【水族館撮影】「シャッタースピード優先モード」で撮ってみる。

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「水族館で、魚を撮ろう。」なんていう大仰な題名のブログをうっかり立ち上げてしまったおかげで(笑)、撮影技術的なご質問をいただくことがときどきあります。

自分はプロとして写真を撮っているわけでもなく、どこかで体系的にカメラを習ったわけでもないので、誰かに撮影技法を教えるなんておこがましいこと山のごとし……。

(あ、「フォトマスター検定」受験のときだけはちょっとしっかり勉強した気がする)

先月(11月)「フォトマスター検定」という資格試験をコッソリ受けてました。 そして、昨日その結果が郵送されてまいりました!

とはいえ多少なりとも誰かの参考になることは言えるかな……、とも思うので、たまにはこういうブログも書いていこうかなと思っています。

■分かればきっと面白い「露出」の話。

一眼レフ/ミラーレスカメラを持ち始めてしばらくすると往々にしてぶち当たるのが、「ISO」とか「絞り」とか「シャッタースピード」ってなに?って話じゃないかと思います。

ほかの趣味に例えるなら、ギターでいう「Fのコードが弾けない」とか、スキーでいう「パラレルで滑れない」みたいな話かなぁ。

ま、ぼくはギターもスキーもできませんけど……。

そんなわけで少しだけ「ISO」と「絞り」と「シャッタースピード」の話。
ここが分かると「カメラ任せ」の撮影から一歩脱却できて、写真を撮るのがさらに楽しくなると思います!

■「ISO」&「絞り」&「シャッタースピード」=『露出』!

結論から申し上げますと。。

・ISO感度
・絞り
・シャッタースピード

この3つをそれぞれ調整することで『露出』(=写真の明るさ)が決まります。
(とっとと本題の「魚の撮り方」の話に逃げ込みたいので、なるべく簡潔に説明します)

カメラの背面モニターとかにこんな数字が表示されてて、「これ一体なに??」って思った人も多いはず……。

・「ISO感度」ってなに?
・「絞り」ってなに?
・「シャッタースピード」ってなに?

という話を、めっちゃざっくり図で表すとだいたいこんな感じです。

【蛇足な補足】

・ISO感度
元々はフィルムの感度の規格。
数字を大きくする(ISO6400とか)ほど明るく撮れるけど、ノイズが乗って画質がザラザラになる。

・絞り
レンズの「絞り」の絞りぐあい。
数字を大きくする(F22とか)ほど「絞った」状態。
その逆で数字が小さいほど「絞りを開けた」状態。
F値を小さくする(絞りを開ける)ほど、明るく撮れる&背後がボケる。
F値を大きくする(絞りを絞る)ほど、ピントの合う奥行き(被写界深度)が広がる。

・シャッタースピード
シャッターが閉じる速度。単位は「秒」。
スローにする(1/10秒とか)にするほど明るく撮れるけど、ブレる。
高速シャッター(1/1000秒とか)にすると、動く物体をブレずに撮れる。

■「Sモード(Tvモード)」で、『カメラまかせ』から脱却!

というわけで、改めて。

この3つの要素をアレコレ自分でいじれるのが、一眼レフ/ミラーレスカメラの醍醐味だったりするわけです。
もちろんお手軽に「オートモード」でも最初のころは楽しいんだけど、どうしてもカメラ任せの無難な写真になるので、だんだん飽きてきちゃうんですよね。(特に最近は、スマホでもかなり綺麗な写真が撮れますし)

一方でまだ慣れないうちに、「ISO、絞り、SS」という3つのコトを同時にガチャガチャいじるのはなかなか難儀です。特に水族館というシビアな撮影環境では。

そこで水族館撮影でオススメするのが

「シャッタースピード優先モード」で撮ってみる

ということ!

■まずはカメラの設定方法。

慣れてしまえば、操作は意外と簡単(だと思ってもらえると嬉しいです……!)

1) カメラの上にあるダイヤルを「S」モードに合わせます

※NIKON、SONY、OLYMPUS、Panasonicは「S」モード、
CANON、PENTAXは「Tv」モードって呼びます。どっちかに揃えてくれ。。。

2)「ISO感度」を ISO:800 または ISO:1600 くらいに設定します

※先ほど少し書いた通り、ISOの数字は大きくするほど明るく撮れますが、その代償としてノイズが増えて画質が悪くなります。最近の機種ならISO:1600~3200くらいまでは許容範囲かと。

※「ISO自動制御」に設定するという手もありますが、水族館は基本的に暗いので、オートにすると結局は自動的に「許容幅の中での一番大きいISO感度」になりがちです。

3)フォーカスポイントを「シングルポイント」に設定します

(↑ライブビュー撮影で背面モニターに表示)

「被写体のどこにピントを合わせるか」の照準がファインダー内に表示されるのですが、これを「シングル」にしておきます。(デフォルトだと「オート」に設定されていて、カメラが勝手に適当なところにピントを合わせてしまうため)

ちなみに基本的には、魚を含めて生き物の場合は「目」にピントが合っていると綺麗に見えます。(撮影者の意図次第ですが)

■シャッタースピード(SS)をいじりながら撮ってみる!

さて、いよいよ撮影!
SS値を……うーんそうだなぁ、とりあえず1/100秒くらいに設定してみましょうか。
(※どんなSS値を基準とするかは人それぞれ好みがあると思います。「下限は1/200秒くらい」っていう人もいます)

背面モニターで見るとこんな感じ。(自分はファインダーの中で見る派ですが)

F値(絞り)はカメラ側で自動で設定されます。
水族館は暗い環境が多いので、たぶん付けてるレンズの最小F値とかになるはず。上の写真でいえば、開放F値のF1.8に設定されています。
(カメラの機種によっては、F値の数字が点滅したり「暗すぎます」というアラームが出たりするかもしれません)

とりあえず、この設定で1枚撮ってみます。

うーん……ちょっと暗いかな。。

SS値を、1/100秒から1/50秒くらいに変えてもう一度撮ってみます。

こんなもんで、だいたい適正露出でしょうか!

