなときだからこそ「地元の水族館」を大事にしたいですよね!
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