4月某日。
週末を使って広島遠征へ。
広島、前々から行こう行こうと思っていたのですよ(仙台拠点だと、飛行機で弾丸遠征できる旅先が限られる、という理由もありますが)。去年の秋くらいからフライト予約を取っては延期し取っては延期し、ようやくの訪問となりました。
広島空港から広島市内へ移動し、最初の訪問先はこちら!
広島市内で唯一の水族館、マリホ水族館。
海沿いのショッピングモール「マリーナホップ」内にあって、広島市街地からはバスで40分くらい。(ただ駐車場が無料なので、地元の人はマイカー派が多いみたい)
到着したのはちょうどお昼どき。
モール内で昼食をとり、ついでに旅の荷物をロッカーに押し込んで、いざ水族館へ!
■テーマは「生きている水塊」。
館内に入るとまず出迎えてくれるのが、こちらの水槽。
「波の向こうへ」というテーマの、サンゴ礁の波の下を再現した水槽。
実際にはそれほど大きな水槽ではないものの、照明とレイアウトの効果で実際以上に奥行き感があります。
造波装置によって常に白波が演出されていて、そこを「主」のように悠然と泳ぐカスリハタ。
こちらは館内ほぼ真ん中にある「輝くサンゴの海」の大水槽。
パッと見ただけで「あ、サンシャイン水族館のラグーン水槽に似てる!」と思ってしまいました。
そう、ここマリホ水族館は、サンシャイン水族館等と同じく水族館プロデューサー・中村元さんが手がけた水族館。なおかつ、中村さん全面プロデュースの水族館の中では、おそらくもっとも新しい水族館(国内では)。
サンシャイン水族館では海中洞窟を模した水槽に入っているキンメモドキ。
ここマリホ水族館では、大水槽で群泳しています。
「うねる渓流の森」の半水面水槽。渓流の激しい流れの演出が爽やかで、屋外の植栽とあいまって野生感あふれる展示です。
見た瞬間に、北の大地の水族館の「四季の水槽」を想起してしまいました(こちらも中村元さんプロデュース)。
水槽内を泳ぐのは、中国地方にしか分布していないゴギ(イワナの一亜種:広島県の天然記念物)。しっかり地域性が盛り込まれた展示、嬉しいです。
■「水塊」に魅せられつつ、しっかり生き物も観察できる
中村元さんといえば「水塊展示」。
そういう印象と「生きている水塊」という水族館コンセプトから、空間(水中景観)重視の水族館なのかな~~、と勝手な先入観を抱いていたのですが、生き物もしっかり見やすいし学べる水族館でした!
(というか「水塊展示」って別に「生き物軽視」ではないのですよね、自分も昔、誤解してたけど。だって実際、サンシャイン水族館とか生き物めちゃくちゃ見やすいじゃん)
アオウミガメの幼体展示。
小笠原諸島などでアオウミガメの保護活動に取り組む、NPO法人ELNA(Everlasting Nature)とのコラボ展示でした。
※国内の水族館のアオウミガメ展示って、ELNA/小笠原海洋センターとの提携プログラムであることが多いのです(例:すみだ、ヨコハマおもしろ、etc…)。
学生時代に少しだけ小笠原海洋センターでボランティアさせてもらったこともあり、水族館でELNAの紹介展示を見るとつい熟読してしまうのですが、マリホの展示解説はシンプルで分かりやすかった!
こちらは「スタッフおすすめの生き物たち」がテーマの個水槽群。
原則、1水槽に1種類ずつ入っているので見やすいし、魚名板との見間違えもないのが嬉しい。
「手描き(風)解説板が無条件で好き」という性癖を持っているので、こういうのが刺さります。良き良き。
魚類展示メインながら、クラゲ展示もしっかり完備。(ちなみにマリホ水族館、海獣類は一切いません)
めちゃくちゃ「クラゲ推し!」というわけではないけれど、ミズクラゲやサカサクラゲといった定番種にまじって、マツバクラゲなんかもいました。
マツバクラゲ。エメラルドグリーンの生殖腺が綺麗。
■イワシ水槽で遊んでみた。
瀬戸内海に面した水族館ということで、しっかり地元の海の幸に触れた展示も多かったです。(広島市 水産振興センターとのコラボ水槽なんかもあった)
その「あふれる瀬戸内の命」エリア、メイン水槽はこちら。
イワシが群泳し、岩礁部分にはコブダイやキジハタが潜む水槽。
最初、カタクチイワシだけの群泳かなと思っていましたが、魚名板を見ると「銀色の小さな魚」が何種類か混泳している模様。
というわけで、探します!
ぐるぐると回遊するイワシの群れに目を回しながら!
マイワシ発見!
