5月某日。
わが地元・仙台うみの杜水族館が約1か月の「コロナ休館」を解除し営業再開した。
営業再開初日はどれくらい混むのか読めないし、マスコミの取材なんかも多そうだし……。
そう思い、初日を避けてその数日後に念願の「コロナ後・うみの杜初訪問」となった。
(当日は朝から雨。混んでいたら帰ろうと思ったけど、朝9時の開館時間には特に入場列もなく、Social Distanceを保って見学することができた)
■コロナ休館後の水族館の様子
展示生物たちの様子もさることながら、それと同じくらい気になっていたのが「水族館はどのようなコロナ対策をしているのだろうか」ということ。
緊急事態宣言まっただ中の今年のGWは、自宅に籠もってそんなことばかり考えていたからね。「また水族館に行ける日はいつ来るのだろうか」と心配で仕方なくて憂鬱な日々だった。
うみの杜水族館の公式YouTubeでも館内の感染防止対策について案内されていた。わかりやすい動画で、事前に予習ができるのはよいですね。
果たして当日。
入場口。
混雑した場合には2m間隔で整列するよう、玄関前にテープが貼られている。
入場時には、サーモグラフィカメラで体温測定を実施。
そしてスタッフの方がカウンターで入場人数をカウントしているようだった。
入場口のほか、館内随所に手指消毒用のアルコール消毒液が。
ぼくはカメラ操作の都合上どうしてもほかの人と比べ指先であちこちに触れる機会が多くなるので、アルコールのボトルを見つけるたびに手指を消毒しておいた。
ショースタジアムでの注意事項。
平日の午前中ということもあり、この日の密度はこんなもの。(その後の話では、やはり休日になるとそれなりに混みあうらしい)
間隔をあけて着席するよう、座席は1列ごとにロープが張られている。トレーナーや動物との距離も確保するためか、前方3列は立ち入り禁止。
イルカショーをあまり熱心に見るタイプではないのだけれど、この日はせっかくなので前列の席を確保してショープログラムを最初から最後まで堪能した。
ハリスホーク(タカ)とハンドウイルカのジャンプがシンクロするショー。かっこよい。
体験型・ふれあい型の展示は軒並み中止。
こういう展示が充実しているうみの杜水族館だけど、今は仕方ない。
大水槽2階の観覧スペース。
こちらも、間隔をあけて座るよう案内書きが貼られていた。
フードコート。
対面での着席にならないよう各テーブルとも片側だけ椅子が取り払われ、立食型のテーブルは使用禁止。レストランスタッフの方が小まめにテーブルを消毒して回っていたのが印象的だった。(館内もスタッフの方が巡回し、手すりやドアノブや水槽面を小まめに拭き掃除されていた)
グッズショップ。
店内には順路が作られ、買い物カゴの数で店内の人数をコントロール。
ガチャマシーンやプリクラ機、記念撮影用のモニターも使用中止。
※水族館側もこんな風にいろいろな対策を打ってくれていますけれど、それでも土日の昼間なんかは混みあってしまうという話もあり、「なるべく混んでいる時間帯は避ける」とか「遠方からの訪問は避ける」とか、自己判断と自己責任で楽しみたいですね。
■展示生物たちとの再会、そして休館中に作られた新展示。
4月の中旬(まだ宮城県に緊急事態宣言が発令される前)にも訪問していたので、ぼくにとっては約1か月ぶりの仙台うみの杜水族館。
首都圏や近畿圏、北海道などの地域では3か月以上も臨時休館が続いた水族館がいくつもあり(葛西臨海水族園など、未だに「期限未定で休館中」という水族館もいくつかある)、そういった地域と比べれば「約1か月」というのはかなり短いほうだと思う。
それでも、生き物たちとの久々の再会は嬉しかった。胸にこみあげてくるものがあった。
仙台うみの杜水族館が世界に誇るヨシキリザメ!飼育記録更新中!
