【2021年秋オススメ!】本州でサケが見たいとさけびたい!【初訪問・イヨボヤ会館】

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……前回の「イカを見に行かなイカ」に続き、なぜか駄洒落タイトルが続いてしまった「この秋オススメ」シリーズ。

今年も秋。アオリイカたちの季節がやってきました!迫力の食事シーンを見に行かなイカ?

そんなわけで、第2回の今回は昨年秋(2020年12月初旬)に訪問した「イヨボヤ会館(新潟県村上市)」訪問記です。

<公式HP>
https://www.iyoboya.jp/

■名前だけじゃさっぱり分からんが、本州随一のサケ専門施設!

仙台からクルマで3時間弱ほど走りまして、新潟県最北端の市・村上市へ到着。

到着すると、どーん!と巨大なサケの看板が出迎えてくれます。
よく見れば建物の色も、ほんのりサーモンピンク。

玄関にも大きく「日本最初の鮭の博物館」という文字が踊ります。

行ってみれば分かる、ここはまさしく「サケ専門水族館(博物館)」なのです。
「イヨボヤ」は村上市の方言でサケのことらしいんだけど……地元の方以外はどんな施設か分かんないよなぁ。。。

■「ミニ孵化場」はミニ水族館の風情。

エントランスで入場料を払い、まずは隣接する「ミニ孵化場」へ。

水産試験場や理科室っぽい雰囲気の室内には、サケ漁業についての解説パネルとともに小水槽(60㎝水槽~90㎝水槽)がずらり。

これ、バックヤードじゃありません(笑)
展示エリアの片隅にバケツや網といった飼育用具が整然と置かれているのも、なんだか水産試験場って感じ。

そして室内の真ん中には、サケの孵化用施設が。
ここはあとでじっくり見ることにして、まずは部屋の四方にずらっと並んだ小水槽群を見ることにします。

こちらの壁面には、60㎝水槽がずらり。壁面ごとに水槽サイズが揃えられているので、飾り気はないけど不思議と整然として見えます。

水槽の上に給水配管が走っていて、蛇口をひねれば1つ1つの水槽に給水できるのがすごい!(完全に飼育者目線 笑)
水槽の下の床には排水溝があるから、ほぼ新水かけ流しで魚を飼えるじゃん……。こんな配水システム、自宅に欲しいです……。

こちらの壁面は90㎝水槽で統一されています。
水槽内を泳ぐのは、地元の川の生きものだったり、金魚だったり。(水槽の上にはサケ漁業・放流事業の解説パネルが並んでいますが、パネルの内容と水槽はほぼ一致してません)

アカメの幼魚。
西日本(高知県・宮崎県など)に棲む魚なので、ここ新潟県・村上市とは特に縁はないのですが、なぜかまとめて展示されていました。(大きくなったらどこで展示するんだろう)

90cm水槽に単独飼育という、かなり贅沢な飼い方をされたアホロートル(ウーパールーパー)。

アカハライモリうじゃうじゃ水槽。

と、ここまでは比較的、とりとめなくいろいろな生き物を並べた「ミニ水族館」という感じ。

しかしここイヨボヤ会館のメインディッシュはあくまで「サケ」です。
いざ、あえてあとまわしにしていたサケふ化水槽へ。

こちらがサケの孵化槽。
左から右に水がかけ流しになっています。水槽内にはサケの卵、つまりはイクラと思しき赤い粒粒が。

きれいな水のなかですくすく育つ「イクラ」たち。よく見ると卵の中に小さな目が見えるのが分かるでしょうか。

こちらはさらに数日早く採卵された卵。
水槽の底の方に、卵からかえった稚魚たちがウヨウヨしています。孵化した稚魚は採卵器の隙間から水底に落ちていく仕組みのようです。

そうして選り分けられたサケの稚魚たち。
お腹にまだ養分の入った袋(ヨークサック)をぶら下げてじっとしています。かわいい!

このサケ孵化の様子が見られるのは、だいたい10月~翌1月くらいまでとのこと。

■サケたちの遡上を観察するため、地下へ!

イクラから孵化するサケ稚魚の様子もかわいくて面白いのですが、やはりこの時期(秋~初冬)ならばダイナミックなサケの遡上が見たい!

