【三陸沿岸 海系ミュージアム巡り】

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■海の日連休だったので海沿いを走った

7月某日。

愛車を駆りまして、東北道を一路、北へ。
青森県・八戸市から三陸海岸に入り、三陸沿岸に散在する水族館&海洋系ミュージアムを巡ってまいりました。

水族館としては
・八戸水産科学館マリエント
・もぐらんぴあ水族館
の2か所を訪問してきたわけなのですが、その話はまた後日。

水族館以外の施設をいくつか巡ってまいりましたので、今回はそちらのお話をば。

■その1:岩手県立水産科学館「ウォリヤス」(岩手県宮古市)

まずは岩手県・宮古市にあります「岩手県立水産科学館」へ。

この日、実は午前中はさらに北にある久慈市の「もぐらんぴあ水族館」を先に訪問しておりまして、そこから約80㎞・1時間ちょっと南下してまいりました。

三陸沿岸道路(三陸道)が「ほぼ」全線開通しまして以前よりだいぶアクセスが良くなったものの、やっぱり三陸沿岸は移動に時間がかかりますね~~。

到着したのはお昼過ぎ。
すぐそばの浄土ヶ浜で軽く海鮮丼などいただきまして(宮古の魚市場は完売御礼でござった……)、いざ入館でございます。

雌雄のサケ(たぶん)が守り神のように出迎えてくれるエントランス。
実習調査船と思われる船のモチーフが渋いです。

ところでこの施設の愛称は「ウォリヤス」(たぶん魚+リアスの造語)だと聞いていたのですが、どこにも「ウォリヤス」という呼び名は見当たらず……。改称したのかな?

水族館ではなく「水産科学館」ということで、屋外のそこかしこに漁具や船舶用具が。萌える。

入場料:大人310円 を支払い、館内へ入ります。

エントランスホールで出迎えてくれるのは水槽展示たち!!

水族館を巡る者としては、こういう科学館系の施設に行った時に「水槽展示・生体展示があるかどうか」がどーしても気になってしまうので……。順路の序盤に水槽を置いてくださるのはとても親切設計ですね!(これ次章への伏線です)

円柱水槽が2つ。片方は海水水槽、もう1つは淡水水槽です。

海水水槽の方は、地元の海の魚たちを中心に。(写真はオウゴンムラソイ)

こういう円柱水槽に地魚って、なんだか「海鮮居酒屋のいけす水槽」風になっちゃうのですが、こちらは魚たちがとても綺麗に飼われていて、いけす感はあまり感じません。

こちらは淡水水槽に泳ぐヤマメ。
おなじみのヤマメとイワナも、綺麗な体形の個体が多かったです。

壁面にずらりと並ぶ水槽群。
水槽のサイズや照明の色が統一されていて、とても一体感があります。(青い照明はちょっと写真が撮りづらいけれど)
こちらも、泳ぐのは近海魚たちがメイン。

三陸沿岸を巡っていると、そこかしこで出会う2011年3月11日の名残り。
この施設は高台にあるため津波の直撃は免れたそうですが、それでも水槽がズレる被害はあったようです。

こういうの見ると、やっぱりちゃんとした水槽台を使わなきゃね!って思うやつです。(←震災に遭っても自宅で魚を飼うのをやめてない人)

この水槽展示エリアから繋がる企画展示室。
訪問時はちょうど「磯の生物展」を開催していました。おそらく、毎年夏になると開催している企画展のようです。
ここはまたあとでじっくり見ることにして(水槽の数からして時間がかかることを予測)、別棟の資料展示室へ移動します。

おぉ?!!
円柱型の大水槽??!!

と思ったら、海洋生物の模型がたくさん吊るされたジオラマ展示でした。(たぶん水族館好きがここに行くとみんな同じリアクションになると思われる 笑)

地元・岩手県の水産業に密着した展示物がずらり。これはこれで相当見ごたえがあります。

漁具の展示を見ると、なぜだか無条件でテンションが上がってしまう人。
「この道具どういう風に使うんだろう」とか「なんでこんな漁法を思いついたんだろう」とかがですね、萌えるのです!!

養殖用の漁具たち。
ホタテガイが耳吊りされてる!!

