【水族館探訪記】2019.08.18_千歳さけますの森 さけます情報館

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■水族館ブロガーの口コミ力!

北海道・千歳市の「さけます情報館」に行ってきました!

ここは水族館ブロガー「かめきちかめぞう」さんがブログ上で激推しされていて、ずっと気になっていたのです!

2017年8月10日。 千歳水族館を出たのち、支笏湖方面に走ります。 先日、プロの水族館ブロガー・ミストラルさんから教えてもらった水族館相当施設へ。 えーっと…ここでいいんでしょうか…と心配になるような未舗装路を走ります。 森が深くなってさらに不安がつのる頃、見つ...

(読み返すと、かめきちさんはミストラルさんの口コミでここを知ったのですねー。水族館好きの口コミ力、半端ないです

JR千歳駅から徒歩でも行ける「千歳水族館」と違いクルマがないとどうにもアクセスしづらい施設なのですが、今回は友人の某K君がクルマを出してくれたこともあり、念願かなっての初訪問となりました!

こちらが展示棟の外観。

本当はここまでのアクセスも写真に撮っておきたかったのですが、うっかり忘れました(笑)。

支笏湖と千歳市街を結ぶ道道16号線から未舗装の砂利ダートを進むこと数分……。小さな吊り橋を渡り、千歳川を越えた先にあります。オフロード車だったので違和感なく突入しましたが、普通の乗用車だったらちょっと不安になる道かもしれませんね。

一方、すぐそばをサイクリングロードが走っており、自転車やバイクツーリングのついでに立ち寄る人の姿もちらほら見かけました。(自分も大学時代に自転車ツーリングしてましたが、支笏湖~千歳のサイクリングリードは走りやすくて、ダート初心者にもお勧めです)

ところで、ここ「さけます情報館」はいわゆる水族館ではなく、(国立研究開発法人)北海道区水産研究所の展示施設。れっきとした国の研究施設の一部です。
そう書くとえらく堅苦しい施設のように思えてしまいますが、水族館ブロガーの方々も絶賛するとおり、楽しみながら学べる本当の意味での「体験型」展示が目白押し。しかも入場無料。

誰が行っても楽しめる施設ではないかと思います。

■いざ、入館!(まずは展示棟)

館内に入るとまず目に飛び込んでくるのが、この四角形の大水槽。
いわゆる「水族館の大水槽」と比べれば特別大きい水槽という訳ではないですが、フロア中央にドーンと鎮座しているので、なんだか実際よりも大きく存在感を放っています。

大水槽を泳ぐのは、こちらのヒメマス。支笏湖の重要な食用魚(現地名:チップ)であり、千歳を象徴する魚です(千歳市の「市の魚」にも指定されてます)。奥に何匹か泳ぐ黄色い魚はアルビノのベニザケ。

そしてこちらが、婚姻色の出た真っ赤なベニザケ!少々鼻曲がりしていて、たぶんオスかなと思います。ベニザケの親魚は今年は6月下旬から展示開始していて、この真紅の婚姻色は水槽内で徐々に色濃くなっているのだそうです。
(なお、本来ベニザケは北海道の河川には自然遡上せず、彼らは数年前に人工放流した稚魚が大きくなって帰ってきた個体なんだそうです)

ところで、実はベニザケとヒメマスは同じ種類の魚(学名:Oncorhynchus nerka)。川で孵化・成長したのち海に下る降海型が「ベニザケ」、海に下りず一生涯を淡水で暮らす陸封型が「ヒメマス」と呼ばれています。

つまり、この水槽には一見3種類の魚がいるように見えるのですが(ベニザケ/ヒメマス/アルビノ)、実はすべて同じ種類の魚。見た目にも「紅/銀/黄」と色とりどりの魚たちを見ていると、なんだか不思議な気分になってきます。

こちらは大水槽のかたわらにある小水槽群。まだ大水槽には入れられない、小さいサイズのサケマスの幼魚たちが展示されていました。

アルビノのベニザケ(ヒメマス)。黄金色と言ってもいいような黄白色のボディに、アルビノならではの真紅の瞳。実に美しい魚です(青バックの水槽にも映えますね~)。

アルビノ個体は目立つので陸上からでも観察しやすく、種苗育成や養魚の現場で一定数をわざと混ぜるという話を聞いたことがあります。

水産研究所の施設らしく、パネル展示も充実。北海道でのサケマス研究の歴史がしのばれる展示たち。

こちらは、人工採卵の様子を模した展示……なのですが、背景の「木彫りのクマ」が存在感ありすぎです(笑)。マネキンの着ている漁業用カッパの再現度といい、なんとも北海道感!
(立地的に、本物のヒグマさんが窓から覗き込んできそうな怖さもありますが、、、)

サケの卵の検卵(死んだ卵だけを取り除く)を疑似体験できるコーナー。友人K君(彼も水産系大学の出自である)と比べて3倍速程度のスピード(シャア専用ザクか!)でソーティングできることが発覚。赤い彗星とでも呼んでくれい!

