オープン直前の都市型水族館「átoa」に行ってきた!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

■新規オープン園館のプレミアムイベント!

10月某日。
神戸市のベイエリアに新しくオープンする「劇場型アクアリウム átoa」のプレオープンイベントに行ってまいりました!(グランドオープンは10月29日。その数日前に旅行会社主催で、1日だけの貸切イベントが開催されていたのでした)

五感で感じる劇場型アクアリウム・アトアが神戸に誕生。水族館とデジタルアートや舞台美術が融合する今まで体験したことない世界へ。

ここ数年、軽く開館ラッシュの感もあるいわゆる「都市型水族館」。

átoa もカテゴリーとしてはその範疇でしょうか。こういった園館は事前の評価がけっこう賛否両論だったりして、そして実際に行ってみるとやっぱりどこか違和感を覚えることが多かったりして。

今回も正直、現地に行くまではまぁまぁ「おっかなびっくり」でありました(笑)。

結論から言いますと

▼ 基本的には予想通り、「映えメガ盛り」!
▼ だけど「映え一辺倒」じゃない。
  意外と、生き物もちゃんと見せてくれる!

というところ。

Twitterあたりではちょこちょこ言及したのですが「あれ、意外と悪くないじゃん。ていうかむしろ割と好きかも!!」というのが個人的な感想でした。
もちろんオープン直後なので、生き物の成長や展示の熟成を考えると、真価を発揮する(真価が問われる)のはあと数年後かな、と思うけど。

訪問するのはもちろん初めてなので、せっかくなら周辺の様子や外観も見ておきたいなと思って、入場可能時間より少し早く現地着。

場所は神戸・三宮のベイエリアにあり、三宮駅や元町の繁華街からもギリギリ歩ける(15分~20分)立地です。
神戸市内には他にも何か所か水族館・動物園がありますが、その中では圧倒的にアクセスのよい水族館ではないかと思います。

五感で感じる劇場型アクアリウム・アトアが神戸に誕生。水族館とデジタルアートや舞台美術が融合する今まで体験したことない世界へ。

というわけでさっそく入館です!
今回のプレオープンツアーでは館内の滞在時間はだいたい90分と区切られているので、集中して廻らなきゃ!!(久々にカメラ2台持ちしました)

※通常営業時は、館内滞在時間の制限はありません。ただし入場時間指定の事前予約が必要です。

■まずは2F「はじまりの洞窟 CAVE」

「átoa」は神戸ポートミュージアムという建物の2F~4Fにまたがっていて、全部で7つのエリアから構成されています。というわけで順路どおり、1エリアずつ見ていきましょう。

エントランスをくぐるとまず広がるのが「はじまりの洞窟 CAVE」というエリア。

うおぉ、めっちゃ映え……!
天井から床まで鏡面張りの万華鏡みたいな部屋に、淡水水槽がいくつか。

正直、初見では「あー、、こういう系かぁ……」と思いました。『映え』オンリーのやつじゃん、魚とかどうでもいいやつじゃん、って。

ただよくよく見ていると、(あれ、実は水槽けっこう見やすいじゃん!)ということに気付きました。

もう一度上の写真を見ていただければと思いますが、部屋全体としては真っ青のキラキラなのに対して、水槽の中はどの水槽もまったく青くないのです。

部屋のいちばん奥の水草水槽、アップで撮るとこちら。
赤い水草はしっかり赤く、緑色の水草は緑で、水槽の中はあくまで自然な色みの照明なのです。

そもそも、水草水槽の照明を真っ青にしちゃうと光合成ができなくて水草が育ちにくいのですよね。名の知れた既存の水族館でも意外とそういう(残念な)水槽は見かけるのですが、「映え系」だとばかり思っていた átoa がそうではなく美しい水草水槽を見せてくれたことが、いい意味で意外でした。
(この水槽を見たあたりから、「あれ、ここは今までの映え重視水族館とちょっと違うかも……?」と思い始めました)

