【水族館探訪記】2020.02.01_井の頭自然文化園

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■10年……いや20年ぶりだろうか。

東京で過ごした2月最初の週末。

泊まってたホテルで目覚めて(んー、、どっか水族館行きたいなぁ……)と思いつつ、世間は春節のインバウンド需要でなかなかの賑わいぶり。このところ話題の新型コロナウイルスとやらについては正直、気をつけるといっても限界があるしそれほど気にはしていないのですが、団体客でごったがえす水族館に行くのは単純に気が乗らないなぁ……。

SNSを見るとサンシャインもすみだも葛西もなかなかの混雑ぶりのようで、(んー、、どうしよ。。)と頭をひねって思いついたのがこちら。

【井の頭自然文化園】
・所在地:東京都武蔵野市/三鷹市
・アクセス:JR線・京王線吉祥寺駅より徒歩約10分
・営業時間:9時30分~17時
・休園日:月曜日&年末年始(詳細は公式HPを確認ください)

・入園料:大人400円(中学生150円)
・公式HP:https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ino/
(訪問日:2020年2月1日現在の情報です)

東京都立の、井の頭自然文化園(井の頭動物園)。
ここには、動物園の中に淡水生物専門の小さな水族館があるのです。

それにしても……。ずいぶん長いこと行かずにいたなぁ。下手をしたら高校生のころ(まだ東京の実家に住んでいたころ)以来かもしれない。決して嫌いな水族館ではないのだけれど地理的に東京での生活圏からちょっと離れていることもあり、ごぶさたしてしまいました。。。

■静かな水族館タイムを満喫。

JR吉祥寺駅から井の頭公園の中をとことこと歩き、まずは水生物園へ。いわゆる動物園(本園)とは道路をへだてた分園に立地しています。

さっそく入園料を払い園内へ。あ、チケットは本園(動物園)・分園(水生物園)共通です。

外観はこんな感じ。自然豊かな公園の中にひっそりと建つ隠れ家的な佇まい。
入口の前に池が掘られていて、そこにも魚たちが飼育されています。

暖冬とはいえ冬場だったせいか、池には魚たちの姿はまばら。深みで静かにしているのかもしれません。屋外展示はまたあとで楽しむことにして、まずは館内へ!!

館内は「ロ」の字型のシンプルな通路になっていて、こんなふうに水辺を模した水槽がずらっと並んでいます。ほとんどすべての水槽に水草が茂っているのと、水面がちょうど人の視線の高さに来る水槽が多いのが印象的でした。

水槽から少し離れて眺めると水辺の雰囲気にひたることができて、ちょっと生き物をじっくり見ようとすると自然と水中を覗き込むような感じになるんですよね。アクリルガラスをへだてて、水辺と触れ合うような気分にさせてくれます。

照明はあくまで水草の成長を促す自然な色みで、派手な演出はいっさいなし。かすかに聞こえる水音がBGMの、ゆったり落ち着いた空間です。
(冒頭に書いた通り、混雑しているであろう都心部の水族館を避けてこっちに来たので、この静かな時間を満喫できた自分のナイス判断に内心軽くガッツポーズでした)

■地味だなんて言わせない!煌めく「日淡」たち!

こちらで展示されているのは、ほとんどが日本産の淡水魚、いわゆる「日淡」たち。
大きなサメもマグロも、キラキラ綺麗な熱帯魚たちもいない(そっち見たけりゃ同じ都立の葛西に行って!ということかな)のですが、この日淡たちだってバカにはできません。

顔を半分くらい川底につっこんで、一心不乱に砂をモフるツチフキ。
粒度の不揃いな細かめの砂が使われていて、自然な雰囲気が演出されています。そしてこういう展示環境を整えることで、魚たちの生き生きとした行動も引き出してくれるんですよね!
ひとつひとつの水槽が大きすぎず、そしてさほど混雑していないこともあり、こういう魚たちの行動を間近でじっくり観察できるのが本当に嬉しいです!これが水族館本来の姿だよなぁ!!

美しい婚姻色を出したカワムツ。
身近な川に、こんな美しい魚がいるんです。自分もどちらかというと海外産の熱帯魚に目を奪われてしまいがちなんだけど、身近な魚たちにもっと目を向けないといけないな。

そして、思わず小さく歓喜と感嘆の叫びをあげてしまったのがこちらの水槽。

ミヤコタナゴの乱舞!!!
なんて光景だ……絶景すぎる……。

すこし解説をすると、これらはすべて「ミヤコタナゴ」(学名:Tanakia tanago)という魚。
日本の固有種で、日本国内でも関東平野にしか分布していない小型のタナゴの仲間です。

もともとは関東地方のあちこちで見られたそうですが(東京都23区内の公園や池にも生息記録)、いまでは東京都、神奈川県、群馬県では「絶滅」、埼玉県でも「野生絶滅」とされていて、いまでは栃木県と千葉県のごく一部でしか自然状態では生息していません。

参考URL:
環境省:https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/miyakotanago.html
栃木県:http://www.pref.tochigi.lg.jp/d04/eco/shizenkankyou/shizen/miyakonanago.html

環境省のレッドリストではもっとも絶滅のおそれの強い「絶滅危惧IA類」、種の保存法の「指定種」および国の天然記念物となっていることから、許可のない捕獲・売買・飼育は禁止されています。(そういえばちょっと前に、自宅で繁殖させた愛好家の方が書類送検された事件があったりしました)

