先日訪問した、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館。
気付いたら鳥類マシマシ水族館になっていたのですが(↑前回記事参照)、それ以前にここは昆虫マシマシ水族館なのです、という話。
■カワセミはいないけど(今はいるけど)ゲンゴロウならいるよ!(しかもすごい数)
かつて「カワセミはいないけどカワウソはいるよ!」をキャッチフレーズにしていた、いなわしろカワセミ水族館。
しかし個人的には、カワウソ以上に水生昆虫の展示の充実っぷりを推したいです!
むしろここは「ゲンゴロウ水族館」を名乗った方がいいのではないか、くらいの勢いで。
水辺感が素晴らしい「ふくしまの希少な淡水生物」コーナー。
タナゴ類、ドジョウ類、カジカ……といった魚たちと並び、ゲンゴロウの展示された水槽がありました。
そして交尾中。くっついたまま水中を泳ぐのですね。(水面に空気を吸いに行くタイミングとかどうしてるんだろう)
確かにゲンゴロウはいるけれど……これくらいなら他の水族館にもいるよー。と思ったあなた!
さぁ、そのまま順路を進むのです……!
■怒涛の「おもしろ箱水族館」!
順路をそのまま進んでいくと、2号館のほぼほぼ終盤に突如あらわれるのがこちらの「おもしろ箱水族館・生物多様性の世界」のコーナー。
どーーーん!!!
吹き抜けになった開放的な空間に……、サイコロ型の20㎝キューブ水槽がずらっと並んでいます!自分は数えませんでしたが、別日に訪問された方に聞いたところ106個の水槽があったそうです。
最近購入した広角レンズ(魚眼レンズ)のおかげでようやくその全貌をカメラに収めることができました!(それくらいズラッと並んでいるのです)
※昨年訪問したときは「Possibility of 20cm Cube Aquarium」というポスターが貼られていました。とても面白い内容だったのでもう一度読みたい……。英文だったので、2018年の世界水族館会議用だったのかな??
ちなみに2016年3月に訪問したときはこんな感じでした。
展示のコンセプトはずっとブレないけど、行くたびに展示内容が少しずつ変わっていっている印象です。
■さぁ、怒涛のゲンゴロウ・ワールドの始まりです!
水槽群のいちばん手前の2つの水槽には生物は入っておらず、こんな解説ボードになっています。来るぞ……ゲンゴロウ・ワールドが来るぞ……!
このあたりの水槽はほぼ全てゲンゴロウの仲間。
ゲンゴロウってこんなにたくさん種類がいるんだ……!
(ざっくり、展示の約2/3が水生昆虫、残り1/3が両生類、という印象です)
水槽は1つ1つ、水草やコケでレイアウトされています。
ほかの(大きい)水槽展示とも共通する「水辺感」。好き。
■1つ1つのゲンゴロウ解説が濃ゆくて面白い。
さて、個々の水槽も興味深いのですが(といいつつ小型のゲンゴロウは正直、肉眼では違いがさっぱり分からなかったりもするのですが)、水槽それぞれに貼ってある解説が実は面白いのです。
水族館好きなら分かるであろう「アクアマリンの解説板は字が多い」というあるある。
こちら、同じカワセミ水族館内の「コイ」に関する解説板。
うん、これこれ。
文字数が多くメッセージ性の強い展示解説。(Twitterとか見てると賛否両論が聞こえてきますが)
ネタに走ったりするのではない、ある意味「正統派」すぎる解説です。
ただ、いなわしろカワセミ水族館のゲンゴロウ解説は、このいわば「アクアマリン流」とは少し違うのです!
クロゲンゴロウの渋いカッコよさをシンプルに伝えたストレートな一文。
少しかわいそうな和名のニセモンキマメゲンゴロウ。
生き物の標準和名によくある「ニセ~~」「~~モドキ」「~~ダマシ」。確かに同じような思いを持ったことがあります。(生き物好きあるある?)
そしてさりげなく、2011年に新種記載された種類なのですね。身近にいるはずの生き物でもまだまだ新種が見つかるから面白い。
飼育員の方のフィールドでの個人的な思い入れがたっぷり詰まった、ほっこりする一文。
ここら辺はまだ比較的「常識的な」感じかな。
しだいに濃さを増していきます。(陳列順に紹介してるわけではないですが)
「マルケシゲンゴロウの中では大型、マルケシゲンゴロウの中では。。。」
文末の「。。。」が哀愁を誘います。
体長:3.0~3.8mm。
確かにこれは……マクロレンズ使っても満足に撮れる気がしない)。
「ヒメ」「マメ」「ケシ」「ツブ」「チビ」、どれがいちばん小さいの問題。
こちらも「標準和名あるある」かもしれないですね。
しかし……体長:8~10mm。
比較的大きいと言ったって……十分ちいさいっす(笑)。小豆くらいの大きさかなぁ。
「実は!希少淡水生物コーナーのキタノメダカの水槽にこっそり2匹入っている。」
うわぁぁぁぁ!