ちなみにこの水草水槽を泳ぐのはタキシード系(?)のグッピー。
グッピーが泳ぐ水草水槽って、昨今あまり見かけないような気がします。そういう意味でも、ちょっと新鮮。

ここのエリアの照明は定期的にパターンが変わります。こちらはたぶん全色点灯バージョン。

空間としてはほんと『映え』。
だけど水槽の中には影響してなくて、生き物たちの本来の姿・色彩を観察できる。さりげないけれど、めちゃくちゃ工夫されているなぁ、と感じました。

水草水槽以外では、こちらはアイスポット・シクリッド。
小さめサイズが複数匹泳いでいて、成長したらこの水槽で飼いきるのは難しそう。別のエリアにある大きめ水槽に移すのかな??

まぁ、展示されてる生体がまだ仕上がってないってのも、ここに限らずオープン当初あるあるですよね。(なので、数年後どうなってるかがとても楽しみなのです)

一方で、ピラニア・ナッテリーは比較的大きめの個体が。

ピラニアと言えば、同じ神戸市内の須磨海浜水族園(スマスイ)にものすごい個体数が入っていた水槽があったので(現在はリニューアル改装中)、もしかしたらそこから来たのか??なーんて妄想したりもして。真相は不明ですが。

■2F「生命のゆらぎ MARINE NOTE」

順路を進み、2番目の展示エリア「生命のゆらぎ MARINE NOTE」へ。

まるで水中にいるかのような、ゆらぎ感のある照明の演出。
天井部分はあえて無機質なのかな。この空間に、比較的ゆったりと間隔を置いて8基(たぶん)の円柱水槽が並びます。

都市型水族館というと、どうしても立地上の理由で観覧スペースに余裕がないことが多いので、この広々設計はありがたいです。

こちらも先ほどの「CAVE」エリアと同様、照明の演出は水槽内にはほとんど影響せず、生き物たちの自然な体色を見ることができます。(水槽にもよる。左後方の一番大きな水槽は水深があるせいか、やや青みがかっていた)

LED照明が普及して以降、水中らしい造景を狙ってか不自然なまでに水槽の照明を青くしてしまう水族館が増えてきた気がするのです。特に「都市型水族館」でその傾向は強くて、だからきっと「átoa」もそうなんだろうなーという先入観でいたので、この点はいい意味で裏切られました。
(※他館では昼と夜で照明の色みを変える演出が多いので、もしかしたら átoa も遅い時間に訪問したらまた違った演出なのかもしれませんが。)

個人的に、特に嬉しかったのはこちらのネオンテンジクダイ。
とても綺麗な種類ながらそれほど多くの水族館で展示していないのと、展示していても群泳美を狙ってか、なかなか1匹1匹を撮りづらい水槽だったりするので……。

これからは「ネオンテンジクダイを見る/撮るなら átoa!」と推していきたいと思います!

こちらは、このMARINE NOTEエリアで一番大きな水槽。

中を泳ぐのはウシバナトビエイ、トラフザメ、ユメウメイロ。遊泳性の強いウシバナトビエイが育ってきたら手狭かな?どうなるかな?今後の動向が気になる水槽です。

(「スマスイ」が átoa と同じ㈱アクアメントによる運営のままだったら、生体の融通も図れるんだろうなぁ……「新スマスイ」オープン後、その辺どういう関係性になるのかなぁ、と思ったりしました)

■2F「精霊の森 ELEMENTS」

「MARINE NOTE」エリアの片隅から自動ドアをくぐると、今度は「精霊の森 ELEMENTS」エリア。

熱帯雨林らしい雰囲気のフロアに、大小のテラリウム・アクアテラリウム水槽が点在。飼育生物も、爬虫類・両生類・熱帯性淡水魚がメインです。

写真奥には、アルダブラゾウガメやパルマワラビーといったやや大きめの動物の展示エリアも。
今回のプレオープン訪問時にはいわゆる「ふれあい」要素は見当たらなかったのですが、これがまだ正式オープン前だからなのか、あるいはコロナ対策の一環なのか、それとも本当に「ふれあい」要素無しの施設なのか。(個人的には、水族館に「ふれあい」は無くてもいいと考えていますが)

