かれこれ1年以上前の旅の話にはなりますが。
ふと、下関・山陰あたりを巡りたくて西へ。
仙台からあのあたりへ飛ぶには、仙台空港→福岡空港まで飛んでから陸路でちょっと戻るのが楽ですね。
そんな旅の途中で寄った「北九州市立 水環境館」がとてもよかったよ、というお話です。
▪️「水環境館」ってどんな施設?
前々から「北九州の水環境館、とてもいいよ!」という話は水族館仲間からも聞いていて、ぜひ一度行ってみたい施設でもありました。
施設概要とかの詳しい情報は公式HPを見ていただくとして。
紫川を眺めながら水について、川について、街について考えてみようよ!遊んで学べる地下空間「水環境館」
実際に行ってみて分かったのは、予想以上に街なかにあるということ!
ルート検索したらJR「西小倉」駅からの徒歩ルートを案内されましたが、実際には新幹線も停まる「小倉」駅から問題なく徒歩圏内。むしろ小倉駅からの方が、途中までは駅前のアーケードを歩いて行けるので雨にもあまり濡れませんでした。

小倉駅から駅前商店街、魚町銀天街のアーケードを歩き、デパート「井筒屋」を過ぎるとすぐ!
あまりにも街並みに溶け込んでいて、水族館(科学館?)だと気づかないくらい。

橋の手前にある階段を降りると入り口(南側出入り口)のようです。なんだかちょっと、街なかに隠されたダンジョンみたい。
そして「入館無料」の文字が!
そう、ここ水環境館は日本全国にいくつかある「入場無料の水族館」の1つなのです!
▪️冒頭からメインディッシュ?!河川観察窓がすごい!
「南側出入り口」から入館すると、広々としたホール的な空間が広がっています。
(※北側と南側2ヶ所の出入り口があり、どちらからも入れる作りになっています)

「くつろぎエリア」とのことで、テーブルやベンチもありゆったり過ごせる場所になっていますが、水族館/生き物好きとしてはまず目に飛び込んでくるのは大きな水中窓!
「ゆったりくつろごう」という余裕ある大人の考えなんて一瞬も湧かず、童心そのまま一直線に水中窓へ駆け寄ります。

ふおお!すげえ!水中窓でっかい!!
自然の河川の中を覗ける水族館というのは他にもありますが(千歳水族館など)、大きな一枚の窓で構成されているのはここだけかも。(千歳水族館は、幅2mほどの水中窓が複数並んでいる)
そしてここ水環境館の水中窓は、小倉市街地を流れる「紫川」という川の河口域に位置しています。

「紫川」については、館内に親しみやすいイラスト付きで詳しく説明されていました。
工業地帯が広がる北九州、過去には工業排水や生活排水の影響で「死の川」と呼ばれるほどに水質汚染が進んでいたそうです。
それが今ではアユが遡上しホタルが棲めるほどにまで回復したとのことで、つまりこの施設は単なる無料水族館というだけでなく、1つの川が生き返るまでの軌跡を学べる資料館なのですね。

さらに水中窓に近づいて覗き込んでみると、なんだか水中が二層になっています。

実はこれは「塩水くさび」という現象。
比重の軽い淡水と比重の重い海水がすぐには混ざりあわず層になって上下に重なるという、川と海がぶつかり合う河口域ならではの現象です。
塩分計を持って河口域の環境測定とかサンプリングをしているとしばしば出くわす現象なんだけど、普通そんなことあんまりしないからね。
これを水中観察窓から誰でも見られるようにしたのがすごい!見事すぎる。
(実際「たぶん世界でもここだけ」の展示、らしいです)

水中観察窓の外は自然の河川なので、天候や潮の満ち引き等によって日々刻々と状況が変わるようです。
わたしが訪問した日も前日の夜から当日の朝まで強めの雨が降り続いていたので、上流から流れてきた雨水と海から流れ込む海水が綺麗に層を作っていたようです。
翌日は快晴の予報だったので、2日連続で行っていればまた違った水中風景を見ることができたのかも。近所にあったらしょっちゅう通ってしまいそうな施設です。(しかも入場無料ですし!)

河口域なので、淡水魚から海の生き物まで、日によってさまざまな生き物が見られる模様。


この日は、大きなマハゼがずっと姿を見せていたり、スズキの幼魚が現れたり。
(そして川底の砂泥部分の断面まで見られるので、巣穴を掘って暮らすゴカイとか貝類を探すのもマニアックながら楽しいです)
▪️水槽展示も充実!ここは完全に水族館!
正直、水中窓だけずっと見ていても飽きないのですが、せっかくの初訪問なので順路を先に進みます。
「紫川」の歴史や環境改善の取り組みを学べる展示があり、その先は水槽コーナー。

どーん!
フロアいっぱいに並ぶ水槽の数々。

90cmや120cmの市販水槽がメインながら、整然と並べられていて統一感のある空間。
この施設自体が紫川の川べりの「半地下」みたいなところにあるので、黒基調のシックな内装や配管剥き出しの武骨な天井部分なんかと相まって、なんだか地下にひっそりと作られた秘密の水槽研究施設にいるみたいです(なんだそれ)。

水槽の住人は地元の水辺の生き物たち。
1つ1つの水槽がしっかり作り込まれ、半水面のレイアウトが多用されていて水辺感があります。施設全体のテーマともマッチしているし、生き物好きなら刺さる水槽ばかり。

どこの水族館でも見られるトビハゼも、ここではちょっと特別な存在。

「水環境館」の周辺には河口干潟がありつつ、かつては護岸工事により消失寸前だったとのこと。その場所でトビハゼの生息が確認されたこともあり干潟は残され、今では人工干潟も造成されたそうです。(いわゆる「シンボル種」というやつですね)

こちらは外来生物をメインに展示している小部屋。
館内にはいくつかの小部屋があり、それぞれのテーマに沿った水槽展示が並んでいます。
そして爬虫類コーナーにはこんな大人向けのメッセージボードがあって、とても感銘を受けたのでした。

(水族館巡りをしてるとほんとよく見かけてモヤモヤするのよね、これ。ヘビに限らず)

▪️「水辺とのつながり」を強く感じる施設でした!
館内をひと通り一周して、入ってきたのとは逆側の「北側出入り口」へ。
(玄関を出るところにまでタッチ用水槽があったりして、本当に最後まで飽きさせない施設でした)

玄関を出たところにはなんとウエットスーツやマリンシューズや採集用具が干されていて、きっとどこか近くの川か海へ採集に行っていたのかな。ほんと「水辺のそばにある」ことを端々から感じる施設でした。

流木が売られている水族館の売店、なかなかない。
海岸で採取されたもの、とのこと。

館内を見学し終わった後、改めて目の前の紫川を眺めてみた。
対岸にはNHKの放送局があって、左奥には小倉城が見えて、川べりの遊歩道には屋台が並んでて、休日らしくたくさんの人々が歩いていた。
こんな街なかの水辺にもしっかり生き物が棲んでいて、そしてそれを紹介してくれる素晴らしい施設があるなんてとてもいいなぁ。なんだかとても幸せな気持ちで帰路につきました。
福岡方面を旅するときは、また必ず寄り道したい場所。

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