『魚類図鑑の使い方』について考えてみた。

それは、ある日夫婦で水族館に行った帰りの自宅でのこと。

妻「ねぇねぇ、この図鑑って、どうやって使うの??」

そう言いながら妻が眺めていたのは、ぼくの本棚にあったこの図鑑。

日本の海水魚(山渓カラー名鑑) の通販ならヨドバシカメラの公式サイト「ヨドバシ.com」で!レビュー、Q&A、画像も盛り沢山。ご購入でゴールドポイント取得!今なら日本全国へ全品配達料金無料、即日・翌日お届け実施中。
日本の淡水魚 第3版;改訂版 (山渓カラー名鑑) の通販ならヨドバシカメラの公式サイト「ヨドバシ.com」で!レビュー、Q&A、画像も盛り沢山。ご購入でゴールドポイント取得!今なら日本全国へ全品配達料金無料、即日・翌日お届け実施中。

(山渓カラー名鑑「日本の海水魚」「日本の淡水魚」)

ヤマケイの「日本の海水魚」「日本の淡水魚」、どちらも掲載種数も多いし(海水魚のほうはそれでも網羅しきれていないけど)写真も綺麗で、ずっと愛用しています。

■そういえば気にしていなかった「図鑑の使い方」

妻「ねぇねぇ、この図鑑って、どうやって使うの??」

ん??図鑑の使い方??

ぼく「あぁ、その図鑑は分類別に魚が並んでるから、例えばハゼの仲間だったらハゼ亜目のページを……」

妻「ちがう!そうじゃなくて、例えば水族館で魚を見て、コイツはハゼの仲間だとかアイツはベラの仲間だとか、どうして分かるの?!」

なるほど、その視点はなかった!!

そういわれてみれば確かにその通りです。「日本の海水魚」も「日本の淡水魚」もだいたい700ページ以上ある分厚い図鑑なのですが、そのページをえいやっ!とめくり「えーと、今日水族館で見たベラは……」などと調べ物をしている姿を見て、疑問に思ったようです。

これが辞書だったら、たいていは調べたい言葉が先にあって、辞書は五十音順に並んでいるのでそのまま調べればいいのですが。名前を知らない魚を魚類図鑑で調べる場合は、確かにそうはいかないですね。

たいていのオーソドックスな魚類図鑑は分類別に、無顎類(ヤツメウナギとか)や軟骨魚類(サメやエイ)から順番に魚が並んでいます(たいていは、最後はフグ目かな)。小学生くらいから子供向けの魚類図鑑を愛読書にしていたので自分はその順番がなんとなく頭に入っているのですが、そうでない人からしたら不思議に思えるのでしょう。これ、自分ではなかなか気付かずにいました。

そのとき、妻が探そうとしていたのはこちら。淡水魚の「ハス」です(しながわ水族館にて撮影)。確かに少々知名度の低い魚ですし、「白っぽくてなんだか顔と口がやたら大きい、川に住む魚」という特徴だけを手掛かりに、誰にもヒントを聞かずに図鑑でこの魚にたどり着くには、そう言われれば難しそうです。

■とりあえず、魚類の系統樹をざっくり説明してみた。

なるほどそういうことか、と思い、本棚から別の本を出して、とりあえず魚類のだいたいの系統樹を説明してみました。ひとまず「目」レベルで目星がつけば、なんとなく図鑑のページを繰るときの目安になるかな、と思ったので(スズキ目以外は)。

(東海大学出版部「魚の分類の図鑑」)

この本は、掲載されている種類数自体はとても少ないのでいわゆる「図鑑」としては(種類を特定するには)使えないのですが、魚の各分類群(目)の特徴をコンパクトに纏めているので、魚類全体の分類を大雑把に把握するにはいい本かなと思います。

魚類の系統樹と、主だった目/亜目の特徴を、かなり駆け足ですがザッと説明しました。ここでうっかり小難しい話をしすぎて苦手意識が芽生えると元も子もないので、自分なりになるべく分かりやすくなるように。目指すレベルはあくまで「魚類図鑑の並び順がなんとなく頭に入る程度」です。(ここでうっかり「日本産魚類検索」とか持ち出しちゃダメだと思いました。アレは初見殺しです)

ついでに、
「ひとまず各鰭の位置と名前を知ってみよう。」
「とりあえず日本の川魚なら、まずはコイ目を疑え。」
「海の魚なら、半分以上はスズキ目。」
「海の魚で、やたらトゲトゲしてたらカサゴ目の可能性も。」
みたいな話も。

うーん、こんな説明でいいのかなぁ。そう思いつつも、とりあえず妻は納得してくれました

自分としては、まだちょっと自分自身の説明に対して腑に落ちない部分もあるのですが。魚類の分類に対する自分自身の勉強不足も痛感した次第です。自分がある種「感覚的」に理解していることを誰かにきちんと言葉で説明するのって、自分自身の理解を深めるためにもすごく大事ですね。
たとえば「あー、スズメダイの仲間だから魚類図鑑のだいたい真ん中より後ろか」みたいなこと。いつの間にか身についてるけど、改めて復習するって大事です。

■「~~の仲間」って、どこで見分けてる??いつ覚えた??

