■バスを乗り継いで(バスを乗り継げず)足摺岬へ!
この旅も4日目。
今日も暑くなりそうだ。
「民宿 中村」さんを出発。お世話になりました。
次に泊まるのはまた15年後……と言わず、なるべく早くまた来たい。
チェックアウトして出発しようとしたら、おかみさんがおむすびを1つ持たせてくれた。
15年前に泊まったときも、当時のおかみさん(先代)がおむすび持たせてくれたなあ。
時代が変わってもあたたかさの変わらない気遣いが、ありがたすぎる。
この日目指すのは四国の最南端・足摺岬。
中村駅から公共交通機関を使う場合は、路線バスで向かうことになる。
元気のいい土佐弁の運転士さんに念のため「竜串の水族館(SATOUMI)に行きたいんですけど!」と行き先を確認し、バスに乗り込む。
ローカル路線の場合、乗り間違えると大変なことになるからね。(フラグ)
バスは四万十川と並走しながら進んでいく。
ああ、こんな道だったなあ。
15年前は自転車でひぃひぃ言いながら走った道を、バスの涼しい車内でトコトコ揺られながら向かう幸せ。やーい、15年前の自分ざまあみろ、やーいやーい!
1時間足らずで、土佐清水市の中心部にある「清水マリンパル」前に到着。
えっと、SATOUMIに向かうにはここで乗換えね、と。
お金を払いバスを降りようとしたら、運転士さんに声をかけられた。
「あっ!竜串方面に行くんよね!確か次のバス2時間後、11時過ぎとかやわ、、、」
えっ。
一瞬、思考停止しかけたけど、とりあえずバスを降りる。
バス停に貼られた時刻表をあらためて熟読する。
バスを降りたのは9時15分くらい。
竜串方面に向かう次のバスは11時15分。なんてこった。。。
(いや、事前にバスの乗継ぎを調べてなかったのが悪かった。「足摺海洋館」だから、足摺岬まで行けばなんとかなるって油断してた)
バスの運転手さんに「タクシーとかありますかね、、」と聞いてみる。
「あー、、小さい町だきん、タクシーあるかな……日曜は休みかもしれん」
なんてこった。。。(2回目)
バス停の近くにタクシー会社の案内が貼られていたので電話をかけてみる。
3社くらいあるらしい。が、どこの会社も繋がらず。
なんてこった。。。(3回目)
うーん。
歩くかあ?
そう思ってGoogleマップを開く。
12kmあるらしい。この日も気温は34℃。だめだ死んでしまう。
2時間待つかあ?
すぐ脇にショッピングセンター(清水マリンパル)があるから、とりあえず暑さとかで行き倒れることはなさそうだ。
しかしそれでも暑い。カメラリュックも重い。そしてなにより、わたしは早く水族館に行きたい。(←わがまま)
えーい、ダメ元だぁ。
ショッピングセンターの2階にあった100円ショップで、これとこれを購入。
「すけっちぶっく〜〜〜〜〜」
「油性まじっく〜〜〜〜〜」
※声:大山のぶ代
※もし本当にドラえもんが隣にいたなら、そんなもん出さずにどこでもドア出せよって殴ると思う。
これをこうして、こうだ。
※あまりにあわてすぎて「串」の字にしっぽが生えた(後で気づいた)
国道に出て、このスケッチブックをかざしながら立ち尽くす。
そう、ヒッチハイクである。
ダメでもともと。
その場合は2時間後のバスに乗ればよい。
でも、せっかく仙台からはるばるやってきたこの土地で、次にまたいつ来れるか分からないこの場所で、1時間でも長く水族館に滞在できる可能性があるなら、その可能性には賭けておきたい。
果たして、路傍に立ち尽くして15分後。
親切な地元のおとうさんが車を止めてくれた!!!!
いや、冗談抜きでマジで嬉しかったです。ちょっと松山千春風でダンディーな土佐弁のおとうさん、本当にありがとうございました。
■初訪問の「海洋館(SATOUMI)」と「海底館」。
松山千春風おとうさんの車に揺られること10分ちょっとで、念願の足摺海洋館 SATOUMIに到着!