台風19号襲来の中、本州最北端・浅虫水族館へ!5時間以上も滞在していれば書きたいネタはいくらでもあるのですが、今回はまず大水槽の話から。

この手の養殖展示については浅虫水族館がバツグンに見やすくて面白いのですが、こういう科学館や資料館で間近で(水槽の中ではなく)じっくり見られるのもまた良いです。

三陸沿岸を車で走っていると、ところどころ海に養殖いかだや養殖いけすが浮かんでいます。実は海域によってそれがカキだったり、ホヤだったり、ギンザケだったりする訳なんですけど、漠然と景色を眺めているとそれがなんなのか気付かなくて。

目の前の海でなにが養殖されているのか、海中でどんな風になっているのかって、意外と知る機会が少ないのですよねー。

階段下に唐突に置かれているオサガメの剥製。
見慣れたアオウミガメやアカウミガメとはぜんぜん違う迫力。でかい。

いつか実物を目にしたいけどたぶん無理であろう鯨類、個人的1位・イッカク。
牙だけが展示されていました。広角レンズでも収まらないくらい長い。

中世ヨーロッパの人がこの牙(角)だけ見てユニコーンを連想したってのは、確かになんか分かる気がするなぁ。

さてさてさて、漁具や標本展示や資料展示を見学するのも楽しいのですが、じわじわと高まる「水槽見たい」欲。
スラムダンクの三井寿ばりに『先生……!!生きた魚が見たいです……』となったところで、いよいよ水槽がズラッと並んだ企画展示室へ向かいます!

企画展「磯の生物展」開催中。
水槽が……いっぱいだ……!!!

ずらっと並んだ90cm水槽&60cm水槽。
こういう規格水槽を使った展示を「水族館」と呼ぶべきかどうかは議論が分かれるでしょうが、個人的には大好きです。(自分が家で魚を飼っているというのもあるかもしれませんが)

ゴマソイ。
これがサンゴ礁に棲む魚だったら、観賞魚として人気が出そうだな、と思ってしまう美しい水玉模様。

カレイの目って綺麗ですよね。
こちらはサメガレイ。成魚になると比較的深い海に棲むカレイなので、「磯の生物」として展示されているのにはやや違和感もあるのですが。(イヤなオタクですね、すみません)

とはいえカレイは幼魚のうちは浅い海で暮らす種類が多いので、このサメガレイも地先の海で採れたのかもしれません。

ホタテガイ。
外套膜(いわゆる「ヒモ」)に沿ってある黒い点々は「眼点」と呼ばれる組織。ホタテガイに見つめられている気分はなんだか不思議です。(実際には、明暗を感じる程度の視力だとも言われていますが)

さてさて、正直ノーマークだった「岩手県立水産科学館」、いざ訪問してみると水槽展示も資料展示も充実した施設でした!お隣・青森県にも同じ“水産科学館”という名前を冠した八戸マリエントがありますが、個人的にはむしろこちら(岩手県)のほうが「水族館らしさ」を感じられたなぁ。
(水槽だらけな企画展を開催中だったこともプラスに働いてそうですが)

≪施設概要≫

・岩手県立水産科学館
・アクセス:宮古駅より浄土ヶ浜方面へ4km
・入館料:大人310円(高校生以下:無料)

■その2:鯨と海の科学館(岩手県山田町)

宮古市をあとにしまして(水産科学館すぐそばの景勝地・浄土ヶ浜で遊ぶ時間はなかった……)、さらに三陸沿岸を南下します。

およそ30kmほど走り、宮古市の南側に隣接する山田町へ。

「鯨と海の科学館」へ到着しました!

実はこの施設こそ完全にノーマークでした。(名前は知っていたけれど、震災で閉館中だと思っていた)

すぐ近くの「道の駅・やまだふれあいパーク」で「わかめソフトクリーム」を食べたいと思って走っていたところ、運よく看板を見つけて営業中だということを知ることができました!

※道の駅やまだのわかめソフト:
漫画「ハチミツとクローバー」に出てくることで有名(なのか?)。ハチクロ読んでなかったらここに辿り着いてなかったよ……。ありがとうハチクロを布教してくれた学生時代の元カノさん……。

さて。
この日3か所目、前日から数えるとこの旅程内で4か所目となる施設訪問。運転疲れもあって少々脳ミソが疲れかけておりますが、元気を出して入館します!
(アクセスの悪さを考えると……「次回またここまで来る方が大変だぞ」という判断に至る)

果たして水槽展示はあるのだろうか……。いや、鯨類も海も好きだから、別に水槽展示がなくたっていいのですが。

手作り感のある案内板。なごみます。

エントランスに貼られていたポスター。
ちょうど今年の4月1日に完全リニューアルオープンしたようです。(それ以前から部分的に復旧オープンしていたという情報もあり)

エントランスのボード。
うーん、やっぱり鯨類って、なんていうか「絵になる」んだよなぁ。

メインの館内は吹き抜けのホール状の作りになっています。
そしてそこに天井からぶら下がるのは、実寸大と思われるマッコウクジラの模型。

通路はホール外周をぐるぐると降りていく回廊上になっていて、その途中途中にいろいろな展示物が並んでいます。

地元の魚や海洋生物の標本展示。
2011年の震災後に再建されたこともあり、壁や展示スペースが真新しくて綺麗です。

おお!水槽展示か!!?

と思ったら、小型水槽を使った海藻のハーバリウムでした(笑)
水槽に反応しちゃうのは、水族館好きの習性ですね。それにしてもコレはズルい(笑)。5m手前から見たら誰だって水槽展示だと思っちゃう!