■ちょっとおさらい。

この一連の操作を、さっきの『露出設定』の三角形でおさらいしてみましょう。

ステップ①:ISO感度をISO:800に固定する
ステップ②:SS値を、1/100秒に手動設定する
ステップ③:SS設定と連動して、F値は自動的に決まる

これで撮ったのが1枚目。

水族館の水槽ってやっぱり暗いので、三角形が小さくなり、暗い写真(露出アンダー)に写りました。
そんな暗い環境のなか、カメラ的には精いっぱい三角形の面積を広げようとF値をめいっぱい外に張っている(=絞り開放)のが分かるかなー、と思います。

そして、暗すぎたのでSS値を1/100から1/50へ上げてみたのが、2枚目。

三角形の面積が大きくなって、露出が改善されました。

▼ ポイント:
「Sモード」(Tvモード)で撮ってみて
暗ければシャッタースピードを遅くしてみる!

※今回は「1/100秒」と「1/50秒」で撮ってみましたが、撮影環境(明るさ)や被写体の動き、撮影する方の好みなどなどでSSをどう設定するかは変わります。
この「SS値を状況に合わせて細かく調整できる」というのが、「シャッタースピード優先モード」の醍醐味なのです。

(たとえばサンゴ水槽や太陽光が入る水槽など、十分に光量がある場合には、思い切ってSS値を上げてみてもいいと思う)

■SSを落とすとブレる場合:ISOを上げてみる。

前章で「とりあえずISO固定、SS:1/100秒くらいで撮ってみて、暗ければSS値を遅くする」という方法を説明しました。

けれど、SS値をとにかく遅くすればいい、というわけでもありません。
スローシャッターにすればするほど、動き回る被写体がブレてしまうからです。
(同時に、手ブレも発生しやすくなります)

(素早く泳ぎ回るホンソメワケベラ。さすがに1/20秒のスローシャッターは厳しかったか……)

水族館での生物撮影が難しいのって、まさにここなんですよねぇ。
「暗い」のに「動く」ので、明るく撮りたくてもSS値を極端に落とすことができないという……。

このジレンマに特に陥りやすいのが、以下2つの場合です。

・とても暗い水槽(深海水槽など)
・素早く泳ぎ回る被写体

こういう場合で「露出アンダーだけど、これ以上はSS値を落とせないな……」という場合は、ISO感度を上げてみましょう。たとえばISO:800で撮っていたらISO:1600や3200に。
(ただしISOを上げすぎるとノイズが増えるので要注意!)

▼ ポイント:
「これ以上はスローシャッターにできない!」
という場合は、ISO感度を上げてみる!

ちなみに「手ブレをしないギリギリのシャッタースピード」の目安としては、「1/(レンズの焦点距離)」秒だと言われることがあります。つまり50mmのレンズを使っていればSS:1/50秒、100mmのレンズを使っていればSS:1/200秒ということ。
もちろん、これは撮影者の撮影技術や筋力(!)、カメラの手ブレ補正機能なんかによっても変わりますけど。一つの目安にはなるかなー、と思います。

逆に被写体がほとんど動かない魚で、水槽前の柱などでカメラをある程度固定できる環境であれば、1秒近いスローシャッターでもブレなく撮れることもあったりします。

姑息なようですが「なるべく動かない、撮りやすい被写体を選ぶ」という割り切りも大事だなー、と思います。

■なぜ「絞り優先」モードを使わないのか?

ところで大抵の一眼レフ/ミラーレスカメラには、「シャッタースピード優先モード」(Sモード または Tvモード)のほかに「絞り優先モード」(Aモード または Avモード」というものがあります。

カメラの入門書なんかを読むと、「とりあえず絞り優先モード(Aモード、Avモード)で撮ってみよう!」と書かれていることがけっこう多いです。

これは「カメラの楽しさを知る」ためにはめっちゃ大正解なんですが、「水族館で魚を撮る」場合には絞り優先モードではなくシャッタースピード優先モードを覚えるのが近道かなー、と思ってます。

理由としては
① 動体を撮るのでSSをコントロールできた方がいい
② 水族館は暗いので、どうせ絞り:開放付近になる
③ 魚は平たいので、絞り開放でも割と綺麗に写る

の3点かな。詳しく説明しはじめると長くなるので端折りますが。

※「まずは絞り優先モードで撮ってみよう!」のココロは「背景がふんわりボケると楽しいでしょ!」ということなのだと思います。これはホント、その通りです。
(特に日本人は写真のボケ表現を好む、という話もどこかで聞いたことがあります)

そして「水族館で魚を撮る」場合、暗くてどうしても絞り開放気味になりがちので、「絞り優先モード」ではなく「シャッタースピード優先モード」でも、必然的に背景はボケます

このへんが更に気になるようになったら、もう一歩踏み込んでマニュアル露出(SSもF値も自分で決める)を使いこなせるようになると楽しいです。
特に「魚の正面顔」だったり、奥行きのある生物(フグとか、イカとか、クラゲとか)を立体感を出して撮りたいときなんかはF値も操れるといいなー、と思います。

(あー……伝わるかなぁ……できれば伝わって欲しいなぁ……この絵。)

(※上から見た絵です)

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