【水族館レポート】2019.11.02_花園教会水族館~外来種問題と水族館、1つのカタチ。

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■また1か所、行きたかった水族館へ!

関西方面へ遠征する機会がありまして、前々から行きたい行きたいと思っていた京都・花園の「花園教会水族館」へお邪魔することができました!!

こちらの花園教会水族館、水族館としては一風変わった特徴がいくつか。
・入場料が無料(無料水族館自体は日本各地にちらほらありますが)
・運営母体がキリスト教会(というか実質、牧師の方の個人経営?)
・立地もどうやら教会の敷地内にあるっぽい??
・展示生物は99%外来種、60%が引き取り個体?!

ぼく自身も割と長いこと熱帯魚を飼っていますし、その趣味と不可分な外来種問題も、とても身近な問題だと感じています。

(このサイトの前身ブログより:)

自宅の熱帯魚+水族館で撮影した魚の写真館。

だから「外来種の引き取り」を全面に押し出した、しかもほぼ個人で運営されている水族館というのはいったいどんな施設なのか、そしてどのような取組みをされているのか知りたくて、ずっとお伺いしたいと思っていたのです。

■京都・花園の裏路地を散策。住宅街に突如現れる水族館!

花園教会水族館までは、JR・花園駅から徒歩10分。
京都駅から観光地・嵐山へ向かう途中、映画村で有名な太秦とすぐ隣接したエリアの住宅地のようです。

スマホの地図アプリを頼りに住宅街を歩き回ること10分弱……。
閑静な住宅街に唐突に、目指す目的地が現れました!

(※実際には、屋根に白い十字架が立っていてやや離れたところからでも見つけることができます。水族館というより教会を探すつもりで向かった方が迷わなそうです)

教会の1階部分、というか玄関より階下にあるから半地下なのでしょうか。元々はガレージだったと思われる空間が水族館になっています。

入り口前にはカメの水槽が置かれています。クサガメ、めっちゃかわいい(でも外来種)。

あくまで教会運営がメインなので、平日は原則予約制、土日祝日は午後14時~17時が開館時間(2019年11月現在)。館内のスペースにも限界があるため、入替え制(1枠50分)を採用しています。この日は開館直後の14時過ぎにお邪魔したためか、待たずに入ることができました。

■さっそく入館!

屋外の展示物を眺めたり外観を撮らせてもらったりウロウロしていると、牧師(兼館長)の篠澤さんが気付いて声をかけてくださり、そのまま館内へ。

正直、いわゆる普通の水族館(チケット売り場があって、エントランスがあって……みたいな)とはだいぶ勝手が違うので最初はちょっと戸惑いましたが、まずはボランティアスタッフの方に展示解説をしていただきながら館内をひとめぐり。

ところ狭しと並べられた大小さまざまな水槽たち。ベアタンクに近いシンプルな水槽が多くデートスポット的なオシャレ要素を期待するとちょっと違うかもしれませんが、アクアリスト的にはぶっちゃけ、落ち着きます(笑)。
ああー、自分の家にもこれくらい水槽を置けたらいいのに!!!

同じ水槽スペースを、反対サイドより撮影。正直言うと、こういう水槽部屋を作るのが人生の夢だったりします。

水族館、ことに大手資本の都市型オシャレ水族館と比べてしまうとかなり別ジャンルの施設にも思えますが、そうではなくて「熱帯魚好きな友人の水槽部屋」に来たと思うとかなり楽しめます。(そういうと語弊がありますが、後述するように実は随所に「見られる」ことを意識した解説ボードや仕掛けがあって、見ごたえのある展示施設となっています)

■馴染みのある観賞魚たち!

展示されているのは、やはりそのほとんどが観賞魚として流通している淡水魚たち。

あぁ、コウタイ!!
最近我が家でも2代目を飼育し始めましたが、以前飼育していた個体は10年以上も長生きしてくれて(コウタイとしてはまぁ平均寿命の範疇ですが)個人的にとても思い入れのある魚です。

2018年4月19日、「飼育」の日。 2007年2月から飼い続けてきたコウタイが、天国へ旅立った。

ポリプテルス3種がきれいに並んでました(たぶん、手前からラプラディ、デルヘジィ、ウィークシィ)。ポリプとかガーは(見た目とは裏腹に)おとなしいので、水槽で賑やかに混泳させると本当に楽しいですよね。

オレンジキャット。全長50cmくらい?
よく慣れるし飼いやすいし成長が割とゆっくりで巨大化しすぎない(それでも)、いいナマズです。

去年から我が家で飼い始めたオレンジキャット(愛称:檸檬ちゃん)も、じっくり育ってこんな立派な姿になるといいなぁ。(写真は我が家の個体)

レッドテールキャットの白化個体?
初めて見ました。ノーマルのくっきりした模様とはまた違う、ちょっと幻想的な美しさ!

