■水族館に泊まってみたい!
水族館を好きになって20年以上、趣味活動として本格化させて約10年弱。
これまで、全国各地の水族館を訪問したり様々なイベントに参加してみたり、時には水族館での自主イベントを企画してみたりもしましたが、まだまだ体験してみたいことはたくさんあり。
その1つが「水族館に泊まること」でした。
実際、水族館オフィシャルで開催される「お泊まりイベント」も探すとけっこうあるのですが、「親子連れ向け」だったり「女性限定」だったりすることが多く。
なかなか参加する機会に恵まれずにおりました。(過去にはアクアマリンふくしまで「大人向けのお泊まりナイトイベント」が開催されていたこともあったらしくて、再び開催されることを心から熱望している……)
今回、福井県の越前松島水族館に「オールナイト水族館」プランがあるということを知り、これ友人知人集めたらなんとかなるんじゃね?と思い、実行に至ったのでした。
※これまでにも何度か、各所で「貸切水族館」的な企画を主催してきましたが、自分の中では一連のそれらとは「完全に別物」っていう認識です。(とはいえその中で得た経験と、いつも手を貸してくれる友人知人の皆さまに、今回も大いに助けられたのですが)
※「お泊まり企画」という性質上、ひと晩は大家族のように生活を共にするというわけで、どうしても普段から接点の多い、気ごころ知れた方限定でのお誘いとなったこと申し訳ないです。(語弊があって言い方が難しいんだけど、お誘いしなかったからといって気ごころ知れてないという意味ではないです……とわざわざ書くとなおさら語弊しかなくてほんと言い方が難しいんだけど)
■総勢20人、北陸に集合!
というわけで9月某日。
「早い時間から館内見たい人も、他の園館をハシゴしてから来たい人も両方いそうだから、まぁ夕方集合ね!」ってことにして、16時に越前松島水族館の駐車場で待ち合わせ。
私(と、一緒に移動した友人数名)は金沢駅でレンタカーを借り、そこから陸路で現地入り。
なんだかんだ14時ごろには着いたので、日中の水族館も満喫しておきました。
そして16時。(閉館は17時半)
ぼちぼち帰り始める人も多い中、水族館の駐車場の片隅に集まる総勢20名の集団。
(やっぱり相変わらず、黒服着用率が高いのはもはやまぁ慣れたw)

(当日はワタワタしてて集合時の写真を撮り忘れたので、これは下見時の写真です)
(下見の日は晴れたけど当日の天気は……ごめん雨男で)
越前松島水族館さんのお泊まりプラン、夜間貸切といいつつ日中時間帯から入場できるという神設定(2025年時点)だったので、全員集合後にみんなでぞろぞろと団体入場しました。(団体入場の引率者になったのなんて生まれて初めてだよw)
今回、お泊まりということで皆どうしても荷物が多くなったのですが(着替えとか寝袋とか)、館内の控室を荷物置き場として使わせていただくなど、ホスピタリティもとても整備されていてありがたかったです。
スタッフの方から諸注意事項の説明もいただきました。朝まで水族館内にいるので、安全面や夜の生き物たちへの配慮など、やはり重要事項がいくつかあります。

(重要事項の1つ:夜は海岸に近づかない。
越前松島水族館は敷地が海に接していて海岸にも出られるのですが、夜は絶対近づいちゃダメ)(生き物マニアの集団という特殊事情で、放っとくと誰かが夜間磯採集とか始めそうな気もしたので、ここは幹事としても口を酸っぱくして言っといた)
ここで一旦自由時間。
まだ営業時間内なので、みな散り散りになって、館内を思い思いに見学してまわります。

わたしはひとまず「おさかな館」へ。

ウミウシの一種、ハナデンシャ。
「とても珍しいウミウシ」といいつつ、なんかものすごい数がいましたw

総勢19匹。
近所の漁港で採集されたそうです。

艶やか。

閉館時間後にもう一度見に行ったら、19匹→22匹にしれっと増えてて笑いました。

ペンギンなど、一部の生物(主に海獣類)は夜間は見学できないので、日中のうちに見ておきます。越前松島のペンギン館、水中が見やすくて好きなんだよな~。(あとエアコン効いてて涼しいので助かる)
■オプションといいつつ、結局全員参加のバックヤードツアー
今回のお泊まり水族館プランには、有料オプションメニューがいくつかあり。
夜のイルカショーとかは個人的にあんまりそそられない(夜までイルカに働かせるのなんか申し訳ないし、ショー見たい人は日中に各自見といてねの気持ち)一方で、バックヤードツアーには興味あり。
「希望者のみ」ということにしていたのですが、当日「参加したい人~~?」って聞いたら結局全員手を挙げて、なんだかんだ全員参加になりました(笑)。統率が取れていて、幹事としては大変助かります。
予定ではだいたい30分くらいのコースなのですが、そこは全員「水族館ガチ勢」の集まり。随所でマニアックな質問が飛び交ったり、予想外のところに全員食いついて夢中になったり。
たとえば「床下に大水槽の濾過槽がある」とかで、みんなしてカメラ向けて写真撮りだすんだもんなぁ(笑)。