こういう(自己満足ともいえるけど)飼育スタッフさんの密かなこだわり系、めっちゃ好き(笑)。しかし誰が気付くんだという。
※キタノメダカ水槽に探しに行ったけど見つかりませんでした(笑)
最高に笑ったのがコレ。
「湿地貴公子おいかわ丸さんのご協力で」って、、、絶対にその方面の方々にしか通じないやつ、、、(笑)
■ゲンゴロウ以外も充実しすぎてる虫展示!
ミズカマキリとヒメミズカマキリ。
学校のプールに来るのがミズカマキリ、来ないのがヒメミズカマキリ?
(なんでなんだろう?植物が生えてないから?)
アメンボの仲間も展示している。
「閉館後にライトでこっそり照らしてみると……」って、、、ずるい!閉館後の水族館で遊びたい!!!(笑)
ハリガネムシ!!!
いなわしろカワセミ水族館、何度か訪問していますが、少なくともぼくが行くと必ず展示されている気がするハリガネムシ……。ハリガネムシを常設展示している水族館、、、狂ってやがる!(いい意味で)
や、実際、「水中 ⇔ 陸上」という水辺の生態系を表現するうえで、ハリガネムシの生活史ってとても面白いと思います。一般ウケする展示生物かどうかはさておき。
さりげなく展示されている食用昆虫たち。
あくまで水槽に展示するスタイル。好き。
「ふくしまの湖沼群をとおして人と地球の未来を考える。」という水族館全体のコンセプトの通り、基本的には地元・福島県にいる生き物をメインで展示しているのだと思いますが、こちらは外産種。
ヨーロッパ・ラトビアからやってきたオウサマゲンゴロウモドキ。世界最大のゲンゴロウなのだそうです。国内初展示!!
■「生物の多様性」を体感できる展示で、ぼくは好きです!
改めて、この「おもしろ箱水族館」コーナーを横側からワイドで。(魚眼レンズ使ってみたいだけ説)
身もふたもない感想ですが、実際のところ、われわれ「ただの水族館客」がこのゲンゴロウたちを1種類1種類見分けたり観察したりするのって、ほぼほぼ無理なのではないか……とも思うのです。
10mm(1cm)に満たない種類も多くて、ほとんどが「泳ぐゴマ粒」みたいなサイズ感ですし……。マクロレンズ搭載の一眼レフとTG-5を持っていても綺麗に撮れた試しがない。。。(カメラの腕の問題説はそっとスルー)
実際、ズラッと並んだミニ水槽を見て不思議そうな顔をして立ち去る人もいることはいるし、水槽を覗きこんでも「どこにいるのか分からない」なんて感想もチラホラ聞こえてきたりして。(水槽によっては、ゲンゴロウより掃除役の巻貝の方が大きくて目立ってたりする)
それでも(たとえ小型種のゲンゴロウを見つけられなくても)解説1つ1つを読んでいるだけで飼育員さんのこだわりたっぷりでめっちゃ面白いし、ここのコーナーの感想って「へぇぇ、ゲンゴロウってこんなに種類がいるんだ!」とか「こんな小さいゲンゴロウもいるんだ!」みたいなことで良いのではないかなー、と思ったのでした。
ゲンゴロウの仲間って軒並み数が減っていて絶滅の危機に瀕している種類もたくさんいるらしいけれど、こんな小さな虫なのであれば、確かに人知れず姿を消していてもなかなか気付かないのかもなぁ……(だけど他の生物のエサになったりして、水辺の生態系の中では重要な役割を担っているんだろうなぁ)。なんてことにも思いを馳せたりして。
実際、自分もそれほど昆虫に詳しいわけではなく、ゲンゴロウにこんなに種類がいるってこと、その多くが数mmの小型種だということ、この展示で初めて知りましたし。
(あと、アクアマリンふくしまのあの広さ/展示数であの展示解説の濃さだと確かに途中で脳が過労死するけど、いなわしろカワセミ水族館くらいのコンパクトさなら丁度よく「アクアマリンらしさ」を堪能できる気がします)
水族館を出たところの池で、羽を休めるアカトンボ(アキアカネ?)。
この水族館に行ったあとは、こういう光景に自然と目が留まるのです。