絶滅危惧種の天然記念物「ミヤコタナゴ」を譲り受けて大量繁殖させた東京都内在住の男性が、2014年1月14日に文化財保護法違反などの容疑で書類送検された事件をご存じだ …

そんな希少な魚が、群れでしかもとても美しく展示されていることに、心から感動したのです。ミヤコタナゴを展示している水族館自体はけっこうあるのですが(絶滅から守るため、複数の施設で協力して保護活動を行っている)、たいていは水族館の片隅の「絶滅危惧種コーナー」みたいなところでひっそりと展示されていて、なかなか目につかないのです。
ここ井の頭ではそんなミヤコタナゴたちが広々とした水槽で主役として乱舞していて、その美しさに改めてはっと心を打たれたのでした。

オス同士でヒレを広げて誇示行動をしたり、急に団子状に密集してみたり……。まさに「乱舞」というのがふさわしい贅沢な光景でした。

いつかこの煌めきを、そこらへんの川や池で見ることができたらなぁ……。
そんな時代が本当に来るのだろうか……。

※ここ井の頭でも大量に展示されている通り、飼育や繁殖自体はそれほど難しくないとも聞きます。採集や飼育を禁止することも重要なのかもしれないけれど、水辺の自然環境をしっかり守ることこそが本当に必要なんだろうな……。

さて、そんな感傷的な気分をちょっと引きずりつつ、順路を進みます。

こちらは館内最奥にある、里山の水辺を模した水槽。
この水槽もやはり、照明の明るい右側のエリアは水草がたっぷり茂っています。水面より上の部分のつくりも凝っていて、「陸上×水中」という水辺の魅力が詰まっています。

セキショウモがたっぷりと光を浴びて光合成し、ぷくぷくキラキラと酸素の泡が立ち上る水景。そしてそこに泳ぐフナ。

珍しい生物が展示されているわけでも、派手な演出が施されているわけでもない。
それなのにぐっと惹き寄せられる展示です。

魚だけでなく、両生類もいます。
こちらはトウキョウダルマガエル。このあたりも極力「地元の生きもの」にこだわっています。

■淡水魚水族館といえばおなじみ??!外来種展示。

悲しいかな、もはや日本の水辺と外来生物はセットのようになってしまっていて、日淡に力を入れている水族館では必ずと言っていいほど目にする外来種展示。

ブルーギル。
20cmくらいある、やたら立派な個体です。

こちらももはや「定番の外来種」になりつつある、カミツキガメ。
かなりアクティブに動いていて、なんだか「カミツキガメって怖い生き物だよ」と言わんばかりの大口を開けた顔や鋭い爪先を撮ってしまいました……。

実際のところ、造形美はカッコいいし丈夫で飼いやすいし(飼育禁止だけど)、魅力的なカメなんですけどね。そこらに捨てる輩さえいなければ……。

■井の頭に来たら必ず見たい!カイツブリの潜水捕食。

順路の最後(というか、廻り方によっては最初)に待つのが、とびきり素晴らしいこちらの展示。

カイツブリ!!!
しかもエサの小魚(モツゴ)をくわえてます!

水槽の奥の方に狩場があるらしく、水槽前でしばらく眺めているとけっこうな頻度で潜水して、魚を捕まえて食べています。

潜水シーンを撮るのはなかなか難しかったのですが、水面に浮上した後もくわえた小魚を器用に水面に叩きつけて弱らせたり、くわえなおして丸呑みしたり。ずっと観察していられます。

そういえば子どものころ遊びに来たときはカワセミが展示されていて、水に飛び込んで魚を獲るところが見たくてずっと水槽前で待ち続けていたなぁ。(現在は、近い仲間のヤマセミが展示されています)

■動物園エリアも満喫してきました。

水生物園を満喫したあとは、せっかくなので動物園エリアにも足を運んでみました!
(動物園に行くというのに望遠レンズを持ってきておらず……「目で見て楽しむ」スタイルに!)

井の頭の動物園で好きなのが、こちらの「リスの小径」。
ニホンリスが放飼されたケージ内を歩くことのできる展示です(ふれあい展示ではない)。リスの脱走防止のため、入り口/出口は二重扉になっています。

おお!いた!
リスたちが間近に観察できます。仙台のうみの杜水族館にも最近「ちいさなリスのくに」という展示がオープンしましたが、こちら井の頭ではだいぶ以前からこの展示があって、先駆け的な印象です。

園内にある「はな子カフェ」。
往年の動物園ファンにとって、井の頭といえばアジアゾウの「はな子」。国内最高齢(69歳)を記録した、日本の動物園史に残るゾウの一頭です。彼女を偲んで、園内の売店にその名前が冠されいたのですね。

「はな子」の飼育舎はそのまま保存されており、その生涯を紹介する展示施設になっていました。ここだけなんだか特別な空気が流れていて、「動物園の動物と人間」みたいなことを考えさせられる空間でした。

今回、井の頭自然文化園に行きたかった理由のもうひとつがこの募金。東京都の動物園/水族館(東京ズーネット)が連携し、オーストラリアの森林火災被害への募金を集めているのです。

オーストラリアといえば、大好きなトカゲ・フトアゴヒゲトカゲの原産地。
ささやかながら、ぼくも募金箱にいくらか入れさせていただきました。

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