4月後半くらいから、ネットでちらほら囁かれている「オリンパスTG-5、生産終了??」の噂。ソースは通販サイトやこちらのツイートのようです。
【新品】いつもご愛顧ありがとうございます。生産完了となったオリンパスの人気タフカメラ『Tough TG-5』が今なら在庫ございます!新品で手に入れられるこの機会をお見逃しなく!⇒https://t.co/J3f9yJZ2VG pic.twitter.com/3nQGwlAUvu
— カメラ専門店 マップカメラ【公式】 (@mapcamera) April 25, 2019
メーカー公式サイトでは「生産終了」とは公表されていませんが(2019年5月1日時点)、メーカー公式のオンラインショップを見るとひっそりと現行機種一覧から外れておりました。複数の通販サイトでも「生産終了」と謳われていることからも、そこそこ信憑性は高い話なのでは、と思います。うーん、まじかぁ。
【補記】
※その後、正式に生産終了を発表。
■「TG-5」ってこんなカメラ。
「TG-5」というのは、オリンパス「Tough(タフ)シリーズ」の(現状)最新機種。
名前の通り野外や水中でのタフな使用を念頭に、防水性能(水深15m)、防塵性能、耐衝撃性能(高さ2.1m)、さらに耐低温(-10℃)・耐結露と、タフネス性能に重点を置いたシリーズです。
単純に「タフ」なだけでなく、この手の機種ではトップクラスに明るい(F/2.0)レンズを搭載。また「顕微鏡モード」では4種類のマクロ(接写)撮影モードも搭載。動画モードでは、4K動画やハイスピード動画の撮影も可能。
タフで/明るく/接写に強い という、まさに生き物好きにはぴったりの一台です。
「生き物好き」をターゲットにしているのだろうな、ということは、昆虫写真家・海野和男氏を宣伝に起用していることからも伺えます。
ぼくはこのカメラを、2017年7月に購入。
以来、基本的にはデジタル一眼レフ(ニコンD7000)のサブ機という位置づけで使用してきました。
古いブログでの過去記事ですが、購入当時のレビューはこちら。
(購入当日にサンシャイン水族館で試し撮り。顕微鏡モードで、深度合成使ってます)
■「TG-5」、こんな人にオススメ!
……もう生産終了する(かもしれない)カメラを今さらオススメするんじゃない!と言われそうですが、まだ店頭在庫はあるようですし(2019年5月時点)、欲しい方は今のうちに!
迷っている方の背中を少しでも後押しできればと思い、水族館好き・生き物好きの視点からの独断レビューです。
(世の中にまだまだニーズがあるということになれば、メーカーさんも後継機の開発に本気出してくれるかもしれませんしね! 笑)
【補記】
2019年7月に後継機種「TG-6」の販売が正式にリリースされました!
基本スペックはそれほど変わっていませんが、撮影モードが増えるなどところどころ改良されています。
スマートフォンでもそれなりの画質の写真が撮影できるようになった昨今、敢えてコンデジのTG-5を購入するという層は、以下
1)「一眼レフ買うまでではないけど、高機能なカメラが欲しい」
2)「一眼レフのサブ機として購入を検討する」
のどちらかなのではないか、と思います。
以下、その両方の視点からTG-5の長所(と短所)をご紹介します。
1)「一眼レフ買うまでではない」という方へ!
① マクロ性能ならTG-5!
先にも書いた通り、TG-5は接写にめちゃくちゃ強い!「顕微鏡モード」「深度合成モード」等々、4種類のマクロ(接写)撮影モードを搭載しています。
レンズ先端から1㎝まで接写可能ですので、水族館ならば例えばガラス面ギリギリにいる生き物を接写、なんてこともできちゃいます!
(イボヤギの仲間?の触手を、ぐぐっと接写。志摩マリンランドにて。)
(カエルの瞳にカメラが写り込むくらいまでクローズ・アップ。あわしまマリンパークにて。)
② コスパ比較
さて、この「Olympus TG-5」ですが、実売価格はおおよそ¥43,000~¥45,000程度(2019年5月1日時点、本体のみ新品価格)。
率直に言うと、これはデジタル一眼レフのエントリー・モデルなら購入できてしまう価格帯です。(例えばNikonのAPS-C入門機である D3400ならば、レンズキットで¥42,800。※Amazon、2019年5月1日調べ)。
だったら一眼レフ買った方がいいんじゃないの?!なんて思ってしまいそうですが、ちょっと待って!
