2017.12.08_ニフレル~水槽の魚ぜんぶ撮る!~【水族館レポート】

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ニフレル訪問記・その2。
前回エントリの最後に予告したとおり、今回は少々マニアックな話を。

大阪・万博公園に2015年にオープンした『ニフレル』に行ってきました!『感性にふれる』というコンセプトのとおり、生き物の面白さが直感的に伝わる、とてもよい空間でした!

(内容の特性上、『記録』すること最優先で撮影した結果、ちょっと画質的にアレな写真が多いのですが、ご容赦いただけますと幸いです……。)

■コトの発端はこの無茶ぶりミッション!(笑)

関西遠征の数日前、「ニフレルに行くぜいっ!」とTwitterで呟いたら、有名水族館ブロガーのかめきちかめぞうさん(@kamekichikamezo)から、こんな反応がっ!

ななな、なんじゃコリャ?!

ボラみたいにも見えるのは、どうやらソウギョらしい。あとは、レインボー・フィッシュが何種類か混じってるなぁ。

それにしても、なんともいえないカオス感(笑)。昭和時代の銭湯みたいな殺風景(失礼)な水槽も、実に味わい深いです。

これはもう、本気出していくしかないでしょう!!

■そして、現地到着。

ここからの様子は、当日にTwitter上で実況しており、その模様をかめきちかめぞうさんが「モーメント」機能で纏めてくれていますので、気になる方はそちらもご覧ください。

こちらが、その問題の水槽。水深およそ1m、幅は10mくらいの広さです。

陸上部分ではホワイトタイガーが飼育されていて、確かに水中部分をしげしげと観察する人は少なかったです。(自分は逆に、ホワイトタイガーをちゃんと見てないけど、、、笑)

このときはもう夕方の時間に差し掛かっていて、館内も照明が落とされてしまったのが、撮影的にはちょっと残念でした。。。(うぅ、画質…。)

■まずは、判りやすい種類からカメラに収めていきます。

①ソウギョ(学名:Ctenopharyngodon idellus)

中国原産のコイ科魚類。食用魚で、日本にも帰化しています。漢字では「草魚」。草食性で、水草をモリモリ食べるのが名前の由来。

たぶんこの水槽でいちばん数が多く、かつサイズも大きいので、いちばん目立っている魚。水槽前の魚名板にも名前が載っています。

それにしても、なぜソウギョをメインに据えたのか??という謎。特段、観賞面で人気がある魚でもないですし(全国のソウギョ愛好家の方、ゴメンナサイ)。考えられる理由としては、草食性なので他の小魚を襲わない、というところかな?と。

②メティニス(学名:Metynnis spp.)

南米原産のカラシン科魚類(ネオンテトラとかピラニアと同じ分類群)。
体型もピラニアとよく似ていて、(ニフレルに限らず)水族館ではよく『ピラニアだー!!』と間違えられて勝手に怖がられる不憫な存在。(メティニス、ミロソマ、コロソマあたりの『ピラニアに似てるけど草食性』な魚を総称して、現地アマゾンでの呼び名を使って「パクー」と呼んだりします)

※「男性の睾丸を食いちぎる危険な魚」なんてネット記事を見ますけど、基本的におとなしい魚なので、多分そんなことはないです。ただ、草食寄りの雑食性で、木の実なんかが好物ですけど。

ソウギョに次いで、この水槽ではよく目立つ魚。
こちらも、魚名板に名前が載っています。日本語で「メティニス」、英語で「Silver Dollar」。銀色の1ドル銀貨に見立てた命名ですね。(日本の観賞魚業界で「シルバー・ダラー」というと、同じカラシン科の別の小型魚になっちゃうので、少々ややこしいのですが。)

観賞魚として「メティニス」というと、「M. hypsauchen」または「M. argenteus」あたりの数種類が同じ名前で呼ばれたりもするので、今回は種の特定を避けました。(すみません、パクーの分類苦手で。。。)