おおー。
かっこいいー。
あっ、入館する前に、と。
帰りのバスを逃して大変なことにならないように、バス停の時刻表をスマホで撮影。念のためバス会社のHPもチェックして、時刻表に間違いがないことも確認。
(この周到さを往路で発揮すべきである……)
まぁ、「ヒッチハイクで水族館に向かう」というはじめての体験ができたのも、またいい思い出、なのかもしれない。
自分は水族館に対する感想が往々にして大きく思い出補正されがちなので、SATOUMI訪問、この途中の珍道中も含めてめちゃめちゃ楽しい記憶となりました!(詳細な水族館訪問記はまた別途、たぶん……)
さて、SATOUMIと隣接する形で、徒歩10分くらいのところに「足摺海底館」があります。(いわゆる海中展望塔)
海洋館と海底館、名前が似てるぜややこしい。
あまりの暑さにちょっと躊躇したけど、ここまで来たからには両方行っておきたい。
「同行二人」。
(お遍路さんの「常に心のなかで弘法大師と一緒に旅をしている」という意味のことば)
わたしはこの水族館ひとり旅、誰とともに旅をしていただろうか。
炎天下、ほぼ日陰のない道をフラフラと歩き、ようやく海底館に到着。
こういう橋を渡ってたどり着くタイプの施設、なんかダンジョンに向かうみたいでめっちゃわくわくする!
全国に何ヶ所か「水族館と海中展望塔がセットになっている」場所ってあるけど、やっぱ楽しいですね。
■帰路。もう1ヶ所気になっていた場所へ。
帰りのバスは13時35分。
これを乗り逃がすと次は約4時間後という恐怖の時刻表.
なんなら1時間前くらいからソワソワしながらオリジナルグッズを買い、お昼を食べて水族館をあとにします。
(炎天下、他に誰も待っていないバス停で、ちゃんとバスがやってきたときの喜びよ……。)
往路と同じように清水マリンパルでバスを乗換える。
往路は2時間待ちだった乗換時間が、今度は約5分。両極端すぎるってば 笑。
さて、ここでもう1ヶ所ちょっと寄り道します。
清水マリンパルから約10分ほどのバス停「以布利」で途中下車。
どーん!
「ジンベエザメ特別公開中」の文字!
ここは大阪・海遊館の海洋生物研究所「以布利センター」。
ジンベエザメその他、大型海水魚の採集・調査・研究を行っている施設です。
かなり辺鄙な場所にあるので、正直今回行けるか分からなかったんだけど(バスの時間とかによっては諦めるつもりだったんだけど)、寄り道できてよかった!
※見学可能なのは土日祝のみ、時間も9時〜15時と限定されてるのと、生物の状態等で見学可否が変わるらしいので、事前に最新情報を調べていくことをおすすめします!
ちょうど運良く、14時30分からはジンベエザメの給餌タイム。
こんなに間近でジンベエザメの食事風景を見られると思ってなかった!
こちらはベテランの風格ただようタマカイ。
目がスレてしまったため、海遊館から以布利に移送されて療養中とのことでした。
1時間ほど、ゆっくりと見学させてもらいました。
(いや、さっと見るだけなら10分くらいでも足りる規模なんだけど、なかなか見られる施設でもないし、そして次のバスまで時間を持て余していたので……)
15時の閉館時間とともに退館し、さて、次のバスまで約30分。
(行きの教訓を活かし、バスの時刻表には敏感になっております)
なるべく木陰を探しながら、1つ隣のバス停「以布利東」までぶらぶらと歩きます。
日差しは暑いけど、潮風がずっと吹いていて心地よい。
あ、ジンベエザメが描かれたちっちゃい消防署を発見ー!
こういうの、車で移動してたら気付かないやつですね。
レンタカー便利なんだけど、電車とバスと徒歩を駆使する旅だと、こういうちょっとした光景に足が止まるから好き。
その隣のちっちゃい神社で旅の安全を祈願したりしつつ、バス停へ。
「以布利東」バス停のすぐ横を流れる小さな川。(以布利川というそうで、オオウナギがいたりもするそうです。後日、Xのフォロワー様より教えていただきました)
木陰の草むらに座り込んで日差しを避けつつ、汗を拭きつつ、川から吹いてくる風に涼を感じつつ。
電車やバスや車が普及するよりもっと昔、お遍路の旅をしていたどこかの誰かも、ここでこうやってひと休みしたりしていただろうか。
そんなことを考えながらぼーっとしているうちに、時間どおりにバスが来て、再びトコトコと中村駅まで戻りました。
中村の町がとても心地よくて、なにより「民宿中村」との再会があったかすぎて、思わずもう1泊してしまいそうになったけど。
まだ旅は続くので、おかみさんに「きっとまた来ますね!」とご挨拶だけして、名残を惜しみつつ中村駅の改札へ。
中村駅からは特急「あしずり」に乗って、一気に高知駅まで。
この旅も、いよいよ後半にさしかかってきた。