先ほどのようなマクロ撮影をしようと思えばマクロレンズが必要になりますので、どんなに安いレンズを買ったとしてもトータル6万円~8万円くらいの出費は覚悟しなければなりません。
マクロ撮影だけでなく普段使いで風景写真なんかも撮ろうと思えばレンズもう1本……、水中撮影しようと思えばハウジング……、なんて考えていくと、あっという間に出費はふくれ上がっていきます。(これがいわゆるカメラ沼、レンズ沼)
「とりあえずそこまでしたくないけど、水族館や野外で綺麗な写真を撮りたい!」という向きには、コスパ面でもTG-5は非常にオススメな1台と言えると思います。コンパクト・デジカメ(いわゆる「コンデジ」)で4万円台というのはまぁまぁ高級な範疇ですが、生き物撮影がメインならば、買って損はしないカメラです。
水族館や水中以外でも、たとえば動物園でこんな撮影も。
(真っ暗なアイアイの飼育ケージ内を、最高感度のISO12800で撮影。さすがに画質は多少落ちますが、ここまで明るく撮れるんですね!)
(ちなみに同じアイアイの飼育ケージ内を、ISO200で撮影したところ。肉眼で見るとだいたいこれくらいの暗さです。高感度撮影ってすごい!)
2)一眼レフのサブ機として!
実のところ、ぼくの購入動機はこっちのパターンです。
そして普段の水族館撮影では8割がた一眼レフを使用していますので、「TG-5が活躍するシーン」というのが局限的で、「TG-5じゃないと!」という場面がよりハッキリしていると思っています。
① 携行性
TG-5を購入して約2年が経ちますが、最近多いのは「デジイチ持って行くのはかさばるけど、TG-5なら。」というケース。
例えば、水族館巡りがメインではない旅行/外出の時だとか。
例えば、出張ついでに週末、お忍びで水族館巡りをするときだとか。(もちろん勤務時間外ですよ!)
水族館撮影以外でも、普段ちょっと散歩するときなんかにポケットに入るサイズのTG-5が、けっこう重宝します。重くてデカいデジイチ、持ち歩きが億劫だったりしますもんね。
(浅草・三社祭にて。暗所にも強いです。ISO640で撮影。)
② 野外&水中撮影
はい、来ました。TG-5のタフ性能が本領を発揮するシーン。ひとまず、作例を何枚か。
まずは水中撮影(3枚とも、小笠原・父島にて)。
光量たっぷりの晴れた日だったこともありますが、水深2~3mくらいであればフラッシュ無しでも十分明るく撮影できます(ちなみに、1枚目:ISO200、2・3枚目:ISO100)。
水中撮影モードが搭載されているため、青味の強くなりがちな水中撮影でも自然な発色で撮影できているな、と思います。(この水中モード、水族館撮影で青かぶりを解消するのにも役立ちます)
水中撮影については、OLYMPUS公式HPに水中写真家・清水淳氏のレビュー記事が掲載されています。ダイバーグローブ装着時の操作性にもこだわっている等、ダイビングやシュノーケリングでの水中撮影を強く意識したカメラ作りが感じられます。
防水性能の高さは、水中撮影以外のマリン・アクティビティでも重宝します。
例えば、シーカヤック。
例えば、釣り。
釣りをしているときなんて、手が濡れていたりしてスマホを触るのも躊躇しますよね。そんなときにもTG-5が便利です(あとでザブザブと水で洗ってしまえばいいのです)。
別売りのフローティング・ストラップを付けておけば、万が一ボートから海中に落としてもプカプカ浮いてくれるので安心です。
ついでに(これは完全に余談ですが)その防水性能と頑丈さは、野外フェスでも大活躍!急な雨が降っても、大暴れして泥だらけになっても大丈夫。そう、TG-5ならね。
こんな臨場感のある写真スマホじゃ撮れないし、かといってこんなクレイジーな現場にデジイチ持ち込むわけにもいかないですよね。まさにTG-5の本領発揮という感じがします。
(※カメラボディはけっこうゴッツいので、モッシュするときは周囲の人にぶつけないように気をつけましょうね!あと、演奏中のステージは原則、撮影禁止です!)
③ とりあえず「証拠写真」を残したいときに。
さて、話を水族館撮影に戻します。
「一眼レフのサブ機」という用途でぼくがけっこう重宝しているのが、「館内の様子や水槽の全景をとりあえず撮っておきたい」というケース。ちょっと説明が難しいのですが、例えば以下みたいな写真です。
(閉館間際、日暮れのアクアマリンふくしま。雰囲気抜群です。)
(ニフレルにて。万華鏡の中にいるみたい。)
水族館のレビュー記事を書く以上、このように館内の様子が分かる写真が必要となるので意識して撮っているわけですが、メイン機の一眼レフには生体撮影用の単焦点マクロレンズがついているのでレンズ交換が面倒。
そういうときも、TG-5の出番です(一眼レフ2台持ちすればいいじゃん、という富裕層の意見は、そっと黙殺します)。
或いは、展示解説/魚名板を撮っておきたい、という場合。
こういう写真を手早くパパッと撮ってしまいたいときにも、一眼レフ以外にTG-5を忍ばせているととても便利。
以上、デジイチやミラーレスを持っている人もそうでない人も、TG-5は買っておいて損はないですよ!というお話でした。本当に生産終了ということになれば今後の品薄が想定されますので、いまが買いどきなのかもしれません。
(もしくは、いちかばちか後継機種のリリースを待つというのも1つの手かもしれません。今のところ公式発表はありませんが……。)
【くりかえし補記】
後継機種・TG-6が出たんだってばよ!!
