【小笠原旅行記】小笠原水産センター~海辺の素朴な水族館~【水族館レポート】

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前回の「小笠原海洋センター」に続き、今回は「小笠原水産センター」をご紹介!

小笠原・父島にある2カ所の水族館的施設。まずは「小笠原海洋センター」からご紹介しましょう!館内とにかくカメ、カメ、カメ!!(ときどきクジラ。)

「海洋センター」と「水産センター」、なんだか紛らわしい名前で、実際に両者を取り違えて紹介されているのも時々見かけます。実際には、「海洋」と「水産」ってけっこう違う意味の言葉なんですけどねぇ……。(かくいうぼくは、「水産海洋科学科」というなんだかとりあえず海っぽい学部のOBです 笑)

小笠原水産センターに行くには。

<アクセス>
・東京/竹芝桟橋から「おがさわら丸」で父島/二見港まで約24時間。
・父島/二見港から徒歩5分。

こちらは、父島の中心街である大村地区から徒歩圏内。二見港のメインストリートをぶらぶら歩いていると着いてしまう距離にあります。

前回紹介の「小笠原海洋センター」はNGO法人によって運営されている施設ですが、一方こちらの「小笠原水産センター」は東京都の施設。施設内では小笠原で採れる魚貝類の種苗生産技術の研究や漁業資源調査を行っており、それに漁業用無線の交信施設も併設されていて、いわゆる水産試験場的な施設です。

センター内マップ。

正確には、この水産センター内の「飼育観察棟」が通称”小さな水族館”と呼ばれています。小笠原諸島で唯一(たぶん)「水族館」を名乗っている施設です。

「おがさわら丸」の発着する二見港や多くの宿泊施設・店舗が集まる大村地区に隣接していますので、おが丸を下船した日や乗船する前にちょっと立ち寄るにもちょうどいい立地です。

小笠原旅行・第2日目。まずはカメセンター&水族館へ、その後は魚だらけの居酒屋へ。昼も夜も、小笠原の魚を大満喫しました!

■館内に入る前に、屋外展示が楽しい!

センター内の駐輪場にレンタサイクルを止め(駐車場もあります)、さっそく施設内へ。センターに入るのには、特に受付も入場手続きもありません。いかにも島時間という感じの自由すぎる雰囲気。
一直線に「小さな水族館」を目指したいところですが、その前に敷地内にいろいろな屋外展示があり、まずはそれらに足を引き留められます。

入場してすぐ、まず目にとまったのが水産センター名物「アカバの歯みがき」!
これについては、別記事で後日詳しく書かせていただきます。

他にも敷地内には、写真のような屋外水槽(プール)がいくつか。これはサメ・エイの泳ぐ水槽。奥にある日除けのかかったプールには、大量のイセエビが飼育されていました。

こちらは屋外水槽を泳いでいた立派なサイズのアオリイカ。綺麗!

センター内にはこんな記念碑も。現在は「小笠原海洋センター」へ移管され継続しているアオウミガメの人工孵化・放流事業ですが、元々はこちら小笠原水産センターで始まった事業とのことです。

■こじんまりと素朴な館内!

屋外展示を楽しんだ後は、いよいよ「小さな水族館」へ!

入り口ではユウゼンをイチオシされました!「小笠原といえば」みたいな魚で、まぁまぁベタではありますけど。

ローカルな水族館でこういう手描きのボードを見ると、なんだか嬉しくなりますね。

あくまで本業は「水産センター」だということもあってか、入場料は無料。前回紹介の小笠原海洋センターといい、つくづく水族館を巡るだけならばお金のかからない土地です(まぁ、往復の船賃と宿泊費はかかりますが……)。
来館者数のカウントだけ行っています。それも「筒の中にサンゴのかけらを入れる」というアナログな測定方法!素朴すぎる!!!(センターのスタッフの方々の本職は水産資源の調査・研究ですので、基本的に受付担当のスタッフはいないようです)

館内入ると、まずはこんな感じ。ガラス製のショーケースに入った標本類とパネル展示が並んでいます。展示されているのは甲殻類や貝類の標本が多いですが、中には深海まで沈めて圧縮されたカップ麺のプラ容器や「H2A14号ロケットの破片」なんていう珍品も!
パネル展示の方は、種苗生産の研究を行っている施設らしく水産重要魚種の初期生活史や種苗放流の研究結果、といったものが多いです。けっこう年季の入った展示物もあって、なんだか古びた資料館、といった雰囲気。

ニューカレドニア水族館に行った時も思ったのですが、目の前に魚たっぷりの綺麗な海が広がっていると「なんで自然の海じゃなくわざわざ水族館で遊んでるんだろう」とふと我ながら疑問を感じることもあります。
でも、海の近くだからこそ、地元の人も観光客も魚と身近にふれあう土地だからこそ、さっき海で見たばかりの魚のことを水族館でより深く知ることができる、というのは素晴らしい相乗効果なんじゃないかなぁ、と思うのですね。「魚を見たり、釣ったり、食べたり」というのがアタリマエの生活を数日間過ごしていると、都会で過ごしているときよりも素直に、魚たちのことをもっと知ってみよう、という気分になれる気がします。