引率してくださったスタッフの方も、途中から(ん、なんかこいつら普通とちがう)って察されたのか、後半はもうフリートークの水族館談義になってました(笑)。
主にみんなが食いついたもの:床下の濾過槽、マンボウの運び方、バックヤードのプラチナアリゲーターガー などなど。
予定の30分はしっかり超過しそうになり(すみません)、このままだとオールナイトバックヤードツアーになってしまいそうだったので一旦ひと区切り。
ガイドコースはほぼすべて魚類の飼育エリアだったので「海獣関係でなにか質問があれば、閉館後作業で巡回しているスタッフに聞いてくださいね!」とまで言ってくださり……本当に重ね重ね、手厚いホスピタリティに感謝しかありませんでした。
■そして夜。水族館ガチ勢たちのお風呂事情(?)
バックヤードツアーから戻るとほぼ同時に、通常営業は終了の時間。
いよいよここからは、我々参加者だけの貸切タイムです。
ところで、いくら水族館宿泊に浮かれたマニアの群れといえど、さすがにご飯も食べるしお風呂にも入ります。(たぶん)(そうだと信じてる)

越前松島水族館のお泊まりプランの素晴らしいところ。
館内にシャワールームがある!!!
(敷地が海に面していて、夏は磯の観察会とかの屋外イベントも開催されるため)
シャワールーム、もちろん男女別ですし、普通に綺麗でした。
一方で越前松島海岸は温泉地でもあり、水族館の周囲には日帰り温泉もいくつか。
ここで参加者それぞれ「いったん外出して温泉&晩ごはんに行く派」か「外出する時間がもったいないのでコンビニ飯&館内のシャワーで済ます派」かに分かれることに。
結果、風呂キャンセル界隈 館内シャワー派はたぶん20人中3人くらいでした。
残り17人ほどで、何台かの車に分乗してぞろぞろと近くにある日帰り温泉へ。普段、フォロワーの方と一緒に水族館遠征に行くことはあってもなかなか一緒に風呂入りに行くことはないので、なんか面白かったです。
水族館の方にオススメしていただいた「三国温泉ゆあぽ~と」、お風呂も食事も素晴らしかったです!(←ちゃんと風呂入ったアピール)
■さらに夜。BGMはメトロポリタンミュージアム。
日帰り入浴を済ませて20時ごろ水族館に戻ると、すっかり夜の世界。

越前松島水族館は複数の展示棟が立ち並ぶタイプの水族館。(私含む一部の水族館仲間の間では、勝手に「パビリオン型」と呼んだりしている)
そのため、あちこち見て歩くには一旦屋外エリアに出る必要があります。まだ日中は残暑の厳しかった9月中旬。風呂上がりに浜風を浴びながら園内を散策するのがちょうどいい心地よさでした。(そして、天気がギリギリもってくれてよかった)
園内の自販機は夜も使用可能だったので、友人たちとアイス食べながら談笑したり、また各々好きな生き物を観察しに向かったり、その先でまた別な友人と合流したり。
時間はたっぷりあるので、ゆったりと夜の水族館を満喫しました。なんだかちょっと修学旅行みたいな気分。

夜闇のなかでひときわ異彩を放つ「こんぺいとうハウス」。

夜のイルカスタジアム。

夜の「おさかな館」。
誰もいない館内、ちょっとレトロな汽車窓水槽群。
大好きな空間を独り占めしているのでまったく怖い感じはしませんが、なんだか吸い込まれそうな、不思議な雰囲気。
■夜の水族館ならではの、生き物たちとの向き合い方。

こちらは2024年3月に新しく完成した「みずだこ館」。
大きなミズダコに触ることができたり、水槽内で産卵したミズダコの卵や育成実験中の稚ダコを観察することができます。

稚ダコは数mm~1cm程度で半透明の姿。
水流に乗って漂っているので肉眼で追うのも意外と難しく、カメラ持ってるとついマクロレンズにして腰を据えて粘りたくなっちゃう被写体です。
周囲を気にせず没頭できるのも、夜間貸切だからこその楽しみ。
(あの人とあの人は絶対ミズダコ撮影に時間吸われてるだろうな……と思いながらみずだこ館に行ったら、案の定のメンバーが水槽に張り付いててめっちゃ笑った)

「かめ・かえる館」のアカメアマガエル。
深紅の美しい瞳が特徴的なカエルですが、日中は瞼を閉じて寝ていることもしばしば。
消灯間際の時間に、なかなか見られない「赤目」の姿を観察することができました。
■「あの床」も時間を気にせず満喫!なんならここで寝れる!
越前松島水族館の名スポットのひとつが、「海洋館」2階にある、水面ガラス張りのシースルー水槽。

ガラス張りの床の下を魚たちが泳ぎ、壁と天井は鏡張り。寝転んでまわりを見渡すと360°ぐるっと魚たちの世界に囲まれる、没入感満点の空間です。
そして普段はあまり見ない角度から魚たちを観察できるので、ついつい長時間ずっと居座りたくなってしまうスポットなのですが……。
あまりに人気のため、混雑時は時間交代制!