カタクチイワシに比べると2回り以上デカい。プリップリに太った美味しそうな成魚。
おおっ!こちらはマサバの幼魚かな。魚名板には書いてないけど。
同じくらいの大きさのサバの群れが別の水槽で展示されてたので、1匹だけ選別しきれずにこっちに入っちゃったのかな。(こういうの見つけると無性にテンションが上がる人)
そしてこちらは、ウオノエの仲間(イワシノコバン?)を乗せたカタクチイワシ。まるで操縦席にまたがってるみたいで、なんとも可愛い。
ま、いわゆる寄生虫ですけど、寄生虫だって海洋の生態系の一部ですからね。
■淡水魚エリア。魚の色を邪魔しない照明が好き。
順路後半は、「ゆらめく緑の惑星」エリア。熱帯雨林の生き物を中心に世界の淡水魚が展示されています。
個人的にすごく好みだったのは、オーストラリア産のアロワナ2種(ノーザン・バラムンディ、スポッテッド・バラムンディ)が泳ぐこの水槽。
透明感があって、とても見やすいコーナー型水槽。
バラムンディたちは合計5匹ほど。まだMAXサイズの個体ではないせいか、あまり喧嘩もせずのびのびと泳いでいました。名古屋港とかスマスイみたいにMAXサイズになったら、さぞかし見ごたえありそう。でもその前にマリホの閉館が先なのか。。。(後述)
水槽の背景部分は青色の照明なのですが、手前側は昼白色の自然な色み。
魚たち本来の色彩(特にバラムンディたちの場合、鱗に入る桃色のスポットとか)が阻害されず、かつ「水塊」感もしっかり演出されていて、さすがだなぁと思いました。
■企画展「きんぎょデート」へ。
これで、本館部分はざっと1周(というか、それほど広くない館内なので実際は4,5周してますが)。
別館で特別企画展をやっているとのことだったので、そちらも覗いてみます。(ちなみに水族館本体とは別料金)
ほうほう。
「きんぎょデート」とな……。
おひとりさまの成人男性としては、ちょっと入るのに勇気のいる企画展ではありますね(笑)
まぁ、しっかり入場したけど。
隣県・山口県柳井市では「金魚ちょうちん」が有名らしく、それモチーフの室内。
金魚は20品種ほどが品種ごとに展示。けっこう立派な個体も多かったです。
「マリホ水族館流 金魚占い」。
自分は「オランダ獅子頭」でした。まぁ割と当たってる気がする。
■今回マリホに行けて本当に良かった。
企画展も含めて、滞在時間はざっくり3時間ほど。
週末の日中で多少賑やかながら、そこまで混雑しすぎるということもなく館内を満喫できました。
ショッピングモールの一角という立地もあり、正直そこまで大きな水族館ではないのだけれど、限られたスペースに「地元の魚」「サンゴ礁大水槽」「半水面の渓流水槽」などなどがしっかり詰め込まれていて、敷地面積の割に見応えのある水族館でした。
ところでこのマリホ水族館、どうやらあと2年半ほどで閉館してしまうらしいのです。
水族館単体というよりは、「マリーナホップ」という商業施設自体が2025年3月をもって閉鎖してしまう模様。
うーん。テナント営業の宿命ではあるのかもしれないけど、水族館という「生命を扱う施設」なのだから、そうそう簡単に建てたり潰したりしないでほしいよなぁ。というのが本音。だって2017年にできたばかりの、まだまだ新しい水族館なのですよ。
人口120万人、広島市という地方中枢都市にあって唯一の水族館なので、願わくばどこか場所を変えるなりして営業継続して欲しいなぁ、と密かに思いました。
閉館が確定してしまいその時期が近付いたら、きっといわゆる「閉館ブースト」というやつで最後のひと賑わいを見せるのでしょうか。今回、その前のタイミングで訪問し、静かに館内を満喫することができて良かったな、と思いました。
■憧れの「水族館ハシゴ航路」で旅は続きます!
さてさて、広島市内でもちょっと郊外(湾岸エリア)にあるマリーナホップ。
実はここから観光地・宮島まで、片道20分の高速船が出ております!
ということはつまり!
マリホ水族館と宮島水族館(みやじマリン)を船でハシゴできるということ!!!
水族館や魚も好きですが、海や船も好きな自分としてはめちゃくちゃテンションの上がる旅程です。
マリホ~宮島、陸路の公共交通機関を使う場合、バスで広島市街まで一旦戻ることになり1時間半くらいかかるらしいので、大幅に時短になるのも嬉しいところ。
マリーナホップ敷地内にあるミニ遊園地の向こう側が船着き場。
親子連れが遊ぶ中を、旅行荷物とカメラを抱えて横切ります(笑)。
ここから乗船。
(満席だと乗れないし、逆に運休日もあるらしいので、事前予約が吉かと)
波の穏やかな瀬戸内海なので、ほとんど揺れず、船酔いすることもなく(個人差もあるでしょうが)。
「スナメリ出ないかなー」なんて思いながら海を眺めているうちに、あっという間に宮島に着きました。(というわけで次回・みやじマリン編に続きます!)