■「閉館したはずの」水族館へ。
2023年10月某日。
静岡・東海大学 海洋科学博物館へ行ってきました!
東海大学の水族館といえば、2023年3月末をもって一般公開は終了した、ハズ。
わたしも、閉館間際の昨年2月に駆け込みで見納め訪問をしてきました。
実は(この記事内にも書いたのですが)、一般公開の終了後、2023年度は「水族館エリアのみ、完全事前予約制で見学OK」という方針が打ち出されていました。
いずれは完全に閉鎖されてしまうことが(ほぼ)決まっている水族館。見学できるうちに足を運んでおかなければ一生後悔しそうです。
そんなわけで、思い切って予約を入れて、しっかり堪能してきましたよ!!
※事前予約は1回に8人まで可能、とのことだったので、仲良くさせてもらっているフォロワーさんに声をかけ、ついでに大きめのレンタカーを借りてみんなで遊びに行きました(笑)
■いざ「閉館後」の館内へ。ちょっとドキドキ。
現地に着いたのはお昼過ぎ。
事前予約は午前の部/午後の部 に分かれていて、午後の部は13時から16時まで滞在することができます。
少し早く到着したので、博物館のまわりをうろうろ。
水族館のある「海洋科学博物館」の玄関前。
完全予約制(無料)となったため、チケット売り場は閉鎖されています。
そして、向かって左側にあったミュージアムショップは完全に閉店した模様。
入り口横に掲示された館内案内図。
事前予約で見学できるのは1階の水族館部分だけで、2階の博物館部分と「メクアリウム(機械水族館)」は閉鎖中となっていました。
隣接する「自然史博物館(恐竜の博物館)」。
こちらは完全に閉館していました。閉館前に行っておいてよかったなぁ。
やはり、一般公開(通常営業)していたころと比べるとなんとなく寂しい雰囲気(単純に、人が少ないせいでしょうけど)。
水族館の中はどうかな、やっぱり徐々に展示閉鎖で水槽や魚が減ったりしていないかな、と、少しドキドキし始めながら入場を待ちました。
そして13時になり、予約メールの画面を見せて入場。
(自分たち8人以外に、家族連れや学生さんらしき集団など数組、計20~30人くらいが来館していました)
入場して、同行者みんなが最初に向かったのがこの場所。
※本当に、期せずして全員ここに向かってそれぞれ写真撮影していたので、思わず笑ってしまった。
2階の博物館エリア(閉鎖済み)へ向かうスロープ通路。
立入禁止の規制線が張られていて、「あぁ、本当に閉館したんだ……」ということを改めて実感しました。
2階の海洋博物館も、とても充実した分かりやすい展示で楽しかったのですよね。ピグミーシロナガスクジラの骨格標本は、今でも鯨油を滲み出し続けているだろうか。
■いざ、水族館内へ!以前と変わらぬ水槽たちに感動。
改めて、水族館エリアへ。
事前予約制になってからは、午前の部/午後の部で完全入れ替え制。
そのため、午後イチの入館ならば誰もいない館内に入っていくことになります。
というわけで、撮るよね~~。
(「無人状態」の大水槽まわりを、これまたみんなで交互に撮影)
水音だけが微かに響く、誰もいない館内。
真ん中にそびえる、歴史を感じる大水槽。
悠々と水槽の中を泳ぐ、立派なシロワニ。
「もしかしたら二度と来れなかった場所に、また来ることができた」という感慨もあり、一瞬、思わず言葉を失って立ち尽くしました。
大水槽の底近くを泳ぐネムリブカ。
以前見つけたドンキーフェイスのコガネシマアジも、健在でした。
大水槽の下に潜る、トンネル通路。(閉館前に来たときはトンネル内に常に人がいて混雑していたので、この日改めてゆっくりと堪能)
「駿河湾の生きもの」コーナー。
ここも「無人状態」の空間美をしっかり満喫。
事前予約の上限人数が「100人」と設定されているので、賑やかすぎない館内がありがたいです。1つ1つの水槽を、心ゆくまで堪能。
東海大のイトヒキアジ(というか大型アジ類全般)、やたらと立派なんだよな。
こちらは、一文字違いの名前のイトヒラアジ。
アイブリ。
以前(23年2月)の訪問時には見かけなかったような??