※実は大学時代にプランクトン(オキアミ)、大学院では幼稚魚を相手にフィールドワークしてたので、この手のソーティング(仕分け)作業は今でもお手のものなのです(笑)。

※現在、その能力は家で飼ってる爬虫類のエサ用コオロギを掴むときにだけ発動されている。

■続いて「体験棟」へ。実はこっちがメインじゃない?!の充実度!

展示棟だけでもすっかり満足したのですが、隣接する「体験棟」こそがこの施設の神髄ではないかと思いました!いわゆる普通の水族館では見られない展示がずらり!

まずはサケマス類の生態を説明したパネル類がずらり。
隣にはクイズ形式で学べるマシンもあったり、こちらもなかなか興味深い!

ですが、我々2名は部屋の奥から聞こえる水のせせらぎ音(&循環ポンプ音)に本能的に吸い寄せられていきます……。(ハリガネムシかっ!)

隣の部屋に入ると……そこはまさに「This is 水産研究所!」と言いたくなるような素晴らしい空間が広がっていました!

コンクリート打ちっぱなしの水槽、やや薄暗い照明、むき出しの塩ビ配管、そして常に湿っている床面。
あぁ、学生時代こういう場所に憧れていたなぁ(講義室での座学より、実習になると燃えるタイプ)。そんなノスタルジーすら呼び起こされる空間でした。

あ、水族館のバックヤード・ツアーとか好きな方にもオススメかもしれませんね。

サケとサクラマスの稚魚にさわれるコーナー。水温めちゃ冷たいですが。

サケ稚魚の保護色を観察してみようコーナー。
単純に、白いザルから黒いザルへ移すだけ。なのですが、こういうシンプルな発想のほうが魚そのものをじっくり観察できるのではないか、と思います。

水族館で「ふれあい展示」というとついついショー的要素だとか、ハード面にやたら凝ったりとか、かえって生き物そのものに目が届かなくなるような展示もよく見かけるのですよねぇ。
シンプルイズベスト。原点回帰。
(民営の水族館の場合、そういう「体験型イベント」で収益を稼がなければいけない⇒必然的についつい凝りがち、みたいな事情もあるのかもしれませんが)

2019年8月現在、すでに千歳川にサケ(シロザケ)が遡上しているそうで、見事なブナ(体色がブナの紅葉に似た色に変わるので「ブナ」)となった親サケたち。オスは犬歯も伸びてさらに貫禄ある顔つきです。

そんな親ザケにもさわれちゃいます。
数年間(平均4年)の間を海で過ごし大きくなり、生まれた川に戻ってきたサケ。もうすぐ生涯最後の大イベントである産卵を終え、寿命を迎えるサケ。その姿にはどこか畏怖のようなものすら感じてしまいました。

■千歳名物?!「サクラマスの放流体験」!(流しそうめん式)

展示棟、体験棟と見学し、出口にたどり着くころには相当のサケマス・フリークになっていることでしょう。けれど、最後の最後にいちばんのメイン・イベントが!!

それがこちら。

体験棟の出口ドアの手前に、水だけが入ったプラコップがずらりと並べられています。
これは一体??放流体験??

説明書きの指示するがままに、プラコップを持って屋外へ。

屋外へ出ると青い箱があり、そこにまた指令が。

ふむふむ、1人2匹と……。
蓋を開けると魚(サクラマスの稚魚)が泳いでいました。言われた通り1人2匹すくい、プラコップヘ。ところでこの網、すごくすくいやすかったです。

稚魚の入ったプラコップを手にさらに先へ進みます。

?!
「稚魚をパイプから放流」?!どういうこと??

少し引きで撮るとこの通り。
半分に割った塩ビパイプには水が流されていて、まるでウォータースライダーというか、流しそうめんというか。手作り感満載すぎる!!!

