【ペルー旅行記2014】④ オリャンタイタンボ観光編(10/6)

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<前回記事はこちら>

7年前のペルー旅行・2日目。アンデスの小さな町・オリャンタイタンボへ……向かうまでのタクシー騒動。

■ようやくペルー観光の始まり……!

アンデス山中の静かな田舎町・オリャンタイタンボで迎えた、ペルー滞在2日目の朝。

前日の白タク騒動からはうってかわって(というかその反動で)、たいへんおだやかな気持ちで目を覚ました。

前日は夕暮れどきだったし景色なんて見ている余裕もなかったのだけど、改めてホテルの外を眺めると、ここはとにかく景色の綺麗な山岳都市だった。

ホテルの中庭から眺める風景。山肌が近い!

こちらもホテルのベランダから。
山肌と、そして空がとても近い。

ホテルの裏山。
土壁の民家の向こうに、なにやら遺跡みたいなのが見える。そして山の頂には観測所のようなものが。

あぁ、できればあそこまで行ってみたいなぁ。

ホテル内のカフェで簡単な朝食。
堅めで、素朴な味のパンケーキ。

このままホテルでのんびりと景色を眺めているだけでも楽しいけれど、3人ともとりあえず高山病は大丈夫そうなので、朝食後はあたりを散策してみることに。
(オリャンタイタンボ:標高約2,800m。空港のあるクスコが標高3,400mなのでそれよりは低い。ここで高地順応してからクスコに戻る作戦です)

ここまでほとんど移動(とそれに伴うトラブル)ばかりだったので、ようやく観光らしい観光をすることになる。

南米ペルーの田舎町・オリャンタイタンボ。
もしかすると、というかかなり高い確率で、人生で二度とこの町に来ることはないのかもしれない。そう思うとなんだか目に映るすべてを、感じたことすべてをしっかり記憶して持って帰りたい。そんな感傷を少し覚えた。

今日はなるべく、カメラを携えながら歩こう。(もちろん治安には気をつけながら)

■まずはホテル周辺の路地裏を散策

我々が泊まっていたホテルは、オリャンタイタンボの町の中心部。そこでまずは、ホテルの周辺をぐるっと散策することにした。

町の中心部のアルマス広場。
高い建物がないことも相まって、山肌が本当に近い。さっきからそれしか言っていないけれど。

少しだけ裏路地に入ってみる。もちろん常に緊張感も身にまといながら。

建物はほとんどが平屋か2階建てで、外壁はたいてい石組みか素朴なレンガ造り。市街地は30分か1時間もあれば、だいたいぐるっと1周できてしまう。本当に素朴でちいさな、そして素敵な町。

ホテルのそばの小川をさかのぼりながら、路地裏を散策してみる。人生で初めて間近に見た「南米の水辺」。どんな生き物がいるのか、胴長と手網を持って飛び込みたい衝動にかられる(ぐっと我慢)。

あ、生活排水はおそらく垂れ流し。(今はどうなっているだろう)
石を組んで作られた排水路が市街地に張り巡らされている。

小川沿いを辿りながら、市街地の外れへ。ここから先は地元の方々の住処だろうか。のどかな光景だけど、どこかまだ異国の地への警戒心が強くて、ここで引き返すことにする。(いや、常に一定レベル以上の警戒心は持っておく必要があるのだが)

路地裏で見た、建築途中の住宅(たぶん)。
恐らく床下部分なんだけど、細い木材(生木)で支えられていることにびっくりする。

初めて見る南米の町並みに心躍りながら、一方でついこの土地の生き物も探してしまう。そしてついに、素晴らしい出会いがあった。

野生のハチドリが、吸蜜している!!!(写真中央やや左)

これは本当に思いがけない出会いだった。最初なにがいるのか分からなかった。もちろん、人生で初めて見る野生のハチドリ。(アメリカ大陸にしかいないからね)

実際のところハチドリは南米ではそこまで珍しくないらしいけど、これまで動物園でしか見たことのない生き物を野生で見ると、やっぱり感動してしまう。

■マチュピチュの前哨戦?オリャンタイタンボ遺跡を探検!

市街地を30分ほどかけて散策したあとは、町の西はずれ(といっても徒歩5分くらい)にあるオリャンタイタンボ遺跡へ。

「オリャンタイタンボ」という不思議な名前、「タンボ」はケチュア語(旧インカ帝国の公用語)で「宿場町」を意味する。そして「オリャンタイ」はインカの伝説の戦士の名前に由来する、らしい。(諸説あり)

つまりインカの時代(1533年にスペインに侵攻され滅亡)から、ここオリャンタイタンボは街道沿いの宿場町だったのかもしれない。そして海を渡ってきたスペイン軍との戦いの際に、インカ軍はこの要塞にたてこもって戦ったらしい。