展示生物のラインナップや、展示場の作り(このエリアだけは出入り口が自動ドアになっている&常駐のスタッフさんがいる)ことから類推すると、もしかすると大阪の「ニフレル」のような体感型エリアになるのかもしれない、とも想像しました。

※なのでますます、大阪府内における「海遊館とニフレル」みたいな関係がもしかしたら成立していたのかもしれないなぁ……と、つい新スマスイの件に思いを馳せてしまったのですが。

熱帯魚好きな自分としては、このあたりの展示水槽が心の琴線に触れました。

このエリアで最も大きな水槽。
幅3mほどの、巨大アクアテラリウムです。陸上部分の作りこみがすごい。

水中を泳ぐのは、レインボーフィッシュの仲間が7種類(もしかして「7色の虹」を表現しているのか?)。

一見すると地味な魚たちながら、成熟したときの婚姻色や誇示行動(フィン・スプレッディング)が見事な魚たち。今はまだ若い個体が多かったのですが、今後の展示の成長がとても楽しみな水槽です!

このほか、ハダカデバネズミやウッドチャックといった一風変わった(そしてコアなファンの多そうな)動物たちも、多くがこのエリアに展示されていました。

そして「これぞ átoa ならでは!」という仕掛けが、こちらの「ATOA CHATTER」。

「精霊の森 ELEMENTS」の一角に佇む看板と、なにやらあやしげなモニター。

これは「ATOA CHATTER(アトア チャッター)」という案内人たち。館内に4体「生息」しています。
モニター越しに話しかけると、館内のことや生き物のことをアレコレ教えてくれます。定型化された機械的な会話ではなく、かなりしっかりとコミュニケーションが成立するので面白いです。訪問された方、ぜひ1回は遊んでみて!

今回お喋りしたのは、ミドリフグの「ティアラ」。
すぐ目の前で気付かずに別の水槽の写真を撮っていたら、「お兄さん!お兄さん!」とめっちゃ呼びかけてくれたので、つい話し込んでしまいました。

ATOA CHATTERについては、同じく館内に生息しているアンモナイトの長老「アンモーン」と、とあるYouTube企画でコラボさせてもらっちゃいました!
(呼んでくださった「じぇりぷろちゃんねる」さん、ありがとうございます!)

■3F「探求の室 FOYER」

エスカレーター(もしくは階段、エレベーターもあり)で3階に上がります。
3階には、館内でもっとも多い4つのコーナーが広がっています。

まずはエントランス部分にあたる「FOYER(ホワイエ)」。

水槽は大小合わせて4つ。そして右側に(見切れていますが)ミュージアム的な展示コーナーが併設されています。天井の高い、開放感のあるエリアです。

このエリアのメイン水槽がこちら。

半円状にオーバーハングした、半トンネル型の水槽です。(こういう構造の水槽って、元祖はどこなんだろう。えのすいかな?もともとは中村元さんプロデュースの水族館でよく見かけた印象です)

この半トンネル水槽に泳ぐのは、ピラルクーやレッドテール・キャット、ドラードといった南米産の大型熱帯魚や、水棲ガメであるスッポンモドキ(こちらは南米ではなくオセアニア原産)。そして時にはカピバラの潜水も見られるそうです。

水槽上部は吹き抜けになっていて、晴れた日は日光がしっかり注ぎ込みます。魚たちはまだまだ小さいのですが、今後の成長がとても楽しみな水槽。

スッポンモドキはそこそこ大きな個体が複数匹。
こんなふうに水深のある水槽を泳いでいるのは新鮮でした。紫外線はそれほど必要としない(とされている)種類のカメですが、しっかりと日光の入る水槽で育つ姿、これからも見に行きたいです。