(カンボジア産)タイガーバルブ。さりげなく、けっこうマニアックな魚も多いです。

アミア・カルヴァ。ポリプともスネークヘッドとも似ているようで微妙に違う。可愛い。いつか飼いたいなぁ、アミア。

こちら「幻のスネークヘッド」という見出しに興味をそそられるチャンナ・メラノプテルス。体形や模様はトーマンとかマルリウス・スネークヘッドにも似ているけど、オレンジと黒のくっきりしたツートン模様が美しい。

でっかいスネークヘッドってカッコいいですよねぇ。

それにしても、この魚たちのほとんどが引き取り個体なのかぁ……。たくさんの魚たちに囲まれてテンション上がりながら、一方でそんなことも考えてしまいました。

■爬虫類・両生類も充実!

カミツキガメやアカミミガメ(ミドリガメ)、グリーンイグアナの例でもわかる通り、観賞魚と同じかそれ以上にペット由来の外来種問題が深刻な爬虫類・両生類。

やはり引き取り個体なのでしょうか。かなりな種数・個体数が展示されていました。

マタマタ。
笑ってるみたいな正面顔がなんともいえない(笑)。甲長で30cmくらいかなぁ。けっこう大きめの個体が展示されてました。

ミシシッピーニオイガメ。
同郷のミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)ほど大きくならない&ほぼ完全に水中生活するので屋内の水槽でも飼いやすいということで、最近人気のカメです。とはいえミドリガメと同じく北米産ということを考えると、逃がしてしまうと日本に定着してしまう可能性が高そうでちょっと心配しています。
(実家でも1匹飼っていますが、飼いやすくてよく慣れて可愛くて、本当にいいカメなんです。特定外来生物入りして飼育禁止、なんてことにならないで欲しい……)

フトアゴさん!!!
ベタ慣れ個体で、ふれあい体験もできます。ずっしり立派なサイズ、現在4歳とのこと。

我が家のアゴちゃんも、生きていれば同じくらいの体格になっていたかなぁ。

フトアゴヒゲトカゲ「アゴちゃん」が旅立ってから、約1年。なかなか書けずにいましたが、大学病院での剖検結果ほか、その後の続報です。

通路の向こう側からやってきたのは、これまたベタ慣れのアルダブル・ゾウガメ!
館内で放し飼いになっていて、ここのアイドル的存在のようです。甲羅だけでなく、頭や首筋を優しく撫でるのもOKとのことです。貴重な体験!

しゃがんで水槽を撮っていたら、気付いたらすぐ横にやってきて足をかじられました(笑)。
※うっかり靴底のラバーをかじりとって誤飲でもされたら大変なので、すぐに足を引っ込めました。

■「教会」であること、外来種99%の水族館であること。

「教会水族館」らしく、「聖書と魚の大きな関係」という解説展示も。

そう、水槽の魚たちとベタ慣れの爬虫類たちに夢中になっていましたが、ここは教会の建物の1階だったんです(マジでそのことを一瞬忘れるくらい、展示生物に夢中でした)。

そもそも、教会の一部に水族館を設立した発端は「生きた魚を見たことがない」という子どものひとことがきっかけで、「どんな子どもでもひとりで通える水族館にしよう」という理由から入場無料の水族館という運営方針を守り続けているそうです。(詳細はここを訪問すると貰えるリーフレットに書いてあります)

※そんなわけで運営資金は入場料ではなく寄付でまかなっているそうです。「あー、いい水族館だなー」と思ったらぜひご協力を。(ステマじゃないです笑)

水族館内のおよそ半分くらいのスペースは子どもたちの遊び場スペースになっていて、ぼくが訪問した時もそこで遊ぶ子どもたちが水槽の魚たちにエサをあげたり生き物たちとふれあったりしていました。