一般公開終了後の今でも、新しい魚を導入している??
(※後日調べたところ、春時点では別の水槽にいた可能性が大。成長とともに水槽を移動したのでしょうか。ともあれ、今でもきめ細やかな展示維持がされていることに驚きました)
深海生物の標本コーナー。
何度見ても、この壁面いいよなあ。
■今でも見られるバックヤード!
個人的に、東海大の水族館で一番好きな場所がここ。
中2階にある、バックヤードを見学できる通路。
クマノミ類をはじめとして、魚たちの飼育・繁殖に取り組んでいる現場を垣間見ることができるのです。
少し奥まった場所(かつメインの順路からは外れた場所)なので閉鎖されているかもなぁと思っていたのですが、再び見ることができてよかった!
「博物館で魚をふやす」というこの解説チラシ、本当に必読。
水族館でなぜ生きものを飼い、繁殖に挑戦するのかということが、丁寧に説明されています。
(東海大、実に37種もの生き物で「繁殖賞」を受賞しているのですよね)
ここ東海大学海洋科学博物館が単なる「見世物施設」ではなく「博物館」であり、教育・研究施設であり、だからこそ一般公開終了後もこうして(限定的ですが)見学可能な形で維持されているのだろうな。
そんなことを実感しました。
■掲示物もちょっと変わってた!
1階奥にある掲示板。
ここ、以前は確か、取材協力したメディアとか水族館ガイド本の切り抜きが貼ってあったような……。
今回行ったら、こんな風になってました。
これまでの歴史をまとめた年表展示。
歴代館長の紹介コーナー。
東海大学ご出身で、現在各地の水族館の園館長をされている方のご紹介。
仮にこの博物館がいつか役目を終えた後も、さまざまな場所で、その歴史は受け継がれていくのでしょうね。
■閉館時間まで、お気に入りの展示をたっぷり満喫。
館内をひととおり巡ったので、閉館までの間は好きな水槽や生き物を、気ままに満喫。
このハゼとテッポウエビの共生水槽、何度見ても好き。
(他の水族館だと水底下をここまで見ることができないので、彼らの巣穴がこんなにも深いなんて、知れなかったのです)
ホソスジマンジュウイシモチ。
老成した感がある。こんなふうに、長い間大事に飼われていただろう魚を見つけると嬉しくなります。(小さい魚だと特に)
ヘコアユの給餌。
水面下のチューブから、ちょっとずつエサの動物プランクトンが落ちてくる。
どういう仕掛けになっているんでしょうかね。
素早くて予測不能な動きで、撮影するのがめちゃくちゃ難儀だったウナギギンポ。
でもかわいいんですよね。
アクリルパイプ部分にすっぽり収まったニセゴイシウツボ。
どうやらここが定位置??
アカオビハナダイの恋ダンス。(求愛&産卵行動)
チャイロマルハタ。
広角マクロで撮ってみた。
キダイ(レンコダイ)。
泳ぎがゆっくりでなかなか出てこない深海魚の水槽でも、空いているのでじっくり粘れる。
■3時間の見学を終えて。
13時から16時まで3時間、たっぷりと満喫。
有料営業を終えて基本的には「閉館」している水族館が、こんなにもハイ・クオリティなまま維持されていることに ”衝撃” とすら言いたくなる驚きと、不思議な感覚を覚えました。
だってさ。
週末ごとに大挙して来館者が訪れる大都会の人気水族館より、下手すりゃずっと魚の状態もいいし、水槽の水も輝いてるし、館内のすべてが「現役」のままだったのです。
それは誰のため?なんのため?
なんて、『水族館とはなにか?』という根源的な問いすら浮かびかけたけど、それは一回飲み込んで。
「2024年度の開館日程は未定」となっているのだけれど、もし24年度もまた公開してくれるのであれば、必ず再訪したいです。
今年もきっと、遊びに行けるよね??
※これまで毎回、魚たちに夢中でスルーしてた「津波実験水槽」を、今回は久しぶりに最初から最後まで見学しました。
(新年早々あんなことがあったばかりでちょっと触れづらいんだけど、こういう展示もどこかでずっと継承されてほしいよなぁ。「防災」という観点でも。)