この半トンネル水槽がかなり注目を集めていましたが(この下で記念撮影する人多数!)、個人的にはその右横にある小さめの水槽に注目してしまいました。

ディスカスが泳ぐ水草水槽。

水が茶色く濁っていて、これは意図的にこうしているのでは?と思いました。鑑賞面ではクリアに透き通った水が「美しい」のでしょうが、実際のアマゾン川は(水系にもよりますが)とろんと濁っている、という話をよく聞きます。

同じ神戸市内の旧「スマスイ」のアマゾン館やピラニア水槽は現地感を出すためにあえて茶色く濁らせた水槽がいくつもあって、そして「átoa」を運営している㈱アクアメントは元々「スマスイ」の運営会社でもありました(2020年3月まで)。

そんな経緯もあり、このディスカス水槽が濁っていたのも「あれ、もしかしてわざと?」と思ってしまったのです。実際のところ、どうなんだろ。

同じエリアには、こんなオープン型の半水面水槽も。

最近はロックバンド名としても有名になった「ポルカドット・スティングレイ」が泳いでいます。
átoa の従業員さんの制服はこのポルカドット・スティングレイをモチーフにデザインされたそうで、本家のエイの方もけっこう注目を集めていました。(制服のデザインは近隣に本社のあるファッションブランド・フェリシモ。さすがおしゃれの街・神戸って感じ)

この水槽の背後には、大きなマダコの壁画が。(神戸の西隣の明石はタコの名産地ですね)

こちらの壁画、「赤富士」をモチーフにしていることは割とすぐわかったのですが、実はもうひとつ隠された秘密があるそうです。ぼくは教えてもらうまで分かりませんでした。(秘密にしておきますので、現地に行かれたら探してみてください)

■3F「探求の回廊 GALLERY」

さてさて、ツアーの規定上、館内観覧時間は90分しかないので先を急ぎます。

続いては3階の廊下部分にあたる「探求の回廊 GALLERY」。

各エリアを繋ぐ通路部分にあたることもあり、常に人がいて全景を撮れなかったのですが、片側の壁面は水槽、その反対側には展示物の並んだ、ギャラリー風の展示エリアです。

こんなふうに、額縁風に壁に埋め込まれた水槽がいくつか。

ところで先ほどから水槽写真を載せていて気付く人は気付くのではと思うのですが(?)、átoa には「魚名板がある」のです。

ここ数年あちこちに新規オープンした「都市型水族館」、たびたび論争になるのがこの魚名板問題。
古くはアクアパーク品川(2005年オープン)あたりでしょうか。「魚名板は要らない」という方針で、オープン当初の水槽にはいっさいラベル類がなかった記憶です。

その後、「QRコード方式」(川崎水族館・2020年)、「専用アプリ方式」(DMMかりゆし水族館・2020年)と、この「都市型水族館には魚名板は要らない」という流れは脈々と(?)続き、そして「ないと不便だ!」「なにがいるのか分からない!」という批評が繰り返されてきたのです。

翻ってátoa。
「『アート×水族館』はもうええわ!」とすら思われた令和の世にオープンし、オープン前の宣材情報もひたすら『映え』路線で、実際に館内に入るなり『映え』全開だった átoa。

なんと、魚名板がある!
しかもデジタルパネルですらない!

これは軽く衝撃でした。

個人的にはいい意味での衝撃です。

もうひとつ印象的だったのは、この日の館内滞在中に見ている限り、かなり多くの人がこの魚名板を見ているのです。あぁ、やっぱり「目の前の生き物がなんなのか」って、みんな気になるんじゃん。そう思いました。
(一方で「ネオンテンジクダイ……へぇ、こんなにちっさいのにタイなんやって!」という声が聞こえたりもして「名前を知る=その生き物を知る」ではないな、とも思ったのですが……)

