【書評という名のファンレター】銀鏡つかさ著『日本の美しい水族館』にかこつけて。

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「今日こそ書き上げよう」

そう思ってブログ編集画面に向きあって、そのたびになんか照れくさくて気恥ずかしくて、そうやって夜な夜な頭を抱えているうちに、気付いたら3か月が経過していた。

友人の(でいいよね?)銀鏡つかささんと、彼の著作『日本の美しい水族館』のことである。

某オンライン書店では「ガイドブック」部門で週間ランキングのTOP 3に居座り続け、発売後わずか1週間で重版がかかるなど、まぁとにかく売れまくっているので、ここで今さらPRする必要もないでしょう。

「書評」(読書感想文)とかこつけて、便乗商法55%・祝福の気持ち35%くらいの勝手な思いを少し綴らせてください。

「友人が本を出す」なんてことも、人生でそうたびたびある出来事でもないもんで。

■無粋な話ではありますが。つかささんとの出会い。

銀鏡つかささんと、直接やり取りするようになったのは2020年の春先の話。(SNSのフォロー/フォロワーという意味では、それより前からどちらからともなく繋がっていたんだと思う)

当時はちょうど新型コロナの『第一波』の真っただ中。
誰にも会えない/どこにも行けない日々の中で、インターネットの片隅に生まれた小さなコミュニティの中が「初対面」の場所だった。

『STAY HOME』という言葉が生まれ、仕事はほぼ毎日在宅勤務、近所のコンビニに買い物に行くのすら躊躇われたようなあの時代。
とあるオンラインチャットに夜な夜な集い、顔も年齢も本名も知らない仲間ととりとめもない会話を夜更けまで交わす。

『ネットで出会った人と会うなんて』みたいに、批判的にも語れる世界線。だけど、当時はあの交流が、大袈裟な言い方をすれば先の読めない日々を生きる希望だった。

10数人くらいで喋っていた初対面のチャットの場で、お互いの自己紹介の中に
・水族館が大好き
・「写真」というツールで水族館と向き合っている
・水族館の魅力を発信していきたい

という共通項が見つかって、勝手ながらどこかシンパシーを感じていた。

(と同時に、つかささんは当時から既にただならぬ撮影の上手さとバズりの気配を漂わせていたので、「いつか彼の方がメジャーになるな」というある意味ライバル心というか警戒心というか……うーん、そう言うと語弊しか生まないけど。そんな気持ちもぶっちゃけ、少しあった)

この(あぁ、きっとどんどんメジャーになるな、この人。)という予感めいたものは、見事に現実のものとなる。
その後、彼の撮る水族館写真はTwitter上で何度もバズり、あっという間にフォロワー数は数千人になり、1万人を超えた。(現在では4万5千人を超えている)

出会ったころはフォロワー200人とかだったんだよな。2年ちょいでこれかよ。すげえ。

『売れる前から知ってたし!』というような、無粋で俗っぽい話にもなってしまいましたが、まぁとにかく、つかささんとの出会いはそんな感じです。

初めて実際に直接お会いしたのは、コロナ禍から約1年経過した2021年の春ごろ。
確かカワスイ(川崎水族館)で会ったんだよね。

それからもオンライン上での(つかささんを含めて複数人での)交流は続き、YouTube配信のゲストに一緒に呼ばれたり、共同で自主配信企画の運営をしたりもした。

当時のエピソードでひとつ覚えているのは、(正確な文脈は少々あやふやだけれど)
「写真を通して、水族館の魅力を伝えたい」
「それで水族館に行く人が少しでも増えてくれたら嬉しい」
というような話を確か何度かしていて、それを聞くたびに(あぁ、ブレてない人だなあ)と思わされた。

先に「水族館が好き」ありきなんですよね、きっと。
ありがちな「自分の写真いいでしょ」ではなく。

■『全国水族館取材の旅』を傍らで見ながら。

今回、水族館ガイド本を出すことになった、そしてそのために全国を取材して歩くことになりそうだ、という話をつかささん本人から聞いて、まるで自分のことのように心が躍った。