全貌を把握したうえで、いざ放流!!

よく晴れた真夏の青空の下、絵ヅラは完全に流しそうめん(笑)。

すぐ下流にダッシュして、流れてくるサクラマスを待ち受けます。
パイプはかなり長いのと、魚は本能的に流れに逆らって泳ごうとするらしく、流れてくるまでに意外と時間がかかります。

流れ去るのは一瞬。でも、「連写番長」ことニコンD500なら大丈夫!(鬼爆な連写性能を初めて有効活用した気がします)

※パイプに解説板を止めているクリップとか、手作り感をさらに演出してますね、、、

この流れる先はどうなっているかというと……。

なんと、千歳川の本流に直結!!GO TO 千歳川!!

ワイルドすぎます……。(頭のいい水鳥とかが、そのうちこの下流に陣取ったりしないことを祈っています 笑)

■支笏湖観光もしてまいりました!

さけます情報館の見学後、本当なら千歳水族館に行こうかなとも思ったのですが野性味あふれる魚たちの姿に魅了されてしまい、支笏湖の自然をもう少し満喫することに。

新千歳空港からほど近い「千歳水族館」。地元感たっぷりの素晴らしい淡水魚水槽と、「日本初」の”川の中まで水族館”!

千歳水族館、割と最近行ったばかりだしね……。

まずは陸地から、支笏湖全景。
お盆休みの最終日(そして台風が過ぎた週末)とあって、湖面にはボートが何艘も浮かびたくさんの人が水辺レジャーを堪能していました。

支笏湖畔にある、支笏湖ビジターセンター。
水族館らしい水槽展示は「ヒメマス水槽」1つですが(このほかにプラケースや小水槽がいくつか)、支笏湖の自然やクマ出没情報などをリアルタイムに知ることができます。

ビジターセンターの近くのレストランで奮発して食べた「チップ(ヒメマス)刺身定食」。
ヒメマスは傷みやすい魚だそうで、こうして産地近くで食べるのがいちばん美味しいのだそうです。
今さっきまで泳いでいたような(実際そうだと思いますが)目や体表の美しさ。そして透明感のある朱色の身肉の美しさ。

味は刺身用の養殖サーモンをぐっと上品にした感じ。サケマス特有の香りはありますが、臭みはまったくありません。「サケマスのなかでいちばん美味しい」と言う人もいるそうですが、それも納得の美味しさでした。

ところで「サーモンの身のオレンジ色は海産のカイアシ類や甲殻類の色素由来」と教わったことがあるのですが、このヒメマスの身はどうしてオレンジ色なんでしょうか。やはりそういうエサをあげているのかな?

舌と胃袋で支笏湖の幸をいただいたあとは、支笏湖名物の水中遊覧船へ。

こちらが遊覧船「サファイア号」。だいたい20~30人乗りくらいの小さな船です(MAX定員は50人とのこと)。

乗船するとすぐ、地上デッキではなく階下の水中遊覧室へ案内されます。

船底に水中を眺められる窓が設置されていて、そこから水面下2mの水中世界を一覧できます。ふだん水族館に行きまくってる人間が言うのもなんですが「まるで水族館みたい!」。
『ガラス窓があって、その外に魚たちが泳ぐ風景』に本能的に惹き寄せられてしまう習性は、水族館好きあるあるなのかもしれません。

桟橋近くでは、エゾウグイの大群を見ることができました。残念ながらヒメマスその他、ウグイ以外の魚は見ることができず。台風が過ぎた後で、この日は透明度がかなり低いコンディションだったそうです。それでもこの透明度、さすが日本一の水質を誇る支笏湖です。

魚や水中風景以外では、柱状節理という火山岩の地層を見ることができます。本当なら湖底に広がる柱状節理を見ることができるそうですが、この日は透明度が低く、ぼんやりとしか見えませんでした。

北海道(札幌近郊)に住んでいると、温泉旅館・大きな観光ホテルの多い洞爺湖の方が観光地としては有名で支笏湖はけっこうマイナーな感もあるのですが、改めて遊んでみるとめちゃくちゃポテンシャルの高いエリアでした!

自然・生き物好きにはむしろ支笏湖の方が楽しめるかもしれませんね。そしてマイナースポット「さけます情報館」への訪問を、ぜひお忘れなく!!

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