もういちど上の写真を見ていただければと思います。
額縁風の水槽に添えられた小さな魚名板が、決して空間美・見栄えを損ねていないと思うのは、ぼくだけでしょうか。まさに美術館の絵画に添えられた解説板のようで、すっきりと統一感があるなぁと思いました。
逆にここにデジタルパネルの魚名板を設置すると、悪目立ちしてしまいそうです。「映え=とりあえずデジタル」が最適解ではなかったんだなぁ。

そして水槽のメイン生物だけでなく、「掃除係」として入れられた生物についても掲示されているのが実に親切だなぁ、と思います。これは他の水槽も共通していました。

ここのエリアで個人的に特に好きなのは、こちらの水槽たち。

奥の水槽はウミシダが展示されており、海底らしくやや暗めな照明。
手前の水槽は海草のアマモを育てるために、強めの照明がしっかり当てられています。

このあたりも、『映え』だけでなく生体のことをしっかり考えられているなぁ、と感じました。

そしてこの水槽のメイン生体はなんと、オオイカリナマコ。
魚とかじゃなくて??マニアックすぎん??(笑)

「海の掃除屋」と書かれていながら、「水槽のお掃除係たち」と別枠で扱われてるのも、なんだかいい感じです。

水槽展示以外でも面白い仕掛けが満載。
「五感で感じる」をテーマに、体験型の解説パネルがずらりと並んでいます。

こちらは「ペンギンのおならのにおいが嗅げる」という展示。攻めてるなぁ。

こういう、『映え』とは対極にあるようなコンセプトもさらっと取りいれちゃうのが器量が広いというか、なんだかすごいなぁと思いました。(いや、デートコースとして考えるならば、こういう会話のネタになる要素も適度に入れておくのがいいのかもしれないな)

■3F「奇跡の惑星 PLANETS」

「探求の回廊 GALLERY」の通路を抜け、黒いカーテンの向こうの別エリアへ。(光の演出に配慮してか、黒い暗幕でエリア分けされている箇所が多いです)

ここから先は正に「映えの王道!」と言いたくなる水槽の連続です。

こちらが、 átoa の目玉展示ともいえる「日本最大規模の球体水槽」。
(そしてこんな異次元的な水槽展示にも、しっかり魚名板が設置されていることにも注目)

この球体水槽のあるエリアは、水槽はこれ1基だけ。

先述したとおり黒い暗幕で仕切られた漆黒の空間に、この球体水槽だけが輝いています。室内には定期的にミストが噴霧され、そこをレーザー光が照らし光芒が現れます。
(すべて写真で表現できなかったので文章で綴る 笑)

球体水槽に近寄って見上げるとこんな感じ。海の底に竜宮城があるとしたら、こんな景色だったのかもしれないな。

こういう水槽はさすがに「生き物をじっくり見る」というよりは「空間そのものを楽しむ」べきでしょうか。
(といいつつ、この水槽を泳ぐハナダイの仲間たちはけっこう飼育下でも産卵行動をするので、いつかこの宇宙的水槽のなかでそんな営みを見てみたい、とも思ってしまったのですが)

球体水槽のあるブースから出ると、外の通路もまるで宇宙のようなスペーシーな装い。

ずらりと並んだ半球水槽。
そして空間全体はプラネタリウムのように星空風に演出されています。

このエリアも照明の当て方が巧みです。水槽面が反射したり水槽内が偏った色味になることなく、水槽内を眺めることができます。
半球水槽なので写真に撮るとやや歪んでしまうのは仕方ないとして、空間美だけじゃなく「ちゃんと水槽の中を見せるつもりがあるんだなぁ」とここでも感じました。

※「そんなの当たり前じゃん」と思われるかもしれませんが、実際そうでもなくて。
(どことは言わないけど)照明が真っ青で生き物本来の色が全然わからないとことか、アクリル面にプロジェクター照射しちゃうとことか、苦肉の策でアクリル面に生物名・解説を書いちゃうとことか。
そういう「過去の都市型水族館で賛否両論だったポイント」みたいなのをかなり回避しているなぁと、そんな印象を受けました。