というわけで、さらに順路を進みます。

やや薄暗い階段を下り、地下展示エリアへ。

その日その日の川の濁り情報を教えてくれる案内板。
自然そのままの展示という感じで、期待感が高まります(前日から雨だったので、この日は残念ながら「やや濁っている」とのことでしたが……)

「あれ?めっちゃ水透明じゃん?」と一瞬思ってしまいましたが、ここはまだ水中観察窓ではなく、水槽展示。ここはここでゆっくり見たいですが、いったん後回しにして先を急ぎます。

■地下道をひたすら進み、自然の川の水中風景へ。

薄暗い地下道のような順路を進み、川まであと110m。

途中、ブラックライトで美しく演出されたトンネルを楽しみながらさらに進みます。(ちなみに川の真下のトンネルということで、このへんはスマホの電波の入りが悪いです)

あと50m!

到着!!!

長い長い地下道を抜けた先は、こんな感じで広々とした地下ホールになっています。
そしてところどころに、川の中を覗ける水中窓が!

※ちなみにこの「種川」は、サケの産卵場として掘られた人工の川とのこと。
すごい……。それを復元して水族館的施設にしちゃうのもすごい……!

■いざ「野生のサケ」とのご対面!!

水槽チックなガラス窓を見ると飛びつきたくなってしまうのが、われわれ水族館マニアのかなしき性質。
しかし水中窓は10か所もあります。いったん落ち着いて、サケがよく観察できそうな水中窓を探すことにします。

む!
いた!!!!

白く濁った水の向こうに浮かぶ大きな魚影、まさしくサケです!

小魚の群れの向こうにうっすら浮かぶ、巨大な魚影。

もう少し近寄ってきてくれないかなぁ、と思い、10か所ある水中窓を右往左往。

そしてようやく、かなり間近にサケを観察できる窓を発見しました!
くっきり!!

水流の関係なのか、それとも産卵の準備でもしているのか、水中窓のかなり近くまで寄ってくるポイントを発見。

ときどきこんな風に大サービスしてくれます!(サケ的には別にサービスしてるわけじゃないですが)

こっちはたぶん、オス個体かな。
つがいなのか、ずっとこの2匹で泳いでいました。

左のちょっと丸くて優しい顔をしたのがおそらくメス、右の個体は犬歯が発達して「鼻曲がり」といういかつい顔つきになっているので、たぶんオスかな。

雨天続きの週末だったので川がかなり濁っているのが残念ですが、それでも間近で見るオスのサケは迫力満点。よく晴れて川も澄んだ日だったら、もっと大迫力のシーンが見られるんだろうなぁ。

濁った水中に消えていくサケの後ろ姿がカッコよくて、ついつい何度も狙ってしまった構図。(あー写真上手くなりたい。。。)

本当にいつまでも見ていられます。
この躍動する大きな魚体が、あと少しで子孫を残す営みを終え、生涯を終えるのだなぁ……。そう考えるとますます尊く、目の前を泳ぐこの姿が神々しくすら見えてきます。

しかし館内にはまだまだ見ていないフロアが。
名残惜しいですが、このあたりでいったん「野生のサケ」とはお別れ。

ちなみにこの水中窓エリアの一角には、さかなクンさんの描かれた大きなイラストが。
こちらもあわせて探してみてください。

■濁った日でも安心!水槽展示「生態観察室」。

ふたたび長い長い地下道をとおり、先ほどスルーした水槽展示エリアへ。

地下通路の片面に大水槽がしつらえられた「生態観察室」。
先ほどの濁った川とはちがい、透明感のある蒼い光にワクワクします。

反対側から。この水の透明度がありがたい(笑)

「今年もサケが帰ってきました!」のプラカードも立っています。
順路的には、先ほどの河川観察窓よりも先にこの水槽があるので、館内の全容を知らずに訪れると「これが自然の川の中なのだ」と勘違いしてしまいそうになります。

実際、半屋外になっていて自然光が入ってくるので、水槽というよりは「館内に再現された人工河川」という感じ。
そんな水槽で見るサケ、最高に決まってる!