■もしも後継機が出るならば……(追記:いや、出たんだけど)
そんなわけで、最後に後継機種の話。現時点(2019年5月1日)で公式発表はないので、完全妄想トークですが。
TG-5の性能や仕様については色々な角度から既にレビューされつくしていると思うので、「水族館撮影」というニッチな立場からだけ、何点か後継機に期待したいこと(言い換えると、現行機TG-5でちょっと気になること)を書いてみます。もちろん、すべて「リリースされるならば」という仮定のうえで。
① マニュアルモード or SSモードの搭載を!
カメラとしての(光学的な)仕様面で、TG-5に対してぼくが唯一違和感を感じているのがこの点。
(出典:OLYMPUS 公式製品サイトより)
この背面図(④のモードダイヤル)を見ていただければ分かる通り、撮影モード(露出モード)は「AUTO」「Pモード(プログラムAE)」「Aモード(絞り優先モード)」のみ(マクロモードだとか水中撮影モードはさておき)。
つまり、シャッタースピード(SS)を調整できるモードがないのです。
これは、このカメラの想定する撮影モードを考えるとちょっと不思議な気がします。例えば水中撮影であったり、或いは生き物のマクロ撮影であったりと、ブレやすい動き回る被写体を撮ることを想定すると、「シャッタースピードをブレないギリギリまで追い込んで撮影する」っていうシーンはけっこうあるんじゃないかな、と思うのです。
(SSモードがないのでカメラ任せのマクロモード(顕微鏡モード)で撮影したところ、SS=1/8秒という値に。ちなみに絞りは開放。ほとんど動かない被写体だからいいけれど、ブレずに撮るほうが難しいシャッタースピードかなと思います……)
※あとで調べたところ、マクロモードの場合は「被写界深度優先モード」という露出モードになるようです。
【補記】
後継機種:TG-6においてもこの点は変更されていませんでした。水族館のような暗い場所でSSをできるだけ追い込んで撮るには、「A(絞り優先)モードで絞り開放にしつつ、ISOをちょっと上げて撮影」ってことになるのかな。
② ボディ色、レンズリング
現行機TG-5のボディ色はレッド or ブラック。公式サイト等にはレッドカラーのモデルが主に際されており、これがイメージカラーのようですね。
というわけでぼくもレッドモデルを購入しました。メタリックでカッコいいのですが、このボディカラーが後々、裏目に出ることに……。
そう、メタリックなボディが、ガラス面にバッチリ映り込むのです……(この写真ではボディが目立ちますが、レンズリングも金属光沢のあるシルバーなので、これまたよく反射します)。
まぁ「水槽ガラス面への反射」なんてことを気にするのはごくごく一部の変態(水族館撮影クラスタ)だけだとは思うのですが、もし後継機種が出るならばもう少しマットなボディカラーだと嬉しいです……!
【補記】
後継機種:TG-6では、メーカーロゴがメタリックシルバーからマットなブラックに変更されています。水族館撮影勢としては、これは地味に嬉しいぞ……!
以上、重箱の隅をほじるようなことを(2項目は特に)言ってしまいましたが、逆に言うとそれ以外は本当に完成されたカメラです。
実際のところ、先代のTG-4とも仕様面では「どっちもどっち」な部分も多く(画素数なんかはTG-4のほうが上。1/2.3型センサーを活かすために敢えて画素数を下げたらしいけど)、カメラとして円熟期に達したモデルだな、と感じます。
だからこそ、後継機が本当に出るのか?ちょっと疑問にも思ってしまうんですけどね。一方で、タフカメラ界のライバルであるリコーは今年2月に最新機種「WG-6」をリリースしていますので、オリンパスが新機種攻勢をかけることも期待してはいます。
もしも更に進化した後継機が出るとすれば、1インチ型センサー搭載、とかになるのかなぁ。
【しつこく補記】
だから後継機種が出てるんだってYO!!!
【重要:さらに補記】
2020年6月、なんとOLYMPUSがデジカメ事業からの撤退を発表。。。
TGシリーズを愛用してきた生き物好き界隈に衝撃が走ってます。どうなるTGシリーズ?!(どこかに事業売却されるのだろうけど、TGシリーズは存続してほしいなぁ。。。)