当日の日中(通常営業中)は、ピーク時には90秒ごとの交代制となっていました。せわしない……。
そんな人気スポットで、時間を気にせずゆっくり過ごすことができる。
越前松島水族館の宿泊貸切プランの最大の魅力って、もしかしてこれなんじゃないか??そう思うくらいに贅沢な体験をすることができました。
なんなら、このガラス張りの床の上で朝まで就寝することも可能です。(実際にここで就寝した友人いわく「夜中にでっかいエイがバタンバタン泳いできて面白かった」らしい 笑)
■いよいよ、消灯 & 就寝タイム。
夜も徐々に更け、園内あちこちに散らばっていた参加者の皆さんも、ばらばらと宿泊場所の「海洋館」に戻ってきます。(一応、消灯時間の少し前に点呼の時間を設けておいた)
就寝場所は、こんなところ。

「海洋館」2階。
トイレの位置の関係等で、我々は今回こちら側を「女性フロア」に設定。

男性陣は、1階の大水槽前で寝ることに。
ロケーション的には大水槽前の方が見栄えがするので女性陣に譲るべきか迷ったものの、協議の結果(主にトイレ位置との関係)このようなフロア割となりました。
館内での飲食も特に禁止ではないとのことで、消灯前の1時間くらいは軽くお酒も飲みながら、ゆるーく交流タイム。
話題はもちろん水族館や生き物のことばかり。なかなか濃密なひとときとなり、めちゃくちゃ楽しかったです。
本当につくづく、同じ趣味の話題で盛り上がれる集団って超貴重。今回は「お泊まり」という初めての試みで実は不安もあったのだけれど、皆さんの協調性とご配慮のおかげで、(少なくとも幹事の私自身は)心の底から楽しい時間を過ごさせていただきました。
そして、そんなプチ懇親会中の我々に、水族館の方から嬉しいサプライズのプレゼント。
「ひと足先に ”おさかな館”の消灯作業をするんですけど、消灯直後にマツカサウオが発光する様子が見られるので、よかったらご覧になりませんか?」と声をかけていただきました!
もちろん全員ガッツリ食いついて、ぞろぞろと「おさかな館」へ。

マツカサウオ水槽の前に全員集合して、消灯作業を見守ります。(消灯直後のマツカサウオの発光を撮ろうとみんなカメラ構えてたんだけど、予想以上に真っ暗闇で、たぶん誰もなにも撮れず 笑)
本来のプラン内にはない貴重な体験をさせてくださったスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!(「皆さん水族館/生き物が相当好きそうなので、もしかしてこういうのも喜ばれるかと思って……」ということでのご発案だったそうで、有難すぎてちょっと本当に胸が熱くなりました)
※夕方のバックヤードツアーのときも今回も、食いつくポイントがよくわからなすぎるマニアの群れで、なんだかほんとにすみません……。
さすがに消灯時間後は解散して、三々五々それぞれの寝床へ。

※1階:大水槽前に寝床を広げる男性陣。
(非常灯等があるので、消灯後も水槽内はほんのり明るい。ただISO上げて無理やり撮ってるので、実際にはまぁまぁしっかり暗闇なのですが)

わたしは幹事特権(?)で、こちらの「さんごの海」水槽前に寝床を確保。
(ちょっと狭い場所じゃないと、なかなか寝れない性質なのだ)
と思って寝ようとしてたらさ……

ハタタテダイの求愛行動が始まったのを誰かが見つけ、暗闇の中で目をこらして夢中で観察し続ける一部メンバー。
ところで、いつもと違って誰もカメラを構えていない。やっぱり根本にある本質は「撮影欲」ではなく「観察欲」なんだろなあ。
けっきょく、一部の人はかなり遅くまで、こうして闇の中で魚を見続けていたそうです(笑)
■翌朝。大雨の中で解散。
しっかり寝た人もガッツリ夜更かしした人も、無事に館内で翌朝を迎え。
天気予報どおりだったのですが、翌日は朝からしっかり雨天。
雨の中、園内の食堂に向かって朝食を食べ(おにぎりとお味噌汁の朝食付きです)、まだ開館前の朝の水族館をまたちょっと見学したりして、9時の通常開館とともに解散。
退館時間がちょうど大雨のピークと重なって土砂降りの中での撤収となりましたが(ほんと雨男ですみません)、レンタカー/マイカー移動の方に手分けして相乗りをお願いしたり、ゴミの持ち帰りを引き受けてくださったり……。
参加者の皆さん、水族館の皆さま、最後の最後まで本当にありがとうございました!
▼ 越前松島水族館 オールナイト水族館:
https://www.echizen-aquarium.com/experience/all_night_aquarium.html