「ブナ」と呼ばれる独特の模様。川を遡上し始めたサケだけに見られる特徴です。
先ほどの濁った川の中ではここまでハッキリ見られませんでしたが、紫がかったまだら模様が美しい……。

ボロボロになった尾びれにも、荘厳さを感じてしまったり。

オス同士の闘争の結果か、それとも遡上の途中で岩にでも擦ったのか。傷ついてめくれあがった鼻先。
生命を繋ぐ営みの厳しさを感じてしまいます。

ふだん、傷ついたり奇形の個体を水族館で撮影するのはなるべく避けるのですが、これはそういうのとはまったく別ですね。むしろ積極的に何度でもシャッターを切りたくなる猛々しさ。

「醜く体形の崩れた魚」か、「大切にされ続けた魚」か。東京タワー水族館と、魚譜画家・長嶋祐成さんの個展を見に行って痛烈に感じたこと。

そして「生態観察室」の名前の通り、ここでは透明度の高い水槽のおかげで、産卵期のサケたちの生きざまをまじまじと観察することができます。

水槽奥の砂地で寄り添うサケのつがいがひと組。

メスらしき個体が尾びれで砂地を掘るようなしぐさを繰り返していました。

砂地にはすでにたくさんの卵が産みつけられているらしく、サケたちが砂を掘ろうとすると卵が水流で舞い上がります。

この貴重な産卵シーンを、本当は山に分け入って野生の川で見てみたい。けれどそれは誰もかれもが簡単にできることではなくて、だからこうやって室内の水槽で間近で観察できる場所というのはとても貴重です。(今回のように川が濁っている日でも、こちらではクリアに観察できますし)

サケ・マスをテーマとした水族館施設は北海道には何ヶ所もあるのですが、本州でこれほど「サケ推し」な場所というのはなかなかなくて、なのでぜひ一度サケ遡上の時期に訪れてみて欲しい施設です。

かくいう自分もこの2020年秋が実は初訪問だったのですが、すっかり魅了されてしまい、今年の秋もまた行きたくなっています 笑。

■水槽展示以外もチェック!「サケの町」村上市を感じる。

「自然の川を観察できる水中窓」と「サケたちの生きざまを観察できる大水槽」の2つの展示にすっかり魅入ってしまいましたが、館内の展示物にもしっかり目を通します。

サケはここ村上市の重要な水産資源。
というわけで、館内のあちこちに漁具や採卵用の道具が展示されています。(漁具を見るとなんだか無性にテンションが上がる人)

こちらは名探偵コナンの犯人の人……ではなく、海藻を獲る海女さんの装備(だった気がする)。

村上市で獲れるのは(というか日本で獲れるサケの多くが)「シロザケ」ですが、それ以外のサケマスの仲間についても詳しく解説されています。

でもやっぱりシロザケかっこいい!!

こちらはお子さま向けにサケのことが楽しく学べる「こどもサケ科学館」。
中央に鎮座するサカナ型のマシーンがなんともダサかわいい。

よく見ると館内の階段をちっちゃいサケが遡上していたり

「サケリン」なるゆるキャラ?がいたり。(好きな食べ物が「サケの酒びたし」なのは共食いだと思うんだ)

そしてなんといっても、館内あちこちに吊るされたサケの存在感!

村上市特産の「塩引き鮭」。
館内で実物が「展示」されています。

干されたサケの顔もまた大迫力。

そして展示館の窓の外に干されたこれも……展示物、なのか?
それとも自家製?売り物?

こちらは完全に「売り物」ですね。
※併設する「サーモンハウスはらこ茶屋」では、サケ料理を食べられたり、塩引き鮭をはじめ名産のサケ土産を購入できたりします。個人的には「サケの酒びたし」がお気に入り。

すっかり館内を満喫し、「はらこ茶屋」でお土産もしっかり購入したあとでふっと見上げると、事務所棟の2階でたくさんのサケを干していました。

このあとも村上市の海沿いの道をドライブしているとあちこちの軒下にサケが干されている光景を見ることができて、やっぱり「サケ=地元の魚」としてその魅力をしっかり伝えてくれる施設は楽しいなぁ。

「北海道に行かなくてもサケの遡上を観察できるスポット」として、もっとメジャーになっていいと思うんだなぁ。(サケの遡上は季節限定だけども)

※今年は2021年10月9日~、屋内水槽でのサケ遡上展示がスタートしているそうです。(10月20日現在、河川観察窓からはまだ遡上するサケは観察できていないとのこと)

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