【水槽展示あり】初訪問・スリーエム仙台市科学館

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仙台市の「スリーエム 仙台市科学館」へ行ってまいりました。

きっかけは、水族館巡ラー・ブロガーのかめきちかめぞうさんからのこちらの調査依頼(無茶ぶり?)。仙台に住み着いて10数年、この科学館の存在は知っていたのですが、勝手に物理・化学ちっくな施設だと思い込んでいて全くノーマークでした。
「水槽展示もあるっぽいよ~~」という情報をいただき、さっそくすっ飛んで行ってきました!

最近、一部の水族館好きさんの間で「無名だけどひっそりと水槽展示している施設を見つけ出して巡ろう」みたいな遊びが流行(?)しておりまして。
「水族館」と名乗っていなくても、科学館や博物館、あるいは”水資料館”だったり”川の博物館”みたいな施設に、意外なほど水槽展示ってあるものなんですよねー。つくづく、日本人って水槽で魚を飼って観察するのが好きなんだなー、と感じます。
今回訪問の主目的も、「仙台市科学館には水槽展示があるか?!」ということだったのですが、そんな遊びの一環だと思っていただければ幸いです。

<スリーエム 仙台市科学館・基本情報>

名  称:仙台市科学館(スリーエム 仙台市科学館)
アクセス:仙台市営地下鉄/南北線 旭ヶ丘駅より徒歩5分
敷地内に無料駐車場あり
入館料 :大人1人¥540(2019年10月1日~ ¥550)
休館日 :毎週月曜日ほか(詳しくは公式サイトでご確認を)

科学館のすぐそばには台原森林公園という大きめの公園が隣接しています。というか、学生時代から結婚するまでぼくはこの公園のすぐそばのアパートに住んでいて、科学館の前もクルマや自転車、ときにはジョギングで何度も通っていたのでした……。
うーむ、灯台もと暗し……。(言い訳すると、「科学館」ってなんとなく子ども向けのサイエンス体験施設みたいなイメージがあって、成人男性1人ではなかなか行きにくかったんですよね……)。

■さて入館。まずは水槽展示を探します!

正面玄関を入り、こちらがエントランス。ガラス張りで明るく、開放感のある館内です。(口述しますが、水槽を撮影するという点ではちょっと厳しい環境です)
天井から飾られているのは、鳥人間コンテスト(2011、2012)で東北大学/Windnautsが連覇を果たした時の人力飛行機。予想以上に大きいなぁ。

こちらが館内のフロアマップ。常時見学できるのは3階と4階のようです。魚・生物系の展示物は、主に4階「常設展示室(自然史系)」と、一部が3階「常設展示室(生活系)」内の「環境アトリエ」に展示されています。

ということで、まずは4階の自然史系展示エリアへ。目指す水槽展示はすぐに見つかりました。結論から言うと、生体展示をしている水槽展示は館内で合計3つありました。

まずはこちら。「ふるさとの自然」コーナーの、川の生き物の展示に、幅120cmの水槽が2本。写真左側が「淵の魚」、コイやタナゴ類、ビワヒガイ等が飼育されています。右側が「瀬の魚」、こちらはウグイやエゾウグイ、オイカワなどを飼育。

サイズ的にはごく普通の120cm水槽なのですが、2本ともオーバーフロー加工されていて(たぶん水槽下段に濾過槽がある)、水槽台には水槽用クーラーの排熱用と思われる通気口もあり。

こちらの2本の水槽、こんな感じで西日がガンガン当たります(奥のガラス張りの壁面が西側です)。当日は15時過ぎに訪問したので、水槽をどちら側から撮ろうとしても逆光 or 反射でなかなか難しいコンディション。これだけ太陽光がたっぷり入るのに水槽内はコケも目立たず綺麗に保たれていて、きっと小まめにメンテナンスされているのだろうな、と思いました。

設置環境的に、西日さえ射さなければガラス面の反射も多少は収まると思いますので、水槽をなるべく綺麗に撮影したい場合には午前中の訪問がいいのかな、と思います。

あと1つの水槽展示は、メダカが飼われたこちらの小型水槽。

こちらは、「ボクらはみんな生きている」という生体展示コーナーに展示されていました。メダカ以外の展示生体は、コクワガタ、アリジゴク(ウスバカゲロウ)など昆虫類がメイン。

■水槽展示以外も、魚類関係の展示が(意外と)充実!!