そんなオリャンタイタンボ遺跡の入り口は、市街地から小さな橋を渡ってすぐ隣にあった。70Soles(約2,000円)の入場料を払い、遺跡の中へ。

遺跡のふもとから見上げる景色。すごい、予想以上に大きい。

石積みの要塞が、青空まで繋がっている。てっぺん近くを歩く人の姿はまるで豆つぶみたいだ。あんなところまでひたすら歩いていくのか……。(マチュピチュ遺跡の広さと比べたら可愛いものだけど、こちらは周囲に遺跡以外なにもない分、やたら広大に見える)

意を決して石段を一歩一歩のぼっていく。忘れてはいけないけど、ここは標高2,800mの高地だ。空気が薄い。そして暑くはないけれど、抜けるような青空から日光がさんさんと射してくる。

※分かりやすいように水族館で例えると、日本一高いところにある蓼科アミューズメント水族館が標高1,750mだそうです。(分かりやすいかは不明)

ひたすらまっすぐに続く石積みの階段。日差しを遮るものもなにもない。

ところでわれわれ3人の山歩きスキルにはそこそこ差があって、順番としては

Aさん(現役山ガール) > 自分(高校までときどき山男) > Kさん。

なので途中からはそれぞれのペースで頂上を目指すことにした。Aさんは軽快に高度を上げていく。ぼくはカメラ片手に途中途中の景色を撮りながら、Kさんはマイペースでゆっくりと。

中腹まで登ったところでの景色。手前の小さな門が遺跡への入り口。

麓にも遺跡群が続いている。解説がほとんどない(そしてあったとしてもスペイン語)ので、どんな施設だったのかはイマイチ分からないんだけど。

途中途中にこんなふうに何かの施設跡がある。
遺跡内はそんなに混んでないけど、ポツポツと団体客がいる。現地では、マチュピチュとセットで周るツアーが多いらしい。

だいぶ高いところまで登ってきた。
ここに写る景色が、ほぼほぼオリャンタイタンボの町の全景。山に囲まれた、本当にちいさな町だ。

町はずれにはサッカー場がある。ブラジルやアルゼンチンといった強豪ではないけれど、やはり南米らしくペルーでもサッカーが盛ん。どんな田舎に行っても必ず小さなグラウンドがあった。

それにしても標高3,000m級の高地でフルコートのサッカーなんてすごい。とんでもなく心肺機能が鍛えられそうだ。(実際、南米予選あたりだと高地での試合でときどきジャイアント・キリングが起こりますね)

遺跡入り口に広がるマーケット。お土産品や民芸品を売っている。帰りに寄って行こう。

遺跡の中腹からは、山肌を横に伸びる細い登山道が。

マチュピチュまで続く「インカ道」という古道があり、それを数日かけて歩く「インカ・トレック」というツアーが人気らしい。これまた、相当な脚力と心肺能力を求められそうなアクティビティだ。(まだ高地順応できていないわれわれには、とうてい無理と判断)

頂上に近づくと、要塞の名残なのだろうか。こんなジグザグの石段を折り返しながら登っていく。

と、いくつめかの角を折り返したところで、座って休んでいるAさんと遭遇。どうやら息が切れて休んでいたらしい。ほんと、綺麗な景色にうっかり忘れそうになるけどここは標高3,000m近い山間部。高山病のおそれもあるので、しっかり休んでまた歩き出す。

※高山病:低地から高地に上がったときに、気圧の変化で起こる頭痛やめまい、吐き気、脱力感などの症状のこと。ペルー旅行にはけっこうつきもので、ろくに観光できずホテルで寝込む人もいるのだとか。軽症なら安静にしていれば治るけど、重症だと肺水腫を起こすことがあるらしい。

そのうちにKさんもゆっくり追いついてきて、最後は3人揃って頂上へ。ちなみに登山経験の少ないKさんは、現地で売っている「ダイアモックス」という薬を飲んでいたらしい。(日本では医師の処方箋が必要。ペルーではそのへんの薬局で買える)

頂上には謎のモノリスが!(実際、なんのためのものかは分かっていないらしい謎の石の壁)

遺跡はそこから先にも続いているのだけれど、ハッキリした道はなくなっていく。われわれはここで引き返した。

登ってきた道をそのまま折り返し、ふもとのマーケットまで戻る。マーケットを少しだけ冷やかしつつ、まだ旅の序盤なのでおみやげは買わずにスルー(すみません)。

小さな町だけれど、ツアー旅行と思われる観光バスがけっこう往来している。われわれは完全にノーマークだったオリャンタイタンボ遺跡、いざ登ってみたら大満足!