■3F「和と灯の間 MIYABI」

átoa 3階は映えエリアの連続です。

球体水槽のある「PLANETS」エリアから隣接するのは、átoa に行った方なら必ず写真を上げるであろう「和と灯の間 MIYABI」。

いやー、もうなんていうか、ここだけ空気が異質。
他のエリアはまだそれぞれ既存の「水族館らしさ」を感じるのですが、このエリアに関してはまるで映画のロケ地かゲームの世界に迷い込んだような世界観です。(正直、気恥ずかしさすら感じてしまい、あまり長居できなかった)

背後のスクリーンに映し出されたプロジェクション・マッピングは、春夏秋冬の4パターンがあるようです。このときは花火が上がってるから「夏」かな。

ガラス張りの床の下が水槽になっていて、ニシキゴイ(本物)が泳いでいます。
正直、ここに関しては生体観察云々という要素はほぼ皆無で、これはCGでもいいのかな……なんて少し思ってしまった。

空間としては屋内庭園風というか、豪華絢爛な料亭風というのか。(そんな高級料亭、縁がないので分かりませんが)
日本人向けというより、いずれインバウンド需要が復活したらターゲットはその層なのかもしれないな、と思いました。

エリアの一角には「鹿おどし」があります。
動かない模型なのかなと思っていたら、ちゃんと水が溜まって動くようになっていて、写真を撮っていたら不意に「カコーーン」といい音が響いてびっくりしました(笑)

水槽展示とは関係ないですが、こういうところも細部までこだわってんだなぁ。

壁沿いには、大きな水盆風の金魚水槽がずらり。
このエリア内でこの一角だけは、既存の水族館との共通点を感じます(すみだ水族館とか、アクアマリンふくしまの金魚館とか)。

■4F「空辺の庭 SKYSHORE」

屋内展示としては2階・3階で完結。
4階に上がると屋上風のオープンエリアとなっています。

こちらがほぼ全景。

写真では見切れている左側手前に、カフェスタンドがあります。フードメニューも見た目・素材ともになかなか凝っていて面白かった(ピラルクーの肉を使ったフィッシュサンドとか、四国産のサメ肉を使ったフィッシュフライとか)。

今回は滞在時間制限があったので(そしてこの後、ツアーに組み込まれたホテルランチが控えていたので)何も食べず。

次回訪問したら、ちゃんと堪能しなきゃ!

(写真2枚とも、プライバシーを考慮し一部加工しています)

左から、コツメカワウソ、カピバラ、フンボルトペンギン、ゴマフアザラシの展示エリア。コンパクトに纏められている印象(最大限言葉を選ぶ)

カピバラの水槽は3階フロアのオーバーハング水槽(ピラルクーがいた水槽)に繋がっているので、見た目以上に深さがあります。

その水槽を泳ぐスッポンモドキ。
日光の射す水面直下でぼーっと定位してました。陸地に上がることは少ないカメですが、こうして水中で日光浴してるのかな。

展示エリアとしてはこれで(2階、3階、4階)すべて見たことになります。
今回は滞在時間約90分の制限の中で、なんとか2周(1周目は駆け足で全体観の把握、2周目はちょっと空いてきたので空間と個々の水槽をじっくりと)という感じ。

一般的には滞在時間1~2時間コース、生き物や水槽をしっかり見たい人なら3,4時間コース、というところでしょうかねー。これから行く方の参考になれば!

※ちなみに制限時間ギリギリまで館内で粘っていたので、ミュージアムショップにほとんど寄れませんでした。グッズもかなり凝ったものが多いので、次回はしっかりお買い物しよう……。

神戸三宮の都市型水族館、átoaアトアミュージアムショップのオンラインショップです。 átoaはアクアリウムを核に、舞台美術やデジタルアートが融合する新感覚の劇場型アクアリウムです。 アトアミュージアムショップでは、アトアで飼育されている生き物をモチーフにしたアトア限定のオリジナル商品を企画し販売しています。 このオ...

