【水族館探訪記】2019.10.12_浅虫水族館~めちゃかっこいいヤマメ『スギノコ』の話ほか

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ヤマメが好きだ。
日本産淡水魚の中で好きな魚は?と聞かれたら、ちょっと迷うけれどたぶん「ヤマメ」と答えると思う。繊細でどこか女性的な美しさ、婚姻色の妖艶さ、それでいて肉食魚らしい荒々しさもあり、しかも食べても美味しい。

養殖が盛んなこともあって比較的あちこちの水族館で見かける魚だけれど、それだけに体形の整った美しいヤマメが展示されていると嬉しくなる。

■めちゃ美しい浅虫のヤマメ、「スギノコ」

先日訪問した浅虫水族館。

台風19号襲来の中、本州最北端・浅虫水族館へ!5時間以上も滞在していれば書きたいネタはいくらでもあるのですが、今回はまず大水槽の話から。
浅虫水族館2階の熱帯魚コーナー。オーソドックスながら、しっかりと飼い込まれた「普通種」たちの姿に惚れ惚れしました!尊い!!

実はここには、全国的にも珍しいヤマメの地域個体群「スギノコ」が展示されている。この「スギノコ」の生態学的な面白さはあとでネタばらしするとして、まずはその美しい姿を。

こちらがその「スギノコ」。
ほんのり黄色く染まって、先端までピンッと張りのある鰭。均整の取れた流線型の体形。

特に顔つきの精悍さがたまらない。鼻先が丸まらずツンと尖った口先がかっこよい。これがヤマメの本当の顔なんだな。

引きで撮るとこんな感じ。多少、尾びれの両端が白くスレている個体もいるけれど、それでもヒレ先までみなぎる生命感を感じる。

この「スギノコ」と呼ばれるヤマメたち、実は青森県のごく一部(下北半島の北の端)にしか生息しない地域個体群。特徴的なのは見た目というよりはその棲み場所で、上の解説板の通り、通常はイワナより下流に生息する筈のヤマメがこの河川ではイワナより上流域に生息しているのだとか。
残念ながらそれが何故なのかということまでは言及されていないけれど、種苗放流が盛んに行われていて流域ごとの遺伝的多様性が攪乱されてしまっているヤマメ。(イワナやアマゴなど、ほかのサケ科魚類でも同様ですが)
そんなヤマメ界において、地域個体群がきちんと保護されているのは珍しいのかもしれない。いわば、ヤマメ界のサラブレッドというところだろうか。

冒頭の写真のように均整のとれた体形の個体が多いのも、養殖ではなく本来の生息域で野生のままに育ったゆえなのだろうな、と思った。

■一方こちらは「普通のヤマメ」(たぶん養殖?)。

浅虫水族館では、別な水槽でもヤマメが展示されている。

それがこちら、河川を模して上流~中流~下流域を再現した(よくある感じの)水槽。

こちらに展示されているヤマメたち。
これだって痩せることなく健康的に育った個体たちだけれど、先ほどの「スギノコ」と見比べると体形が違うなぁ、ということに気付く。特にヒレの先を見ると、ピンと尖るのではなく丸まってしまっている。鼻先もどこか丸っこい。野生下と比べると過密気味に飼育されることの多い養殖個体には、こういう体形の個体がまま見られる。(管理釣り堀で釣ったニジマスとか、往々にして胸鰭が欠損していたりしますよね。たぶん仲間同士で噛みあってしまうんだと思う。)

とはいえこちらの「普通のヤマメ」たちだって水槽の中で立派に暮らしていて、なんと水槽内での産卵に成功したのだとか!!ものすごく広い水槽という訳ではないけれど、それでも水槽内にきちんと産卵床となる環境を整えてあげれば、こういう行動を見せてくれるんですね!

■養殖個体だってかっこよい!本州最北端の水族館で見るイトウ。

ヤマメの横に展示されているのは、地元・青森県内で養殖されているイトウ。

「川トロ」……食べてみたい……。
本州から絶滅させてしまったのはかなり悲しい過去の負の歴史だけれど、今は今で(養殖とはいえ)地元産の魚を展示するの、好きだなぁ。この間ブログに書いた大水槽の件といい、つくづく地元色の強い水族館だなぁと思います。

台風19号襲来の中、本州最北端・浅虫水族館へ!5時間以上も滞在していれば書きたいネタはいくらでもあるのですが、今回はまず大水槽の話から。

今年は北海道の水族館によく行っていたのでイトウはあちこちで見たけれど、やっぱカッコいい魚ですね!(こういう風に、中層で定位している姿が好き。なんだか潜水艦みたい)

こちらは、実に美しいイトウの黄変個体。黄金色に輝いてる!!神々しい!!

■まだまだいる!「浅虫ならでは」の展示魚たち。

冒頭の「スギノコ」が展示されていたのは、館内1階のこのコーナー。

「青森県の希少な淡水生物たち」。
パッと見は地味で、やたら字の多い解説板があって素通りされがちなコーナーなんだけど、こういう展示が面白いんですよね~~。

「世界一酸に強い」宇曽利山湖のウグイ。
かの霊場・恐山にある火山湖なんだそうです。pH3.4~3.8ってのは、ポン酢とかウスターソースと同じくらいの強酸性らしい……。

こちらがそのウグイ。まぁ普通のウグイです(写真だとちょっと吻づまりな体形に見えるけど)。ウグイってやたら酸性度の強い川とか湖にもいるんですけど、この宇曽利山湖の個体群はエラの塩類細胞の形状と数が普通のウグイとは違って、強酸性の湖に適応しているのだとか。

こちらは十和田湖に移入されたヒメマスの展示。ワカサギとエサで競合して数が激減……壮絶な話だ(たぶんどっちも人為的に放流されたんでしょうね)。生態系のバランスって難しい。

今年の夏に北海道・支笏湖で食べたヒメマスがめちゃくちゃ美味しかったので、この綺麗な魚体を見ても「美味しそう」という感想しかない……。

スポンサーリンク
写真素材のピクスタ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Copyrighted Image