「鯨と海の科学館」という名前だけあって、順路の前半は海洋系の展示物が多く並びます。「水産系」(漁業系)というよりは「海洋系」という感じ。

六分儀を使って天体観測する男。その名も「六分太一」。(名札に注目)
絶妙な天然パーマ具合に親近感を覚えます。

ヘルメット型潜水服!!南部ダイバーが使うやつ!!
ちょうどこの日の午前中に、久慈市の「もぐらんぴあ」で南部潜りの実演を見ていたのでした。ここでも出会えるなんて!(しかも至近距離で見ることができて嬉しい)

ホールを順路通りに下っていき、最下層階には深海展示。
ここまで「水もの」は一切ないですが、それでも展示を見ながら海の底まで潜っていくような独特の没入感があります。

そしてホール最下層には「しんかい6500」のレプリカが。

ところで、館内はほぼほぼ「海」と「鯨」だらけなのですが、なぜか唐突にこんな展示物が出てきたりします……。(地元の民俗紹介ってことだと思います)

まずは「座敷わらし」。

……おわかりいただけただろうか……。

岩手県二戸市には、今でも「座敷わらしが住む」と言われている旅館があります。

こちらはカッパさん。

民話の里・岩手県遠野市に行くと「カッパ捕獲許可証」を貰うことができます。

ホール状の本館に隣接する別室へ。こちらは鯨類がメインの展示スペースのようです。

まず出迎えてくれるのは、マッコウクジラの骨格標本!
この骨格標本、2011年の津波にも流されず現存したのだそうです。(その後、専門家による修復作業により復元)

こちらはクロミンククジラのヒゲ。
クジラのヒゲ板って、「ヒゲ板」1枚1枚を展示していることは多いのですが、こういう風に全体像が分かるのはありがたいですね。(本来はさわることも可能なようですが、今はコロナ対策により中止中)

ここ山田町は商業捕鯨の基地でもあったらしく、捕鯨に関する展示もちらほらと。
このあたりは、隣県・宮城県にある「おしかホエールランド」と共通するところもあります。おしかホエールランドのほうがより「鯨」に特化した感じですが。

東日本大震災から9年目。ようやくリニューアルオープンした「おしかホエールランド」に行ってきました!

特別展示室では、2011年の大震災から「完全復活」までの道のりが展示されていました。

震災翌月の写真。
津波はここまで押し寄せ、周囲は瓦礫だらけだったそうです。

館内の展示資料たちも、残念ながら廃棄された模様。(逆にマッコウクジラの骨格標本、よくぞ残ってたと思う)

さて、これで概ね館内見学は終了。
お土産ちょっと見て、今日の宿泊地の大船渡までもうひとっ走りするかー!(あと約60㎞)

ん?
んんん???

水槽展示、キターーーーー!!
出口のすぐ手前に、水槽(たぶん120cm水槽?)が4基並んでおりました!!

最後の最後にあるんだからなぁ、まったくぅ(笑)
(さっきの岩手県立水産科学館の「エントランスがミニ水族館」とは逆パターンですね)

水槽を泳いでいるのはイシダイやクロソイといった地元の海の魚たち。
結露がすごくて水槽内をしっかり見られなかったのがちょっと残念だけど、順路の本当にラストで水槽があるパターンは予想してなかったので、なんだかやたら嬉しかったり。

退館後にあらためて外見を。
よく見ると建物のほぼ真ん中ぐらいに「ここまで津波が来ました」の印。

改めて本当に、完全リニューアルオープンおめでとうございます。

≪施設概要≫

・鯨と海の科学館
・アクセス:JR宮古駅より車で30分/JR釜石駅より車で30分
・入館料:大人300円

岩手県山田町にある「鯨と海の科学館」の公式サイトです。鯨を通じて彼らが住む三陸の海や、海を育てる豊かな自然環境について知ることをテーマにしている自然科学博物館で す。

■三陸沿岸、アクセス悪いけど楽しいです!

今回は連休を使って、普段なかなか足を伸ばせない三陸北部を巡ってきました。
(旅程:仙台⇒八戸~久慈~宮古~大船渡⇒仙台)

今回スルーしてしまった三陸南部にも

・気仙沼シャークミュージアム & 氷の水族館
・おしかホエールランド
・道の駅 大谷海岸
※震災前はマンボウ水槽があった。今は映像展示に。

などなど「水族館じゃないけど海の生き物について学べる施設」が点在しておリヤス。

どれも震災で一度大きな被害を受けて、そこからここ数年で復旧・営業再開に至った施設ばかり。(個人的には、陸前高田市の「貝と海のミュージアム」さんの営業再開を心待ちにしています!)

コロナ禍でなかなか声高に「おいでよ東北!」って言えない世情ではあるけれど、そのうちぜひ遊びに行ってみてください!

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