7月某日、所要あり札幌へ。
(札幌ドームに「きつねダンス」を踊りに行ってました)
せっかく札幌まで来たので、翌日はだいぶ久しぶりにおたる水族館へ行くことに。
札幌から小樽までは、JR「快速エアポート」で30分ちょっと。札幌市民からすると、ちょうどいい距離にある観光地、って感じ。(元札幌市民のわたしです)
小樽駅に到着。
この日はちょうど花火大会だったらしくて、駅前は浴衣姿の若い女性とかカップルで大混雑していた。はいはい、恋の炎色反応ね。打ち上げろ打ち上げろ。
あ、水族館行きのバスもかなり混んでました。バス停に長蛇の列ができるくらい。
■混んでいたのでとりあえずメシを食う
満員乗車のバスに30分ほど揺られ、水族館へ。
(そうか、昼に水族館行って夜は花火大会っていうデートプランか)
到着は11時くらい。残念ながら曇天。
水族館は丘の上。バス停から坂道を登って入館します。ちなみに園内の一部はミニ遊園地になっています。(北海道の水族館、観覧車がある率がやたら高いよな)
案の定、入館ゲートに軽く行列。
館内も賑わっていたので、コインロッカーに一旦荷物を入れて、昼食を先に摂ることにします。(花火大会メインの客層なら、昼過ぎ~夕方前には帰るだろ、という読み)
というわけで、さっき登ってきたばかりの坂道をまた下り、水族館近くにあるこちらの食堂へ!
どーん!
館内にもレストランがあるんだけど、一度こっちの食堂でお昼を食べてみたかったのです。
店先の囲炉裏で焼かれる大きなニシン。
店内では、お店のおばちゃんが貝焼きにいそしんでいます。
ホタテ、ツブガイ、カキ……。このランチ、勝ち確定の予感しかしないぜ!!
どーん!
圧倒的勝利!!!
店員さんとお客さんのやり取りも、ローカル色が強くてとても楽しいです。
お腹も心も満たされたところで、改めて水族館へ。
■ウミガメ ⇒ 大水槽 ⇒ イルカ水槽 と畳みかけてくる順路序盤
館内順路、まず最初はウミガメ水槽。
竜宮城テイストのペイントが、いい感じにレトロ。
北海道の雄大な大地から、竜宮城に誘われて海の中の世界へ引き込まれるような、そんな世界観。
続いてパノラマ大水槽。
ここにもウミガメが1匹飼われています。
実はこのアオウミガメ「太郎」には片方の前足がありません。北海道の沿岸で保護された個体とのことです。(そのあたりも、水槽前のパネルに詳しく書かれています)
ウミガメのほかにも、クロヘリメジロザメやツマグロが泳ぐ大水槽。
クロヘリメジロザメは大洗水族館から来た個体で、北海道内では唯一の展示とのこと。
さらに順路を進むと……。
ネズミイルカ!!!
日本近海では最小クラスの鯨類。
そして国内の水族館で飼育しているのは、おそらく現在はここおたる水族館だけ。
水面からも水中側からも観察できる作りになっています。
現在(2022年7月)飼育されているのはこの4頭。
(自分が訪問したときは、展示水槽にはメス2頭のみ。入れ替え制で、オス/メス交互に展示されているのかもしれません)
おたる水族館でネズミイルカが展示されているのには理由があり。
大学と水族館で、共同研究を行っているのですね。
というか、実はぼく自身も学生時代にこの研究のお手伝いでほんの少~~しだけ関わったことがあり(鯨類研究サークルに入っていたので)。
久々にネズミイルカ展示を見られて、ちょっと感慨深かったです。
共同研究の内容も、上の解説パネルの通り、「野生動物としてのイルカ」について深く考えさせられるもの。ただ「かわいい」だけの生き物ではないですよね。
イルカというと水族館のアイドル・ショーの主役、というイメージが強いですが、おたる水族館のネズミイルカ展示はそれとはまったく一線を画した内容で、本当に一見の価値ありです。
■北海道らしさ満載の魚類展示たち!
ネズミイルカのプールを抜けると、いよいよ魚類展示エリア。
まずは北海道の淡水魚たちから。
薄暗めな空間に、水槽の光が浮かび上がってきます。
イトウ!
広めの水槽に大きな流木が沈められ、あたかも「沈水林の川底」というような、雰囲気抜群の展示。個人的にはここのイトウ展示がめちゃくちゃ好きです。
続いてオショロコマ!
(そのほか、エゾイワナ、ヤマメあたりとの混泳水槽です)
いやー、このオレンジ色を見るために北海道の水族館に行くと言っても過言ではないな。
たいてい水槽内で1匹か2匹、婚姻色バリバリのオスがいたりするので、いちばん綺麗な個体を毎回つい探してしまいます。
続いて、北の海の魚たち。
小樽といえば「ニシン御殿」というわけで、ニシンの群泳水槽が見事です。
あ、さっき塩焼きで食べたやつだ!
地方の水族館ならではの、「食」と直結してとらえやすい展示。大好きです。
チョウザメ水槽。
たまたまの偶然なのか(水槽掃除直後とか?)、この水槽だけいい感じに白く濁っていました。濁った水から巨大なチョウザメが突然顔を出すの、めちゃくちゃ迫力あった。
さらに順路を進むと、廊下を横断する不思議な仕掛け水槽が。
コツメカワウソの水槽です。
廊下部分の床下が水路になっていて、ときどきそこを泳ぐカワウソの姿を見ることができます!カワウソが動き出すたびに人だかりができる人気ぶり。
■ドーナツ型の大水槽を通り、2階エリアへ!