2本の川魚水槽のそばには、宮城県に棲む淡水魚類の標本を閲覧できるコーナーが。

こんな感じで、樹脂封入標本を引き出して観察することができます。写真はカマツカ。

淡水魚関係については、少し分かりにくいのですが別フロア(3階)の「環境アトリエ」にも標本展示がありました。

右奥に「広瀬川と環境」というコーナーが。身の回りの環境問題を考える、というテーマゆえ、4階(自然史系)フロアではなく3階(生活系)フロアでの展示となるようです。

「魚ってどんな生き物?」という解説展示。限られた文字数で分かりやすく、という感じで、内容はわりとざっくりしてるけど。

宮城県の淡水魚の、主に稚魚・幼魚の液浸標本がずらっと展示されていました。残念ながらガラスケース越しなので標本を手に取ることはできないのですが、先ほどの4階の展示と合わせて魚関係の標本展示が予想以上に充実していて、魚好き・水族館好きな方にとっても楽しめる施設だな、と思います。

3階フロアには、このほか広瀬川のジオラマ模型や淡水プランクトンを顕微鏡観察できるコーナーなどなど。

■なぜか、深海生物の展示が充実。

再び、4階・自然史系の展示ブースに戻ります。昆虫や鳥類、植物、古生物(ゾウの仲間の化石が多い)などなど、どれも面白いのですが、そんな中でなぜか深海生物系の展示が妙にマニアック。

熱水噴出孔の生物群集。硫化水素を栄養源として形成される生態系。

こちらは鯨骨生物群集。大学生の頃に初めて知って、衝撃を受けたなぁ。「飛び石仮説」の話がとても好きです(立証されてないけど)。まさかここで鯨骨生物群集の展示を目にするとは思わなかった。鯨骨の模型がもうちょいリアルだと嬉しいなぁ。

センジュナマコの模型。絶妙にゆる感のあるデフォルメ具合です(笑)。

■魚以外の展示物も満喫しました!

館内にはもちろん魚以外にもたくさんの展示物がありました。じっくり見ていると2時間あっても足りないくらい。物理・工学系(ロボットとか)の展示は長くなるのでとりあえず省略しまして、生き物系の展示をいくつかご紹介。

仙台湾・蒲生干潟あたりをイメージしてか、干潟の生き物のジオラマ展示。ボラ、いろんな鳥に食べられがち。

こちらは日本産の貝類標本の展示。
寄贈元の「㈶斎藤報恩会 自然史博物館」、初耳で調べてみたら明治~大正期に仙台で活躍した実業家・斎藤善右衛門(9代目)という人物が、私財を投じて設立した学術研究助成機関とのこと。博物館は自然科学系の博物館では東京の国立科学博物館に次いで歴史があったらしい。
(財政難で博物館は2015年に閉館し財団も解散してしまったそうで、もっと早く知っていたらなぁ……と後悔しきり。行ってみたかった……!)

学術研究を進めるにはやはりどうしても経済的なバックボーンが必要で、国からの助成すら目減りしつつある昨今、過去にはこんな風に「裕福な資産家が私財を投げうって学術振興を後押しする」という土壌があったんだなぁ、としみじみ考えさせられました。
設立者の斎藤善右衛門には『財産は神仏よりの供託物にして私有物に非ず』という信念があったそうです。

このほか、館内には子どもたちが楽しく学べそうなこんな展示もありました。

ジャングルジムのように組み上げられた金属製のシェルフのあちこちに、生物標本(主にいろいろな生き物の巣や卵の標本)が展示されています。

個人的にぐっときたのはカイツブリの巣(意外と大きい)と、ハナダカバチの巣(ファーブルが研究したことでも有名)。森の中で生き物を探すように、あるいは水族館の水槽で何がいるのかを探すように、「探す楽しさ」のある展示でとても楽しかったです。

水族館や動物園で生き物たちの生きた姿や行動、生態を観察できるというのはもちろんとても素晴らしいことだと思っていて、けれど一方で「目の前で生きている生物」の姿そのものに圧倒されてしまい、解説をよく読まなかったり展示の意図をきちんと理解できなかったり……ということも、残念ながら時々あることだろうと思っています。

博物館というと一見地味なイメージもあるけれど、展示物がどうしても標本や模型中心であるからこそ、傍らの解説を読んで自分の頭で想像したり考えたりして、結果的に展示物への理解がより深まりやすいのかもしれません。

このところ、水族館/動物園の「在り方」というような話題がよく取り上げられるようになりました(背景には野生生物を消費的に展示することへの是非や、動物愛護的な視点があるのだと思います)。その中で「水族館/動物園も博物館的な要素をもっと取り入れるべき」というような主張・意見を耳にすることが多いのですが、ではそもそも「博物館的な要素」とはいったい何なのか。

僕はどうしても目の前で生きて泳いでいる魚の姿が好きなので、休日はついつい水族館にばかり行ってしまうのですが、たまには博物館にも行ってそんなことを考えるのもいいのかもしれません。

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