最近少し挙動(泳ぎ方)がおかしいことがあったのだけれど、元気な姿と再会することができた。これからも1日でも長く飼育記録を伸ばして、貴重な飼育データを蓄積してほしい。
日本で2か所の水族館でしか展示されていないイロワケイルカ。
セーラ(29歳、雌)は国内最高齢を更新中。1頭だけになってしまったけれど、これからもできる限り長生きしてほしい。
▼ 一方、この休館期間中に寿命を閉じてしまった生き物も。
「マリンピア松島」時代から飼育されていたメガネカイマン(ワニ)。
推定年齢:30歳。長きにわたって愛されていたのだなぁと、献花台に並ぶ花束やメッセージボードを見て改めて気付かされる。
▼ 季節と時間の移ろいを感じさせる生き物たち
繁殖期を迎え、見事な婚姻色のウグイたち。毎年この姿を見ると、春の訪れを実感する。
一方、マハゼは次の世代へと命を繋ぎ、間もなく短い一生を終える季節(水槽内では繁殖してないけど)。初夏になれば、また元気いっぱいのデキハゼたちの姿を見られるだろう。
アフリカコーナーにいるテトラオドン・リネアートゥス(ファハカ)。
全長50cmにもなる大型の淡水フグだけど、まだまだ可愛いベビーサイズ。とはいえ、「泳ぐ豆つぶ」みたいだったころと比べるとずいぶん大きくなったなぁ。
海藻の海の水槽。
1枚目:臨時休館前(4月中旬)、2枚目:臨時休館明け(5月中旬)。
自然界でも、三陸の海では春~初夏にコンブ類が一気に成長する。それをよく再現した水槽だと思う。
▼ 休館期間中にやってきた生き物たち
これほど長期にわたる臨時休館というのはなかなかないもので、その期間を利用して一部の展示はリニューアルされたり、展示生物が増えたりしていた。
タカアシガニは展示個体数が増え、迫力ある水槽に。水温の下がる冬~春は深海生物の採集に適しているので、休館中に追加されたのだろうか。
こちらはマハゼと同じ水槽にいた、クロウシノシタと思われるシタビラメ。
うみの杜水族館では初展示と思われ、常連の方々の間でも話題になっていた。「海の牛タン」、定着するといいなぁ。(ウシノシタだけに)
水槽の中身がガラッと変わっていた水槽が1つ。
もとはエゾイソアイナメ(ドンコ)が大量に入っていた水槽がリニューアルし、近海の海水魚が何種類も入った水槽に様変わりしていた。
その中でも派手な色合いで存在感があるのが、このウミヒゴイ。これまた、おそらくうみの杜水族館では初展示かと。
▼ もしかして警戒心がなくなった???生き物たち
StayHome期間中、(特に首都圏の)いくつかの水族館で話題になっていたのが「お客さんが来ないので魚たちの行動が変わりました」という話。
うみの杜水族館でも、休館前には岩陰に隠れがちだった魚たちがちらほら。
シモフリタナバタウオ。
本当にいつも岩陰に隠れている魚で、ここまできれいに全身を撮らせてくれたのは今回が初めて。撮影できたとき、感動して軽くガッツポーズした。
こちらも隠れがちな、イロブダイの幼魚。
チンアナゴと同じ水槽で、いつも岩の下を定位置にしているモヨウタケウツボ。
この日は全身を住処から出して水槽内を泳ぎ回っていた。純白のリボンのような美しいウツボ。
■「おらが町」に水族館がある幸せ。
わが最寄りの「仙台うみの杜水族館」。
とはいえ、今までも1か月以上うみの杜水族館に足が遠ざかるということは何回もあった(ごめんなさい)。
今回あらためて痛感したのは「水族館に1か月行かない」のと「水族館に1か月行けない」のとは大きな違いがあるのだなぁということ。
さっきも書いた通り、首都圏その他の地域から見れば「たった1か月」なのだけれど、それでもこんなにも営業再開が待ち遠しいとは思わなかった。
新型コロナウイルスの特徴を考えると、これから先もしばらくは遠方への水族館遠征はできない可能性が高い。
そんなときに「おらが町」にも水族館があるということが本当に嬉しくありがたく思ったのでした。(ほんの5年前までは、仙台市は日本国内では珍しい「水族館のない大都市」だったのだから……。)
【関連記事】