③ポリプテルス・オルナティピンニス
(学名:Polypterus ornatipinnis

アフリカ原産の古代魚、ポリプテルス。
ポリプの中では、際立って派手な模様が特徴のオルナティピンニス。

この水槽には、30~40cmくらいの個体が数匹、泳いでいます。水槽が広いからか、綺麗に育った体型の個体が多くて、ポリプ好きとしては嬉しいところ。イカツい見た目に反して、おとなしい性格で他の魚を襲って食べることも稀。

この魚も、水槽前の魚名板に名前が載っています。
ちなみにポリプテルスは「Poly(多い)」+「pterus(ヒレ)」。オルナティピンニスは「ornati(綺麗な)」+「pinnis(羽飾り=背びれ)」。
(以上、ネタに困ったので苦しまぎれの学名解説です)

それにしてもここまで、「アジア原産のソウギョ」「南米原産のメティニス」「アフリカ原産のポリプテルス」と、3大大陸の魚がすべてそろい踏み。
改めて、統一感のない……いや、賑やかな水槽だなぁ(汗)。

④シザーステール・ラスボラ(学名:Rasbora trilineata)

東南アジア原産の小型コイ科魚類。こちらも、熱帯魚として古くからメジャーな魚。

とはいえ、この広い水槽ではイマイチ目立つ存在ではなくて「単なる銀色の小魚」と見過ごされていそう。。。いちおう、魚名板にも載っているんですけどね。

尾びれのスタイリッシュな黒帯が、泳ぐとチョキチョキとハサミのように見えるから「シザーステール」。オシャレで可愛い命名です。本当は水草水槽に泳がせると映える魚ですし、もっと注目されて欲しい!

■大型レインボー・フィッシュ、3種の競演!

ここまでは水槽内でまぁまぁ目立っている4種類を紹介しましたが、そんな魚たちに混じって、忙しなく泳ぎ回っている魚が目につきます。

それが、ニューギニア島やオーストラリアに住む、レインボー・フィッシュの仲間たち。

⑤コームスケール・レインボー(学名:Glossolepis incisus

まずは1種め。
真紅に染まる体色が美しい、大型レインボー・フィッシュの代表格。

ちなみに、美しい紅色に染まるのは成熟したオス個体だけで、メスは銀色の目立たない魚です。この水槽内では、オスメス問わず数匹で小さな群れを作ってスイスイと素早く泳ぎ回っていました。

成魚は15cmくらいに成長しよく泳ぎ回り、一般家庭の60cm程度の水槽で飼うには少しだけ大きすぎる魚種なので、水族館の広々とした水槽で泳ぎまわっているのを見るとなんだか嬉しくなる魚だったりします。

⑥ハーフオレンジ・レインボー(学名:Melanotaenia boesemani 

続いて2種め。先ほどのコームスケールと並ぶ、大型レインボー・フィッシュの代表格。
その名前のとおり、体の後ろ半分が美しいオレンジに染まる美種です。

こちらも、メスは銀色の地味な体色。一方でオスの婚姻色は素晴らしくて、しかも喧嘩などで興奮するとギラギラと輝くように、模様が濃くなります。あの瞬間が、最高なんですよね…。(すみだ水族館の水草水槽あたりで、よく観察できます)

先ほどのコームスケールが群れて泳いでいたのと比べ、こちらのハーフオレンジは一匹狼のように、単独で泳いでいる個体が多く、種類ごとの違いを観察できたのも面白かったです。

⑦ブルー・レインボー?(学名:Melanotaenia lacustris?)

前2種が個体数も多くてよく目立っているのですが、それとは明らかに違う種類のレインボー・フィッシュが、時おり姿を見せます。

たぶん…「ブルー・レインボー」かな。似たような種類も多いので、ちょっと自信無いですけれど。観賞魚として今でも人気の高いハーフオレンジやコームスケールと比べると、最近はちょっと見かける機会の少ない、ブルー・レインボー。この水槽内では、他の2種とは違って自分の縄張りを守るように他の魚を追い払う姿を観察することができました。

そんな性格的なキツさが、人気の差の理由……なのかも??