国連「生物多様性アクション大賞2018」入賞。
写真には撮りきれませんでしたが、館内の生き物に関するクイズラリーなんかもできて、生き物について楽しく学べる工夫があちこちに散りばめられています。

さかなクンさんが2回来館。そのほか、各種メディアにもたびたび取り上げられています。

「教会の中の水族館」というとどこか宗教色があるのではないか、という気がしてしまいます。(自分も実際に訪問するまではけっこうドキドキでした。普段、特定の宗教を信仰するということがないものですから……。)
※幼少期、通園していた幼稚園の関係で礼拝に通ったりしてはいたものの、「教会」という場所に行くことはたぶんそのころ以来の経験でした。

実際には、確かに先ほど貼った写真のように「聖書と魚」のような展示もありますがそれ以上のことはなく(当然、なにか宗教的な勧誘を受けるようなこともありません)、むしろ目立つのは外来生物問題への熱いメッセージ。

■「外来いきもの図鑑」ともコラボ中!

前述したように、ここで展示されている生き物の多くは引き取り個体。「教会が運営している」ということと並んで特筆すべき特徴が、「外来生物問題」をメインテーマに据えているということです。

外来生物について子どもにも分かりやすいように書かれた大ヒット書籍「侵略! 外来いきもの図鑑」とのコラボ展示も、館内随所に展開されています。

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特に目を惹いたのが、最近話題の「ヒアリ」に関する展示コーナー。

ヒアリと、これまた外来アリ・アカカミアリの解説展示。

館内を案内してくださったスタッフの方いわく、西日本でヒアリとアカカミアリの標本を展示しているのは恐らくここが唯一とのことです。許可を頂いて、液浸標本を手に持って観察させていただきました。「ヒアリは小さいアリ」と知ってはいたものの、実物を見るのは初めてです。確かに小さい!

■外来生物問題の根本って「生命を大事にする」ことなんだと思う。

近畿地方らしい外来生物展示「タウナギ」。確かに東日本ではあまり見かけない外来魚です。ニョロニョロ系好きな身としては、かなり魅力的な生き物なんですけどねー!

在来種だと思われがちな外来魚、ニジマス。
水産資源だけど外来魚、外来魚だけど種苗放流されているという、外来生物問題のめんどくささを象徴するような魚。

外来生物の問題が広く知れ渡るようになって、今では多くの水族館で多かれ少なかれ外来種関連の展示を見かけるようになったけれど、ここまで外来生物をメインテーマに据えた水族館が他にあったでしょうか。

上に写真を挙げたタウナギやニジマスはどちらかというと食用目的で持ち込まれた外来種だけれど、個人的には幼少期から長年熱帯魚飼育を趣味にしてきたこともあり、観賞目的で持ち込まれた外来生物の話には特に心が敏感になる。
だって、「自宅の水槽で飼う」という本来ならどうやったって自然環境に流出し得ない趣味の筈なのに……。飼育者のモラルの問題でしかないと、昔から思っています。

日本は世界でも有数の観賞魚大国で、世界各地の魅力的な魚たちを簡単に入手・飼育し、「こんな魚がいるんだぁ!!」と感動できる。それは自分のように生き物好きな人間にとって本当に素晴らしいことの筈なんだけど、その恩恵を享受しているアクアリスト自身の所業で、どんどん己の首を絞めてしまっているように思います。

世の中に流通する観賞魚たちのどれくらいが、飼い主の元で天寿を全うできるのか。こうして水族館へ引き取ってもらえる個体はまだいいけれど、違法放流されて日本の寒さに耐えきれず死亡したり、外来魚として駆除対象になる個体はもっともっと多いんだろうなぁ……と、館内の魚たちを眺めながらそんなことにも思いを馳せてしまいました。

・最後まで飼いきれない生き物を飼育しようとしない
・ほとんど誰しもが持て余す生き物をやたらと販売しない
・どうしても飼いきれなくなったら、そこらに捨てたり放さない

本来なら販売したアクアショップ自身が責任をもって飼いきれなくなった個体を引き取るべきで、それこそが業界の自浄作用なんだろうけど、経済活動だけ考えるとなかなかそういう取組みも広がらない。だって、例えば成魚のガーパイク1匹引き取る分の水槽があったら、可愛いくてよく売れるサイズの赤ちゃんガーパイクを大量に販売できるから。