海辺の水族館、個人的には、全然「あり」です。あり寄りのありです。

ニューカレドニア・ラグーン水族館レポート、その②。マングローブの海中林、現地感たっぷりで素晴らしい!あと、海外の水族館で「学名」のありがたみを痛感します(笑)

奥の展示水槽コーナーはこんな感じ。汽車窓型の水槽が計10槽ほどでしょうか。館内(通路側)も水槽内も割と暗くて、撮影するのにはちょっと苦労するシチュエーションでした。(亜熱帯の陽ざしが燦々と降り注ぐ野外でばかり遊んでいたので、そのギャップもあって余計に暗く感じました)

こちらは地元の熱帯魚がたくさん泳ぐ大水槽。魚種的にはかなり興味をそそられるラインナップなのですが、いかんせんこちらも照明が暗い……。後で聞いた話ですが、どうやら外光を取り入れた造りになっているそうで、明るい水槽内を満喫したければ晴れた日中に行くとよさそうです。(撮影当日は曇りで、しかも夕方。少しでも明るくて暖かい日中に野外遊びを優先した結果なのですが……)

ところで館内ではBGM(ぼくが行った時は、島の郷土音楽的なの)が流れていて、ふと見るとこんな音響コーナーが。山積みになったCDは、小笠原らしい島音楽やハワイアンミュージックからボブ・マーリー、エルトン・ジョン、サイモン&ガーファンクル、そして何故かいちばん下にはSHOW-YA。

幅広すぎるレパートリーとともに、それらのCDが観賞魚用の人工飼料と一緒に置かれているというのが、なんともカオス。とはいえこういう飾らないところも、悪い感じはしません。

■目を惹いた魚たち!

さて、ここからは館内で撮影した魚たちを何種類かご紹介。

まずは、エントランスの案内板でも「スタッフいちおし!」と紹介されていた、ユウゼン(Chaetodon daedalma)。

……こんなピンボケ写真で、大変申し訳ないです。大水槽にも泳いでいたのですが暗すぎて上手く撮れず、別の個体が60cm水槽に単独飼育されているのを発見して撮影。

伊豆諸島・小笠原諸島を代表する魚ともいえるユウゼン。ここ小笠原水産センターでは種苗生産に取り組んでいるそうです。観賞魚としても人気の高いユウゼン。とても美しい魚ですし、早くCB個体が流通してくれたらなぁ、と思います。

マダラハタ(Epinephelus polyphekadion)。
小笠原では重要食用魚となっているハタの仲間。いちばんたくさん飼われているのは種苗放流も行っているアカハタですが、ほかにもこのマダラハタやツチホゼリなどなど、何種類かが飼育されています。んー、ハタの仲間の顔、凛々しくて好きなんだよなぁ。

リュウキュウヤライイシモチ(Cheilodipterus macrodon)。15cmくらいある立派な個体。牙のような犬歯がなんともカッコいいです。

こちらは、アジ科魚類を中心に回遊性の魚が泳ぐ円柱水槽。これまた種苗生産の対象になっているシマアジや、釣りの対象になっているロウニンアジの若魚と混じって、ほかではあまりお目にかかれない魚が……。

それが、こちらの「カッポレ」(Caranx lugubris)。ほかの大型アジ類と比べて寸詰まりでデコッパチで、いかにもパワーのありそうな体形。事実「引きが強く釣り人がかっぽれ(江戸時代~明治時代にお座敷遊びで流行した踊り)を踊っているように見えるから」というのが名前の由来だそうです。

ミストラルさんも過去に書かれていましたけど、水族館では何故かなかなか見かけない魚のひとつです。ギンガメアジ、ロウニンアジ、カスミアジあたりはよく見かけるのになぁ。

ほかの大型アジたちと一緒にグルグルと水槽内を俊敏に泳ぎ続けていますが、ターンの瞬間、こんな愛嬌のある正面顔を見せてくれました。

カッポレたちとは別の水槽で飼育されていた、まだ小さい(10cmくらい?)アジの仲間の幼魚。「何になるかはお楽しみ!」とのことで、成長後の姿が気になるのですが……確かめるのは、また片道24時間の船旅をしなくちゃならないのがとても残念……!

こちらは、屋外プールで飼育されていたガラパゴスザメ(Carcharhinus galapagensis)。これまたミストラルさんのブログ記事に書かれていましたが、こちらも水族館で見かける機会は少ない魚です。背鰭をずっと水面から出して、悠々と泳いでいました。水面の反射が激しくて、魚体をあまり鮮明に撮影できなかったのが残念。PLフィルター持って行けばよかったなぁ。。。

■忘れちゃいけない淡水魚!