マチュピチュのような世界的な観光地ではない分、のんびりと落ち着いて探索できる遺跡だった。なんか変な表現だけど「ありのままの遺跡」という感じかなぁ。訪れる人もそう多くないようだ。

遺跡も町もすごく等身大で、約1週間のペルー旅行の中では実はこのオリャンタイタンボがいちばん気にいった場所。(ほかの観光地と比べると知名度の低さゆえ、行くまでの期待値がそれほど高くなかったギャップもあるけれど)

許されるならもう数泊して、あののんびりとした時間の流れを感じていたかった。もしも機会があるなら、人生でもう一度訪れたい場所の1つです。(再訪する機会はなかなかなさそうだけれども)

■ここからはマチュピチュまで、鉄道の旅

遺跡探検から町に戻ると、もうお昼前(というか逆に「まだ午前中」なのだけど。ほんと時の流れがゆっくりした町だ)。

ここからは鉄道の旅。オリャンタイタンボ駅の近くで軽くお茶を飲み、現地の観光列車「ペルーレール(Peru Rail)」を待つ。

実はマチュピチュまでは、いわゆる「道」がない(だから1533年のインカ帝国滅亡後、1911年まで300年以上誰にも発見されなかったのだが)。そのため基本的に高速バスでは辿りつけず、マチュピチュに行くにはほぼ必ず、このPeru Railに乗る必要がある。

オリャンタイタンボ駅にあったPeru Railの看板。我々が乗ったのは確か左から2番目の「VISTADOME」。実際はここまで豪華列車ではありません(笑)。いやふつうに綺麗な電車だったけど。

ホテルでも観光地でも「写真が盛られている」のはこの国の「あるある」かもしれないと気付き始めた、少しずつペルーに慣れ始めたわれわれ。(いやペルーに限らず「海外あるある」というか「旅行ガイドあるある」な気もするなぁ)

■駅前でしばし、ひとりバードウォッチング

こちらがオリャンタイタンボ駅。町と同様、いい感じにひなびた駅舎。

電車が来るまで少し時間があったので、チケットを買ってから周辺を散策してみる。遺跡はさんざん見たので(そして翌日もマチュピチュを見るので)、すかさずここは現地の生き物探し!

まずは「ペルーのハト」を発見。
……普通のハトだ……。この普通のハト(「カワラバト」、いわゆるドバト)は伝書鳩として使われたその歴史から、人間とともに世界中に分布を広げている。(南米にはあまりいないという話もあるけど、現地に行ったらばっちりいました)

えーと、うん。ポッポはいいんだ。もっとレアポケモンを探そう。

電線に作られたなにかの巣。おそらく鳥の巣なんだけど、なんの巣なのかは分からず。(鳥は好きですが、あんまり詳しくないです)

こちらはムクドリのような鳥。
後日クスコの町で買った「マチュピチュの鳥」図鑑によると、学名Turdus chiguanco というツグミの仲間のようだ。「アンデスにはかなりたくさんいる鳥」と書いてあった。

こちらはスズメくらいの大きさの小鳥。民家の軒先をちょこまか飛び回ったり、動きもまるでスズメみたい。
これまたあとで図鑑で調べたところ、なんとなく学名Zonotrichia capensis (アカエリシトド)という鳥らしかった。(素人同定なので違うかもしれませんが)

そしてまたハチドリを発見!!!
さきほどとは違う種類にみえる。光沢のある緑色が綺麗です。まさに空飛ぶ宝石のよう。

■オリャンタイタンボに別れを告げ、いざマチュピチュへ!

そんなこんなでひとりバードウォッチングに興じていると、ほぼほぼ定刻通りにPeru Railがやってきた。(のちのち、この正確さはこの国ではとても珍しいことだと発覚)

さっそく荷物を担いで、列車に乗り込む。

こちらがその列車。やっぱりさっきの看板の写真とはだいぶ違う気がするけれど、それでも十分に綺麗な観光列車ではある。少なくとも前日の怪しいタクシー騒動に比べれば、ずっと安心できる乗り物。

そしてさりげなく「緑茶」っていう看板が出ているのに気付いた。日系人や日本人観光客が多いので、油断するとさりげなく日本語に遭遇するペルーなのだった。

席は指定席。チケットに書かれた通りの座席に座ります。4人掛けのボックスシートで、真ん中にはしっかりとテーブルが。

1時間半ほどの乗車時間ながら、しっかり軽食が出てくる。左側のお茶は「緑茶」ではなく、現地ではポピュラーな「コカ茶」。コカの葉っぱを使ったハーブティー。現地ではどこのレストランやホテルでもほとんど必ず常備されている。(コーヒー、紅茶、コカ茶って感じ)

コカの葉っぱといえば言わずと知れたコカイン(麻薬)の原料だけれど、南米の特に山間部ではそれ以上に「高山病に効く」という効果があることから、本当にどこでも目にすることができる。われわれもほぼ毎日、どこかしらで飲んでいた。

Peru Railはアンデスの山々を縫うように、ウルバンバ川に沿って走っていく。

南半球のペルーでは10月は春~初夏。それでも、標高の高いところではしっかり雪をまとった山々が。もしかしたら万年雪なのかなぁ。

マチュピチュに近づくにつれて標高が下がり(といっても標高2,400mくらいはあるけど)、温暖そうな景色に変わっていく。実際に湿潤な気候であるらしく、車窓の景色もオリャンタイタンボで見慣れた岩山から、だんだんとうっそうとした森林に。

やがてほぼ定刻通り、マチュピチュ遺跡の山麓・アグアスカリエンテス駅に到着。
明日はいよいよ、世界遺産・マチュピチュです!

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