そんなアクア業界の尻ぬぐいを水族館にさせてしまうのは本来ではないだろうな、とも思います。そして現実に、水族館側にだってキャパやバランスの問題があって、外来生物だけを無尽蔵に受け入れられるわけではない。
だからこそ、そんな中で花園教会水族館が「99%外来種、約6割が引取り個体」を謳い発信するメッセージというのは、なんだか鋭く胸に刺さりました。こういう施設が、本当は全国的にもっともっと必要なのかもしれません。(繰り返すけど、本来それをすべきはアクア業界自身なんですけれど。)

そしてふと、「目の前の生き物を慈しみ、大事に扱う」というのは宗教の種類や宗派にかかわらずほとんどの宗教に共通して礎をなすことなのではないのかな、とも思ったのでした。(仏教の場合は「放生」という考え方もあって、それはそれで無秩序な放流を助長している側面もあるのだけれど)

※そしてこういった活動をほぼ個人で、入場料ではなく寄付収入をベースに運営している、という点に重ね重ね驚きました。こんな形で外来生物問題に取組むやり方もあるんだな、と。
この活動が少しでも充実すればと思い、寄付に関するリンクをもう一度貼っておきます。

■【挑戦状?】求ム、でっかいデンキナマズ。

さてさて。
真面目な話が長くなってしまいましたが、最後にひとつ、水族館好きなら気になってしまう展示物が。

これ見て思わず(あれ、でっかいデンキナマズどっかで見たよなぁ……)と頭を悩ませてしまいました。

ちなみにこちらがそのデンキナマズ(ロングノーズ・デンキナマズ)。
60~70cmくらいはあるのかな。今まであんまり気にしてなかったけど、今後あちこち水族館に行くときは「デンキナマズの大きさ」にもちょっとチェック入れてみようかと思います!

■(おまけ)教会のあとにお寺??!京都のお寺でナマズと出会う!

花園教会水族館さんを退館したあと、紅葉でも見たくなり近くにある妙心寺というお寺へ。ここの退蔵院という寺院の庭園が綺麗だと聞いたので行ってみました。

※教会のあとお寺という……本当に不信心で申し訳ないです。。仏教にもキリスト教にも疎いものですから、もしなにか間違いがあればご指摘いただけると嬉しいです。

こちらが退蔵院。
ん?「瓢鮎図」?(魚偏の漢字があるとつい敏感に反応しちゃいますよね)

こちらがその「瓢鮎図(ひょうねんず)」。
国宝に指定されていて、展示されているのはレプリカです(実物は京都国立博物館に保管されているそうです)。「つるつると滑りやすい瓢箪でヌルヌルとこれまた滑りやすいナマズをとらえることができるか」という禅の問いかけなんだそう。
まるで「一休さん」の頓智のようですが、それもそのはずでここ妙心寺は臨済宗のお寺、一休さん(一休宗純)も臨済宗のお坊さんなんですね。

なお「瓢図」なのになんでナマズなの??「鮎」はアユでしょ?という疑問ですが、中国では「鮎」はナマズを意味するんだそうです。日本では戦勝を占う際にアユを使ったことから、「鮎」で「アユ」を指すようになったんだとか。(※諸説あり)

歩き疲れたのでお抹茶をいただこうとしたところ……

なんと!お茶菓子までヒョウタン&ナマズ!!!
控えめにデフォルメされた造形が絶妙な可愛さを醸し出しています!

さらに山門の瓦にもヒョウタンナマズがデザインされていました。紅葉目当てでふらっと立ち寄っただけだったのに魚ネタを拾ってしまう引きの良さ!

このナマズをモチーフにした「のらりくらり」トレーナーがあまりに可愛くて思わず購入してしまいました。

京都 妙心寺 退蔵院の公式ウェブサイトです。季節の華やぎと禅寺の落ち着いた佇まいを兼ね添えた空間を、どうぞゆっくりご拝観ください。

花園教会水族館~退蔵院までは徒歩で10~15分くらい。宗教的なことを言えばハシゴするのもなんだか気が引けるかもしれませんが、「魚教」信者としてはどちらもとても面白い魚スポットでした。

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写真素材のピクスタ

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