・水族館のガイド本を出す
・そのために全国の水族館に行きまくる
・取材として水族館に行き、ときには「中の人」とも話をする

なんて経験、そうそう滅多にできるもんじゃない。
『水族館好き』というジャンルの人間にとっては、間違いなく最高のサクセスストーリーだ。

その夢のような旅(いや話を聞く限り、相当に過酷な旅道中でもあるんだけど)の冒険譚も、断片的には聞かされているけれど、エピソード満載で面白い。
いつかエピソード・ゼロとして、どこかで語ってほしいと密かに思っています。

そして、今回の本の出版はもちろんそれ自体が偉業なんだけど、『つかささんの影響でこっちまで水族館遠征のハードルが下がった』というのも、副次的な功績だと思うんだよな。

近しい人がものすごい勢いで全国行脚してるのを見てると、ついつい「自分も遠征せねば!」って気になっちゃうんですよね。

だって「東京 ⇒ 北海道 ⇒ 沖縄 ⇒ 福島」みたいな遠征旅を平気で組んじゃう人ですよ。

それ見せられるとこっちまで、
「あぁ、まぁアクアマリンふくしまくらいならフラッと軽率に行けちゃうね」とか
「金曜に仕事終わってから仙台を飛び出せば、その夜のうちに名古屋まで行けるね」
みたいな感じになってくる。

冷静に考えたら、向こうは取材のための遠征なんだけど(笑)。

まぁとにかく、「Twitterを開くとほぼ毎日つかささんがどこかを旅している」
そしてその先に「”本が出版される”という未来がある」
というあの日々は、傍で見ているだけでも最高にワクワクする、刺激的な時間でした。

■『日本の美しい水族館』を読んで。

いちおう「書評」という建て前なので、最後に本の話を。

「写真が美しい」というのはもちろんだけど、「文章もつかささん自身が全て書いている」ということにも驚いた。

つかささんの文章って、なんていうか、ガイド本向きなんですよね。
淡々とした文体でありつつ、端々に「水族館が好き!」という密かな熱がにじみ出た解説文。

そして写真。
つかささんというと「広角で切り取った水族館の空間美」みたいな写真が思い浮かぶけど(今回はやや建築寄りに振った書籍ということで、現にそういった写真が多いんだけど)、実はそれだけでなく「生き物をきっちり撮っている」のですよね。

北の大地の水族館で撮影したカラフトマス(書籍内 P.77)のものすごい躍動感。個人的には串本海中公園の海中窓にホンソメワケベラが2匹写ってる写真(書籍内 P.67)が密かに好き。

このホンソメワケベラしかり、なかがわ水遊園の写真ではカピバラが水中を泳ぐ様子をしっかり撮っていたりして、館内の片隅でカメラ構えて、生き物の一瞬の行動を粘り強く待ってたんだろうな、と想像してしまう。

※「銀鏡つかさ[別館]」という、生き物の写真をメインに投稿しているTwitterアカウントも開設されています。生き物写真メインで眺めたい人はそちらもぜひどうぞ。

水族館の空間美を撮った写真についても、天然光が入るタイプの水槽ではことごとく燦々と外光が降り注いでいて、晴れた日に撮った1枚だということが読み取れる。
そういえば旅先で会ったときにも「天気予報を見ながら各館の取材日を決めて取材旅行してる」って言ってたもんなあ。

美麗な写真の数々からそんなことにも注目してみると、この本がガイド本ではなく「水族館を巡る1年間の旅の旅行記」にも思えてきて、さらに味わい深く読めるのです。

この本を読んで、あるいはつかささんのSNSでの発信をきっかけに「水族館に足を運んでみよう」という人は、きっと少なからずいるんだろうと思っている。
そこから「水族館沼」に一歩踏み込んでしまったぞ、という人も。

既にその沼に片足突っ込んだ者として勝手を言えば、それが一時のブームじゃないといいな、と思う。だって水族館巡りも水族館撮影も、生涯楽しめる趣味だもの。
(そして水族館は、歴とした生涯学習施設だもの。)

きっとつかささんも、そして自分も、これからもずっと「水族館好き」でい続けるんだろうなと、勝手に思い込んでます。(いや、プレッシャーかもしれないけどさ)

これからもまたどこか一緒に水族館遠征できれば嬉しいし、配信なりイベントなり、楽しい挑戦をともにできれば最高です(← 便乗商法です)。またどっかで遊んでください。

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