ここで冒頭の妻の疑問「コイツはハゼの仲間だとかアイツはベラの仲間だとか、どうして分かるの?!」を改めて考えてみました。

水族館に行って、たとえばサンゴ礁の魚が泳ぐ水槽で「全体的に円盤型で口先がとんがって、背鰭の前のほうがちょっとトゲトゲしてて後ろ側は丸っこい魚」がいたら、あぁチョウチョウウオの仲間(チョウチョウウオ科)かな、と思います。

同じように、「全体的になんとなく小判型で、背鰭がけっこうトゲトゲしてて後ろの方は上下が尾鰭側にちょっと突き出してて、鱗がガサガサした感じ」だったらスズメダイの仲間かな、とか。

この辺は同じ科の中で基本的な体形があまり変わらず、模様だとか細かい特徴が種によって違うだけなので、それぞれの科の「基本形」みたいなのを絵合わせ的に覚えて見分けているんだと思います。

難しいのはベラの仲間だとか、淡水魚だとナマズの仲間だとか、同じ分類群なのに見た目のバリエーションが豊富すぎるやつら。

大きなメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)とそれをクリーニングする小さなホンソメワケベラが同じベラ科の魚だ、みたいなこと、予備知識があるからすんなり受け入れてるけど、知らなかったら全く別の魚に見えてもおかしくないですよね。あ、あとケサガケベラも。

こういうの、いったいどこで覚えたんだろうと思うと、ぼくは子どもの頃に魚類図鑑をずっと読んでいたり、図鑑を見ながら魚の絵を延々と描いたりしていたので、それで自然と覚えたのかな、と思います。子ども心に「ハゼの仲間は吸盤が描きづらいから嫌い」とか、「北国の魚は地味だから好みじゃない」とか好き嫌いがあったりもして。

だから、ぼくは未だにハゼの仲間だとか北方系の魚(カジカ系だとかソイだとか)の分類が苦手です。ほかの魚もそんなに詳しくはないけれど。

■「リンネレンズ」に思うこと。

ところで最近、「リンネレンズ(LINNÉ LENS)」というスマホアプリが話題になっています。

LINNÉ LENS(リンネレンズ)は、世界初のかざすAI図鑑です。近代分類学の父、カール・フォン・リンネの名前にちなみ「世界中の動植物を瞬時に識別し、誰もが専門家のように世界の豊かさを解釈できるアプリ」を目指しています。

「かざすAI図鑑」をコンセプトに、水族館で水槽の生き物にスマホのカメラをかざすだけでAIがその生き物の名前を教えてくれる、という優れモノアプリ。

実のところぼくはまだ使ってみたことがないのですが、デモ画面やネット上の評価を見る限りそこそこ精度も高いそうですし、種類まで特定できなくても「**の仲間」というところまで判定できれば教えてくれるそうです。

これは確かに楽しそうですし、便利なアプリだなと思います。デモ映像は恐らくサンシャイン水族館ですが、公式サイトには他の水族館の館長さんのコメントも掲載されていたり、生物多様性や生態系保全の問題にも言及していたりと、相当マジメに開発されたアプリなのだな、という印象を受けました。

一方で(魚オタクのちょっとイジワルな疑問っぽいですが)こんなのどうなんだろ?とかも思う訳です。

1枚目:シマキンチャクフグ(フグ科、有毒種)
2枚目:ノコギリハギ(カワハギ科、無毒。いずれも葛西臨海水族園にて)

こんなの、ちゃんと見分けてくれるのかなー。

ヒレ(背鰭と尻鰭)の付き方を見れば違いは一目瞭然なんで、それさえカメラがきちんと認識すれば見分けてくれそうではありますが。アプリへの批評という意味ではなくて単なる興味として、そのうち、実際にアプリ使って試してみたいです。

ここから先は個人的な想いなのですが、「魚の面白さを知る」ということは単純に魚の名前を知るということではなく、例えば「無毒のノコギリハギが有毒のシマキンチャクフグそっくりに擬態している」ということを知ったり、そこから先のこと、たとえば「同じ場所に住んでいるはずなのに、どうしてシマキンチャクフグは有毒でノコギリハギは毒を持たない(持てない)んだろう」とか、「ノコギリハギ(の祖先)は、どうやってシマキンチャクフグに似るように進化したんだろう」とか、そういうことじゃないのかな、と思うのです。

「リンネレンズ」が、そういうことまで教えてくれたら面白いなー。

世の中、生き物に「興味はあって、だけどオタクではない」という層のほうがたぶん多くて、そしてそういう層の人が「ちょっとだけ生き物のことを知る」と、動物園にしろ水族館にしろ、何倍にも面白さが増すと思うんです。そうして(自分も含めて)みんなが生き物のことをちょっとずつ知っていけば、自然保護の問題だとか動物愛護の問題だとかも、きっといい方向に繋がるんじゃないかな、とも思ってます。

図鑑にしろ便利なアプリにしろ、使い方を知って少しだけ自分で調べてみると、きっと世界がずっと広がるはず。このブログも微力ながら、少しでもそのきっかけになればいいなと思ってこの記事を書きました。

【過去記事:水族館で「魚を知る」ということ】

「イロカエルアンコウ」は、実は色を変えません、という話。
スポンサーリンク
写真素材のピクスタ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Copyrighted Image