さて、ついつい海の魚たちばかりに注目してしまいがちですが、「海洋島」小笠原諸島の生態系を考えると、決してスルーしてはいけないのが淡水の生き物たち。

海は繋がっていますから実は決して小笠原固有の魚というのは多くないのですが、海により他の陸地と隔絶された淡水域には、ここ小笠原で独自の進化を遂げた固有種たちがけっこういるのです。(より正確に言うと、ほとんどの純淡水魚は海を越えることができないので、生活史の一部で海に降りるハゼの仲間やエビの仲間だけが島の淡水域に入り込み、固有種となる例が多いようです)
一方で、種の多様性は決して高くない(限られた種類しか入り込めない)ため、外来種の侵入に対してとても脆弱だったりもします。

参考文献:「小笠原諸島に学ぶ進化論」(著:清水善和、発行:技術評論社)

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こちらが館内の淡水生物コーナー。左はオガサワラヨシノボリ、右はエビの仲間が泳ぐ水槽。見きれてるけど、その右にはオオウナギ。ただし展示されている在来淡水魚はほぼこれが全てで、それ以外の水槽ではグッピーやティラピアといった父島に多い外来種が飼育されていた。

オガサワラヨシノボリ(Rhinogobius ogasawaraensis)。存在はずいぶん昔から知られていたはずですが、実は正式に新種記載されたのは2011年と、意外と最近。(ヨシノボリ類の分類って、かなりややこしいですからね……)

■お土産?!も、お忘れなきように??

さてさて、そんなことで、無料の水族館としてはかなり満足度の高い小笠原水産センター。せっかく楽しませてもらったのですから、せめてお土産くらい買って多少なりとも貢献を……と思うのですが、ここ水産センターではめぼしいお土産は販売されていません。(Tシャツやトートバッグなど、グッズの充実している小笠原海洋センターとは対照的です)

でも諦めないで!とっておきのお土産を発見しました!!

それがこちら、「イセエビの脱皮殻」。
なんと「ご自由にお持ちください」とのことです。最初これは「自由に持って触っていい」という意味かと思いましたが、だとすると赤字で書かれた「数量限定」の意味が通じません。これは「自由に持って帰っていい」という意味なのだろうか……。だけど勝手に持って帰って実は「持って触っていい」だけの意味だったら、イセエビ(の殻)泥棒になっちゃうしなぁ。殻だけ盗んでイセエビ泥棒になるなんて、嫌だなぁ……。

そんな感じで悩んでいたら、ちょうどよくスタッフの女性の方が館内巡回に出てこられたので意を決して「これって頂いていいんですか??」と聞いてみることに。

すると、満面の笑顔で「どうぞどうぞ!好きなだけ!もういくらでも!」との有難いお言葉。いや、ていうか「数量限定!」の意味は??!

そう思ってよく聞くと、実はセンター内にイセエビの飼育水槽があり、そこで大量のイセエビが飼育されているのだとか。イセエビ漁で獲れたうち、一定サイズ以下の小さなイセエビは出荷せずに水産センターで回収し、一定期間飼育した後でまた海に放しているのだそうです。ものすごい数のイセエビがいて毎日必ず何匹かが脱皮をするので、脱皮殻はほぼ無限に供給され続けるようです。すげぇ……。

「処分に困っちゃうんで、もう好きなだけ持って行っていただければ!むしろ助かります!」
明るく日焼けした屈託のない笑顔でそこまで言われると……じゃあ……という訳で、2匹分の脱皮殻をいただいて帰ってまいりました!

※乾燥してパリッパリなので、うっかり粉砕するとすぐ「ただのキチン質の粉末」になっちゃいます。なので、小笠原滞在の最終日、おが丸に乗り込む直前に改めて頂きにあがりました。しかも、島に住む知り合いにわざわざクルマを出してもらうという念の入れっぷり(笑)。
なお、持ち帰るための箱だとか梱包材は特に用意されていませんので、自前で工夫する必要があります。ぼくは集落の商店でちょうどいいサイズの段ボール箱を譲ってもらい、古新聞紙を緩衝材にして持ち帰りました(島にはホームセンターも100円ショップもありません)。さらに、竹芝桟橋から自宅までもタクシーを使う羽目に……。

水産センターでイセエビの脱皮殻がもらえるというのは意外と知られていないらしく、クルマを出してくれた島に長いこと住む知人も驚いていました。

さて、苦労して持ち帰りましたイセエビの脱皮殻、とりあえず水に浸して関節を柔らかくし、形を整えて再乾燥、さらに上から透明のラッカーを噴射しまして、このとおりツヤッツヤのカッコいいお姿になり……(こんなもん、どこに飾るんだよ?!)という家族からの無言のツッコミを受け、今日も段ボールの中で眠っております……。

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