1階エリア、順路の最後はこちらの大水槽。
360度ぐるっとドーナツ型になっている「オホーツク海・ベーリング海」水槽。
中2階になっていて階段で登っていく構造とかが、どことなく京急油壺マリンパークあたりを想起させる雰囲気です。
ネズミザメ(モウカザメ)の剥製が!
水槽を泳ぐのはサケマス類(イトウ、アメマス、ニジマス、ギンザケetc)、オヒョウ、オオカミウオなどなど、まさに北の海を代表する顔ぶれ。
そしてこの水槽の魚たち、とにかくよく泳ぐのです。
身をくねらせて目の前を横切っていくオオカミウオ。
サケマス類だけでなく、こういった底生魚もビュンビュン泳いでいます。
他の水族館では岩肌に身を寄せてじっとしている姿ばかり見慣れているので、かなり新鮮。
水槽のつくりとか水流のつけ方に、なにか秘密があるのでしょうかね。
ドーナツ大水槽をぐるっと回ると、館内2階に上がる階段へ。
2階は小さめの水槽が回廊上に並ぶ「マリンギャラリー」。
前半は北海道の海、後半は熱帯エリアの海がテーマになっています。
道東・野付半島のアマモ場を再現した水槽。
こちらはマングローブ水槽。
シンプルなレイアウトながら、しっかりと本物のメヒルギが植えられています。
そして、個人的にめちゃくちゃ刺さった展示がこちら。
「小さな生きものを発見する楽しさを体験してください」というコンセプトで、3つの個水槽が並びます。
いやもう、本当にこういうのこそ水族館の醍醐味だと思うんですよね。
野外で磯遊びとかガサガサ採集とかするのの疑似体験というか。隠れている魚が出てくるのをじっと待っている時間とか、魚名ラベルにも書いていない生き物を見つけたときの喜びとかが本当に至福。
こちらのサンゴ水槽。
よくよく探すと、テグリの仲間が3種類ほど入っていました!(写真はサンゴの触手の上で休むミヤケテグリ)
「魚の撮影」好きとしてはここだけで長時間楽しめる、よきスポットです。(混んでてあまり粘れなかったので、空いてる日にまた行きたい)
2階エリアにはこのほか、タッチコーナーも。(コロナ対策で一部の体験コーナーは中止中でした)
おたる水族館のタッチプール、北海道らしくニチリンヒトデとかバイガイとか一風変わった生物に触れて楽しいです(そのかわり、水がめっちゃ冷たい)。
■屋外エリア「海獣公園」へ。
午前中からパラついていた雨が昼過ぎに上がったので、午後は屋外の「海獣公園」エリアへ。
ここからがおたる水族館の真骨頂です。たぶん。
いやはや、どうでしょうこの絶景。(曇ってるけど)
本館から出ると、見えてくるのはこんなパノラマ。はるか眼下に望むのが、目指す海獣公園です。地形をいかし、海をそのまま仕切ったような海獣プールが、実にワイルドです。
ここからは急な坂道を一気に下っていきます(Google Earthによると標高差30mあるらしい)。徒歩での移動が難しい場合には、園内循環している電動カートを使うと安心です。
おたる水族館の海獣公園、名物といえばこれ。
「エサ」販売所!
園内に2か所ほど設置されています。露天商の魚屋さんじゃないです。
バケツに入っているのは、ホッケやイカナゴなどの魚。量に応じて3段階くらいの値段設定になっています。
自分はカメラも持ち歩いているので(汚れたり濡れたりしたくないので)今回はエサやり体験はしませんでしたが、まぁとにかくひたすらワイルドなスタイルの海獣展示。体験の価値ありです。(一部、健康上等の理由でエサやり禁止の生体もいます)
そしてただただ豪快で開放的なだけでなく、展示されているトドやアザラシは元々、目の前の海に棲む野生動物だ、ということも感じさせてくれます。(実際、「ある朝気付いたら野生のトドが1頭まぎれこんでいた」という伝説級エピソードがあったりする、おたる水族館です)
先にふれたネズミイルカの例も同様ですが、トドもアザラシも北海道では「漁業被害をもたらす害獣」としての側面も持ち合わせていますし、駆除もされています。
ただ「かわいい」だけではなく、そういった「人間と動物との関係」みたいなことを感じさせてくれる水族館です。
アザラシには保護されてきた元・野生個体もけっこういます。
そういった個体や高齢個体が、若い個体とは別プールでのんびり暮らしていたのも印象的でした。
■たぶん日本最北端のイルカショー!
久々に来たのだからと、イルカショーも見てから帰ることに。(これまで何回か訪問したけど、なぜか1度もイルカショー見てなかったのです)
※コロナ&混雑対策で整理券制になっていて、入場時に1人1枚整理券を渡された、という理由もあり。
雪が降るお土地柄、ショープールは屋内型。
前半はオタリア、後半はハンドウイルカが登場します。
なぜかイルカではなくダイブするトレーナーさんを撮ってしまった……。
夏期プログラム限定で、ショータイム後にイルカによる水かけイベントが行われていました。
順路のラストには「見逃していませんか?」というフォト展示コーナーがあり。
これ、素晴らしいですね。こうやって掲示されることで初めて「あ、こんな生き物もいたんだ!」って気付くこと、かなりありそうです。どこの園館にも実装してほしい!!
(おたる水族館さん、中の人の写真スキルがつよつよということもあるのですが)
回転扉タイプの出口もなんだかレトロで懐かしい。
久々のおたる水族館、しっかり満喫しました!!(なんだかんだで4時間半ほど滞在)
冬期営業のときは夏とはまたまったく違った雰囲気が味わえるそうで、次回はまたぜひ、冬に訪問してみたい水族館です!