átoa を満喫した後は、ツアーのコースに組み込まれていたホテルランチ。

もちろんぼっち飯。

なぜか最初のサラダしか写真撮ってなかった。

■総括(少しだけ、átoa 語り)

というわけで駆け足で(といっても気付いたらえらい長文になっちゃったけど)巡りました、オープン直前の átoa。

感想としては冒頭にも書いた通り「単なる映え系・都市型アクアリウムだと思ったら意外と悪くない!いやむしろ割と好き!」です。

先にも書きましたが、これまでの都市型水族館でありがちだった
・魚名板/解説板の省略(デジタル化)
・プロジェクションマッピングの多用
・生き物観察より雰囲気演出を重視した照明

という要素(そしてオープン後に一定数の批判を浴びる要素)をかなり回避しているなぁ、という印象でした。

「生き物がめっちゃ見やすい」とまでは言いません(曲面水槽多いし)。
オープン間際のためか一部の水槽の生体はまだ本調子ではなさそうでしたし、大型魚や大型動物に関しては、これから成長したらちょっと狭そうだな……と思ってしまった部分もあります。
(なので数年後にどんな姿になっているか、とても楽しみです)

ただ「あぁ、きっとここはちゃんと生き物好きな人が、生き物をきちんと見せようとして作った『映え系・都市型水族館』なんだなぁ」という感想を持ちました。

その一方で、「映え系」であることは間違いないです。めっちゃ『映え』。デートで行ったら盛り上がること間違いなし。(しらんけど)

関西エリアって、今までこういうテイストの水族館があまりなかったような気がします。
もしも自分が関西在住で、特に水族館/生き物フリークでもない友人とデートに行くとしたら、この「átoa」は選択肢のかなり上位にあがるのではと思います。

そういう「別に生き物フリークって訳でもないけど、オシャレな水族館なら行ってみたいかも~~」という層が、気付いたら目の前の生き物に魅了されて、水族館ファンになっている。
そんな施設になるんじゃないかなぁ(なるといいなぁ)という期待と予感がしました。

実のところ、átoaを運営する㈱アクアメントは、同じ神戸市内でこんな施設も運営しています。

マリンピア神戸「さかなの学校」。
2021年7月オープン。こちらも今回、初訪問でした。なお入場無料!

さっさと廻ればそれこそ30分、いや15分くらいで一周できちゃうような、こじんまりとした施設です。(ショッピングモールの敷地内にある施設です)
けれど地元の魚を中心に選りすぐりの生き物がしっかり飼育・展示されていて、そして親しみやすい解説板がしっかり設置してあって、学習施設としての側面もしっかり兼ね備えている、とてもいいミニ水族館でした。

かたや『映え』の皮をかぶったオトナ向け都市型水族館「átoa」。
かたや地元志向で、生き物のことをしっかり学べる「さかなの学校」。

この2つをセットで廻ったことで、「átoa」の立ち位置がより理解できたような気がしました。電車で20分程度の距離ですので、時間が許すならばぜひハシゴすることをオススメします!

そして、最後だからボソッと(ひとりごと的に)言っちゃうけど……。

「スマスイ」も㈱アクアメント運営のままだったら、この神戸市内に点在する3か所の水族館施設のそれぞれの役割が、よりハッキリしたのかもしれないなぁ。

観光客やデート客が神戸の中心街に近い「átoa」に行って、”本丸”であるスマスイにも足を伸ばす。
ファミリー層がショッピングついでに「さかなの学校」に寄り道して、”本丸”であるスマスイにも興味を持つ。みたいな。

もちろんこれからリニューアルを控える「新スマスイ」のこともとても楽しみなのですが、なんだかそんなパラレルワールド的な未来図のことも、ちょっと想起してしまったのでした。

スポンサーリンク
写真素材のピクスタ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Copyrighted Image