■『要審議案件』と、見つけて嬉しい『隠れキャラ』

ここまで7種。
水槽内でパッと目につく種類はおおよそ網羅できました。

けれど、ココで安心してはいけません。
水族館の水槽に、目立たないし魚名板にも載っていない『隠れキャラ』はつきものです。

むしろ、そういう隠れキャラ探しが、いちばん楽しかったりして。

⑧グリーン・ネオンテトラ?(学名:Paracheirodon simulans
カーディナル・テトラ?(学名:Paracheirodon axelrodi

パッと見では気付かない水槽の奥のほうに、青く輝く小さな魚が、チロチロと群れているのが目につきました。

MAX:200mmの望遠レンズを装着し、カメラを向けてみます。
しかし……暗い水槽内、数m先を泳ぎまわる、わずか数センチの魚の影…。ピント合わせすら、容易ではありませんでした。

何枚か連写し、まぁまぁ許せる1枚がコレ。

パッと見は、小型のテトラの1種、グリーン・ネオンテトラに見えました。でも、それにしてはなんだか、ひとまわり大きく見えるんだよなぁ…。(グリーン・ネオンは全長およそ3cm。カーディナル・テトラは全長およそ4cm、見た目にもひとまわり大きい)

上の写真で、真ん中のピントがまぁまぁ合っている2匹は、グリーン・ネオンに見えます。だけど、右端のピントが外れてる3匹は、カーディナルにも見えますね。(ネオンテトラではないだろうな、と思います。模様的に)

あるいは、2種が混じっていたのかもしれないですけどね。
うーん、暗所でもよく映るf=2.8通しの大三元レンズ(※とても高い)でも手に入れば、検証のためにもう一度、撮りに行きたいです(笑)。

と、ここまでで、この水槽の魚はすべて撮り収めたように思いました。
でも、念のため……。そう思ってもう一度、水槽内を隅々まで覗き込んでいたら……。

なんかいる。

⑨セルフィン・プレコ(学名:Paracheirodon axelrodi)

いわずとしれた水槽内の掃除屋。
でも、一般家庭だとデカくなりすぎてもてあましちゃったりする、セルフィン・プレコ。(近縁種の「オレンジスポット・セルフィンプレコ」かもしれない)

まぁ……あんまり書くことはないんですけども、『水槽の魚ぜんぶ撮る!』と銘打って水槽と対峙している以上、こういう脇役的な魚も、見逃してはいけませんよね。

水槽の柱の陰に隠れているのが見えたので、しばらく待って、ガラス前面に出てきたところを撮影しました。

(コレで、本当に最後かな……)
今度こそそう思って、一度この水槽を後にしました。

そして、館内をグルッと回って他のエリアも堪能し、小一時間。(いや、まさかもう見落としてないよね~~、でもさ、念のためだからさ~~)なんて心の中で言いながら、もう一度この水槽前に戻ってみたら、、、

なんか、おる~~~!
しかも、なんだか判らん~~~!!!

⑩シクリッドの一種(学名:Maylandia mbenjii?)

間違いなく、ほんの1時間前には姿を見せていなかったこの魚。
コイツがのほほんと水槽内を泳いでいるのを見つけたときは、本当に腰が抜けるほどビックリしました(笑)。『ななな、なんじゃこりゃ?!』くらい、声に出して言ったかもしれない。

ここまでの9種類は、正直パッと見てだいたいの種類の目星がついたんです。だけど、コイツだけは、まったくなんだか分からない。

正直、最初のインプレッションは「できそこないの錦鯉」、もしくは「雑種のブダイ」。まぁ、そんなわけはないんですけど。

よくよく観察すると、どうやらたぶんシクリッドの1種。だけど、それ以上は全く分からない。南米産なのか、アフリカ産なのかすらも。

とりあえず、また隠れてしまう前に写真に撮ろう。そしてあとでゆっくり調べよう。そう思いレンズを向けますが、コイツがまた水槽内の暗い場所が好きらしく、なかなか上手く撮影できませんでした。画質が悪いですけど、なんとか特徴を押さえた1枚が上の写真です。

そして、この写真を「撮ったど~~!」とTwitterに上げてみたところ……フォロワーさんから、こんな有力情報がっ!!

どうやら、アフリカ・マラウイ湖産のシクリッドの一種「Maylandia mbenjii」という魚のようです。観賞魚としても、全くマイナーな魚だと思うんですけど、

何故こんな魚が、ここにいるのか。(完)

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